「診察室を出る時にいかに患者が笑顔と元気になるか」 整形外科専門医・鞆浩康先生の思い

2024.02.25

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株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、医師監修に協力していただく医師の力が欠かせません。今回は、オルソグループ会長で整形外科ひろクリニック院長の鞆浩康先生にお話しを伺いました。

Profile
鞆 浩康
1999年に高知医科大学を卒業し、岸和田徳洲会病院に入職。2002年に大阪市立大学附属病院整形外科医局に入局後は医局人事にて、芦原病院、貴島病院、ダイナミックスポーツ医学研究所、山本第三病院で勤務。2004年に株式会社オルソグループを設立し、現在は休息療法・栄養療法・運動療法・手技療法・地域医療を5つの柱として笑顔と元気にあふれる究極の医療を目指し、温泉旅館、飲食店、マッサージ店、鍼灸整骨院、スポーツジム、介護施設、クリニック、病院などを運営。自身もスポーツ整形外科、肩関節を専門として診療を行う。日本整形外科学会認定専門医、日本体育協会公認スポーツドクター、日本医師会認定産業医の資格を持つだけでなく、日本オリンピック委員会強化スタッフ(バレーボール)、兵庫県アマチュアボクシング連盟医事委員長を務める。またチームドクターとして、元パナソニックパンサーズ(バレーボールVリーグ)、ゴールデンファイターズ(アメフトXリーグ)、イングリッシュファクトリージム(ボクシング)、3K(キックボクシングジム)、ソルモンストール(バスケットボール)、友広館(柔道)に関わる。

「休息・栄養・運動・手技療法と地域医療を網羅する健診システム構築へ」 整形外科専門医の思いとは

――本日はお時間いただきありがとうございます!鞆先生が医者を志したきっかけを教えてください。

鞆先生 小学6年生の時に歴史年表を眺めていて、自分が生きている間に第三次世界大戦がおこり、日本が戦争に巻き込まれるのではないかと考えました。また、その他の災害も含め、どんな仕事を将来すれば生き残れるかを考えた時に、衣食住の内で最も必要なものは食であると考え、農業の道に進もうと考えました。しかしながら農業をするには土地が必要であり、親が農家でないと実現出来ないと考えました。次に食べ物に代えがたいものは何かを考えた時に健康だと思いました。健康を扱う仕事として医師になろうと決意しました。

――小学校6年生にして、そこまでロジカルに将来の進路を考えていたのは驚きです。医師に進んでからは整形外科を専門にされましたが、整形外科医の道に進もうと決めたはきっかけは何だったのでしょうか?

鞆先生 人生の最期にどうありたいかを考えた時に、命が尽きる直前まで、元気で歩いていたいと思いました。そして、そのようなことに携われる医師になりたいと考えたんです。また、整形外科医は最初の診断から、投薬、注射、リハビリに関わることが出来て、更に必要であれば手術を行い、術後のリハビリテーションにも関われることに魅力を感じ、整形外科医を選択しました。スポーツを選んだのは、高いゴールを求めている人に応えたかったからです。しかしながら整形外科だけでは本当の健康を提供出来ないと考え、手術や薬に頼らない手技療法や、心身を整える為に適切な、休息(睡眠)、栄養、運動の必要性を感じ、その運営から取り組んでいます

――整形外科医としてだけではなく、より健康にコミットするために活動されているんですね。こうした思いを実現するために、どのような診察を行なっているのでしょうか?

鞆先生 私自身の診療では、診察室を出る時にいかに患者さんが笑顔と元気になるかを追求しています。またオルソグループとしては、休息療法、栄養療法、運動療法、手技療法、地域医療を5つの柱として事業展開を行っています。この5つの柱をいかに連携して提供し、健康リテラシーの低い方にも健康を意識してもらうかを研究しています。日本は世界的な長寿国であり、平均寿命は年々長くなっています。しかし平均寿命と介護が必要でない期間とされる健康寿命との差は10年程度あり、その差は縮まっていません。健康寿命を延ばし、その差を縮めることで患者ご本人も、ご家族も幸せになり、国にとっても医療費が削減されます。皆様にとって良い世の中を創りたいと日々取り組んでいます。

――健康リテラシーが低くても健康を意識してもらうことを研究されていることは大変興味深いです。診察ではどのようなことを大事にされていますか?

鞆先生 オルソグループの理念を一言で言うと“笑顔と元気にあふれるメディカルチーム”です。お客様、利用者様、患者様が笑顔と元気になる健康管理を行っていきたいと考えています。それにはまずはオルソグループで働いているスタッフが笑顔と元気になる必要があると考えています。働く皆が人に喜んでもらえる喜びを感じられる人財に育ち、幸福度が高まり、オルソグループで働くことに誇りを持てるような組織作りを行いたいと考えています。

――患者を健康にするためには、まずはスタッフが笑顔で健康になる、ということですね。先生は現在チャレンジしたいことはありますか?

鞆先生 休息療法、栄養療法、運動療法、手技療法、地域医療の全ての分野を網羅する健診システムを構築したいと考えてチャレンジしています。今まで健康に対して無頓着だった人も健康に意識を向け、健康リテラシーが上がる仕組みを作りたいです。

――私たちメディコレも、医療・ヘルスケア情報に医師監修と実名コメントをつけることで「問題がない情報」を可視化し、読者が安心して医療・ヘルスケア情報にアクセスできることを目指しています。健康リテラシーを上げるという思いは同じですので、大いに共感しております。人々に健康を届けるための先生のビジョンを教えてください。

鞆先生 まずは2025年12月24日までに、各施設の横のつながりを構築し、連携した状態で皆さんにサービスを提供できるよう体制を整えていきます。次の2025年から2035年は、ビジョンマップにもあるオルソ村事業(詳しくはこちら)をどんどん進化させていくグレードアップの10年間に位置付け、様々な意味で良い組織を目指します。2035年から2045年にかけては、オルソ村を全国展開していきます。本当に良いものができていれば、各自治体や団体からオファーの声を頂くこともあるでしょう。さらに2045年からは、オルソ村を日本ブランドして掲げ、世界進出を目指します。 しかし「健康」の定義は時代によって変わっていきます。したがって、私達も目標を決して固定せず、真の健康のために柔軟に変化しながら、さまざまなことにチャレンジしていくつもりです。

読者の方へ伝えたいメッセージ

――最後に、ここまで読んでいただいた方に伝えたいメッセージをお願いします。

鞆先生 日本の医療は病院を中心として成り立っており、病気になってからの対応になっていると感じます。真の健康を考える場合は、予防から治療までを一貫して管理していく必要があります。しかしながら現状はそれらが独立しており互いに連携が取れていません。オルソグループでは予防から治療までを一貫して管理し、まずは日本の健康寿命の延長に貢献したいと考えています。