痛み止めは飲みすぎると耐性がつくの?麻酔科医が解説

2023.10.12

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監修医師:郷 正憲(徳島赤十字病院)
保有免許・資格は日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。主な著書は『看護師と研修医のための全身管理の本』。

痛み止めを飲みすぎると耐性がついてしまうからなるべく飲まない方がいいと言われることがあります。果たしてそれは本当なのでしょうか。

そんな疑問を解決するため、今回は麻酔科医の郷 正憲先生に「痛み止めは飲みすぎると耐性がつくのか」教えていただきます。

痛み止めは飲み過ぎると耐性がつく?

結論から言うと、これは正しい面もあり間違っている面もあります。

どういうことなのでしょうか。

実は痛み止めといっても、様々な種類があり、種類によっては飲み過ぎると耐性がつくものもあれば、飲み過ぎても耐性がつかないものもあるのです。

一般に市販されている薬は基本的には耐性がつかない薬です。

NSAIDsと略される非ステロイド性抗炎症薬は、ロキソニンやイブプロフェン、ボルタレンが代表的なものですが、これらの薬は一切耐性がつくことはありません。
また別系統のアセトアミノフェンという薬も市販の薬によく使われていますが、こちらも耐性がつくことはありません。

処方される痛み止めも基本的にはNSAIDsの一種か、あるいはアセトアミノフェンを処方されることが多いですので、飲み過ぎて耐性がつくことはありません。

しかし処方される薬や点滴で使う薬の中でも医療用の麻薬は話が変わってきます。麻薬は使えば使うほど耐性ができやすくなり、だんだんと効果が弱まってきてしまいます
そのため、痛みが抑えられる必要最小限の量を使用することが求められます。 病院で使う際には、効果を見ながらだんだんと増量するなど、耐性を作らないための工夫をしながら使用しているのです。

痛み止めを飲み過ぎるとどうなる?

では痛いからと言って痛み止めを飲みすぎるとどうなるのでしょうか。

これも麻薬とそれ以外の薬で話は大きく変わってきます。

麻薬以外の薬の場合、天井効果というものがあります。天井効果というのはある一定以上の量を投与すると、それ以上の量を投与しても効果が得られないという風な考え方です。

ですから痛み止めを使ってもまだ痛いからと言って追加しても、思ったように痛みが収まらないことがあるのです。

一方で副作用は天井効果がほとんどありません。
そのため痛み止めを飲みすぎると、痛みが収まるばかりかどんどんと副作用だけが出てきてしまうと言う事もあるのです。

例えばロキソニンなどのNSAIDsであれば、副作用として胃粘膜障害や、腎障害があります。痛くないのに使いすぎてしまうとこれらの副作用が出てきてしまいます。
さらに怖いのはアセトアミノフェンです。アセトアミノフェンは過剰に内服してしまうと肝臓に不可逆的な編成を起こしてしまい、ひどい肝硬変を起こしてしまう恐れがあります。
ですので、市販の薬とはいえども、飲み過ぎには注意が必要です。

麻薬に関しては、天井効果がありません。そのため使えば使うほど痛みは収まっていきます。しかしやはり、量に応じてどんどんと副作用は増えていきます。場合によっては呼吸が止まってしまうようなこともあります。注意して使用する必要があります。

まとめ

今回は麻酔科医の郷 正憲先生に「痛み止めは飲みすぎると耐性がつくのか」教えていただきました。

市販薬として販売されているNSAIDs(ロキソニンなど)やアセトアミノフェンは、基本的には耐性がつかない薬です。そのため、「耐性がついてしまうから痛み止めを飲むのを我慢しよう」と考える必要はありません。 ただし、痛み止めは飲み過ぎると副作用などのリスクが高まることも認識しておく必要があるでしょう。
もちろん必要であれば使用することに問題はないです。症状にあった痛み止めを、用法用量を守って内服することが肝心です。