メディコレNEWS|【医師監修】こどもの急な発熱、適切な対処法とは?
執筆医師:武井 智昭(医療法人社団 柴健会 小谷クリニック)
慶應義塾大学医学部卒。日本プライマリケア学会専門医、日本アレルギー学会専門医、日本小児科学会専門医
小さいお子さんがいる家庭では、お子さんが急に発熱をして具合が悪くなることは多いです。
お子さんの発熱のほとんどは、何かの風邪のウイルスによりますが、小さいお子さん(赤ちゃん)では体温調節機能が未熟であるため、急に39℃以上の発熱がみられることもよくあります。
今回は小児科医の武井 智昭先生に「こどもの発熱」について教えていただきます。
こどもが高熱になりやすい理由
こどもの平熱は、成人と比べて代謝が良いために36.5℃から37.4℃とされております。37.5℃以上であれば、夏の高温などの環境による変化、あるいは感染症(風邪など)による体調不良である可能性が高いです。
こどもは体温調節をつかさどる「脳の視床下部」と呼ばれる部分が未熟であるため、感染症に対して過剰な免疫反応を起こします。またこどもは大人と比べて体温調節がうまくできないため、急激な発熱となることが多いです。
お子さんが発熱となる原因は感染症(風邪)がほとんどでありますが、一部では重篤な疾患もありますので、発熱以外に他に症状がないかよく観察して、症状にあった対処をしていきましょう。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんは発熱しにくい?
生まれてから間もない赤ちゃんは、生後6ヶ月程度まではお母さんからの免疫が胎児の臍の血液や母乳などに含まれる抗体より赤ちゃんの体は守られています。このため、生後6ヶ月未満のお子さんで発熱を伴う状態での感染症の頻度は低いです。
生後6ヶ月未満のお子さんが39度を越える発熱の場合には、尿路感染症・肺炎・敗血症・髄膜炎など速やかに入院・治療が必要である重篤な疾患である可能性が高くなります。
特に3ヶ月未満のお子さんが、前日にワクチンを接種していない状態での発熱では、速やかに受診するようにしましょう。
こどもが発熱した時のチェックポイント
こどもが高熱を出したら、まずは暑さ・寒さを感じない快適な温度の場所で、安静にさせてください。
同時に、発熱以外の症状を観察してください。特にチェックしていただきポイントは以下の通りです。
- 咳嗽(せき)、鼻水の有無
- 呼吸の状態(全身を使って呼吸をするか、回数が早いか)
- 嘔吐や下痢の有無
- 呼びかけへの反応
もし呼吸困難、嘔吐、反応の低下があれば速やかに医療機関を受診してください。そうでなければ、下記の対応で様子を見ましょう。
こどもが発熱したときのホームケア
夜間の発熱の場合には、反応が弱い、顔色が悪い、嘔吐をしている、呼吸がつらそう(ぜーぜーしているなど)、3か月未満であれば、速やかに受診してください。
それ以外の場合には以下のクーリングあるいは、解熱剤の内服・座薬などを使用して、ご両親ご家族が冷静になって、お子さんの様子を観察してください。
熱を放出させる
こどもは急激に発熱をします。はじめはガタガタ震えていることが多いですが、1時間ほどで熱が上がりきると、顔が赤くなり汗をかきはじめます。
この時点では、大人と同じくらいの服の枚数、あるいは1枚着るものを減らし、またお子さんの手足を布団の外に出して、熱を外に逃がしてこもらないようにしてください。
また、汗をよくかきますから、下着類はこまめに交換してください。
水分はしっかりととる
こどもは発熱によるエネルギー消費が成人と比べて高いため、水分補給が重要となります。麦茶、経口補水液、こども用のイオン飲料を少量でもよいのでしっかりと補給をしてください。
下着類はこまめに取り換え、嫌がらないようなら、蒸しタオルなどで体を拭いてあげましょう。
適切な場所を冷やすこと
冷えピタなどおでこを冷やす商品もありますが、解熱効果としては不十分であります。イメージとしては、スイカを冷やすには冷えピタでは不十分でありますが、氷水や水流があれば冷えるとことは想像できると思います。
お子さんの発熱時にはおでこを冷やしたくなるかもしれませんが、一時的な清涼感であり身体的の効果は高くありません。39度を超える高熱が出た場合は、濡れたタオルなどで下記の血液量が多い部分を冷やすと効果的です。
- 首の付け根
- 背中
- 脇の下
- 足の付け根
この一方で、子供は体温調節機能が未熟であり、冷やしすぎにより平熱よりも体温が一時的に下がることもありますので注意をしてください。
まとめ
今回は小児科医の武井 智昭先生に「こどもの発熱」について教えていただきました。
こどもは大人と比べて発熱しやすく、また夜間に突然高熱を出すこともあり、焦ってしまう親御さんは多いでしょう。まずは落ち着いて、快適な温度のところで安静にさせ、他の身体症状がないかを確認することが大切です。
3か月未満の乳児の場合や、反応が弱い、顔色が悪い、嘔吐をしている、呼吸がつらそう(ぜーぜーしているなど)などの症状があれば、夜間であっても早めに医療機関を受診するようにしましょう。