胃がんの初期症状とは?胃がんになりやすいのはどんな人?

2023.10.31

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監修医師:中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)
兵庫医科大学卒業。米国内科学会上席会員、日本内科学会総合内科専門医などの資格を保有。
主な研究内容・論文は「生活習慣関連因子と大腸カプセル内視鏡検査」。

胃がんは、初期の段階では症状がほとんどないため、健康診断やがん検診の結果、たまたま胃がんが発見されることがあります。

胃がんは早期であるほど、完治する割合が上がります。発見が遅れ、手遅れにならないためにも、毎年、定期的に検査を受けることが何よりも大切になります 。

また、日頃から、自分の体の状態に耳を傾けるとともに、生活習慣にも常に気を配りましょう。

今回は、胃がんの初期症状や胃がんのリスク要因について、医師監修のもと詳しく解説していきます。

胃がんの初期症状とは

今では、早期胃がんであれば完治が望めるようになってきました。

胃がんの可能性がある場合、出来る限り早期に発見することが重要になります。

早期胃がんには症状がほとんどありません。そのため、健康診断やがん検診でたまたま胃がんが発見されたということが少なくありません。

一般的に、胃がんの主な症状は以下のようなものが挙げられます。

  • 胃の痛み(みぞおち付近の痛み)
  • 胃の不快感、膨満感
  • 胃がもたれる
  • 胸やけ
  • 食欲不振
  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • げっぷが頻繁に出る

これらは、胃炎や胃潰瘍の症状とも似ており、胃炎や胃潰瘍の検査・診断後に胃がんが見つかることもあります。

また上記の症状に加え、進行胃がんでは以下のような症状があらわれることがあります。

  • 食物がつかえる
  • 体重の減少(半年で10パーセント以上)
  • がんがある部位からの出血による貧血
  • がんがある部位からの出血により便が黒くなる
  • 貧血による倦怠感、ふらつき、倦怠感(だるさ)

胃がんのリスク要因は?

他のがんと同様、なぜ、どのようなメカニズムで胃がんになるのか、今のところ明確には解明されていません。しかし、発生リスクが高くなる要因は分かっています。

まずは、胃がんのリスクが高くなる要因にはどのようなものがあるかを知り、次にそれらのリスク要因を避けるような対策をすることが重要です。

胃がんのリスク要因には以下のようなものがあります。

喫煙

喫煙は、胃がんだけでなく、さまざまながんの原因となることがこれまでの多くの研究結果から分かっています。

たばこを吸う人は吸わない人に比べて胃がんになる確率が2倍になるといわれています。

また、喫煙は、たばこを吸っている本人だけではなく、たばこを吸わない周囲の人々への健康にも影響を及ぼします。

飲酒

国際がん研究機関(IARC: International Agency for Research on Cancer)は、アルコール飲料は発がん性を有しており、「飲酒習慣はがんのリスク」と結論づけており、胃がんに罹るリスクの一つです。

日本を代表する6つの大規模集団を対象とした研究・分析結果によると、日本人男性において、1日一合以上の飲酒(エタノール摂取量として1日23 g以上の飲酒)が胃がんに罹るリスクを有意に高めることが分かりました。

日本人では、比較的少ない量の飲酒でも、胃がんに罹るリスクが高まる可能性があります

食生活

ストレスによる食べ過ぎ・大食い、不規則な食生活、偏った食事(油もの、辛いもの、甘いもの、ファーストフードやパンのみの食事など)は、胃に大きな負担をかけ、その結果、胃がんのリスクを上げることにつながる可能性があります。

塩分の摂りすぎは、胃がんのリスクを高めます。特に塩辛や漬物、塩漬けの魚、味噌汁、漬物などの塩分量を多く含む食品は食べ過ぎないように注意しましょう。

また野菜や果物の摂取不足は、胃がんに罹るリスクを上げることにつながります。野菜、果物には食物繊維やビタミン類等、胃がんに罹るリスクを下げる栄養素が含まれているため、積極的に食事に取り入れると良いでしょう。

肥満

成人期の肥満度と胃がんとの関連に関する研究によると、特に日本人男性においてBMI27以上で胃がんに罹るリスクが上昇することが示唆されています。

また、男女ともに太りすぎでも痩せすぎでもがんを含む死亡リスクが高くなることが分かっています。

運動不足

運動量が少ない現代人にとって、運動不足は肥満になる確率を高めます。運動不足は、心肺機能低下や血行不良となり、胃がんのみならず、様々な病気の原因となります。

感染

ただ一つ、胃がんの原因として明らかになっているのがヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の感染です。

今や日本人がかかっている胃がんの98%はピロリ菌感染によるものといわれ、がんだけでなく胃潰瘍や十二指腸潰瘍にも関連することが分かっています。ピロリ菌感染の有無と胃がん発生率との関連を調べた結果によると、ピロリ菌の陽性者では、胃がんリスクが5倍となり、隠れた陽性者を含めると、リスクはさらに倍になるとことも分かってきました。

胃がんのリスク要因を排除しよう

胃がんにかかるリスクを下げるためには生活習慣を改善すること、ピロリ菌の感染有無の確認および除菌を行うことが重要です。

前述の胃がんリスク要因である喫煙や飲酒の習慣がある方は、禁煙・減酒を心がけましょう。

また野菜、果物を積極的に取り入れ、食べ過ぎ、大食い、不規則な食事、偏った食事などの習慣を改めると良いでしょう。

肥満の方は、男性はBMI値21~27、女性は21~25の範囲になるように体重を管理し、日常的に散歩やジョギングなどの有酸素運動を毎日の生活習慣に取り入れましょう。

そして胃がんの予防のためには、ピロリ菌の早期発見、早期治療(除菌)が何よりも大切です。

毎年の健康診断、がん検診を受診し、内視鏡検査やABC検診によりピロリ菌感染の有無を調べ、陽性の場合は除菌をすることで、胃がんのリスクが下げられます。

まとめ

早期の胃がんは初期症状があらわれにくく、健康診断やがん検診をきっかけに初めて胃がんが指摘されるということも少なくありません。

また胃の痛みや不快感といった症状は胃がんだけでなく、胃炎や胃潰瘍など別の病気が原因で出現することもあります。

胃がんを予防するためには、まずは定期的にがん検診を受けること、そして自分自身の生活習慣を見直し、胃がんのリスク要因を排除していくことが重要です。