子どもに日焼け止めは必要?日焼け止めクリームの選び方・塗り方を解説

2023.08.30

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執筆医師:武井 智昭(医療法人社団 柴健会 小谷クリニック)
慶應義塾大学医学部卒。日本プライマリケア学会専門医、日本アレルギー学会専門医、日本小児科学会専門医

10年前と比べると、地球温暖化などの影響で、気温が高くなる時期が早まっております。これに加えて皮膚に暴露される紫外線量も強くなっております。

大人では、皮膚のシミ・腫瘍などを予防する目的で、春より日焼け止めクリームの外用などの対策をしている方が多いでしょう。実は子どもは成人より皮膚の組織が薄いため、成人よりもしっかりと対策をしておく必要があります

そこで今回は小児科医の武井 智昭先生に「子どもの日焼け止め」について教えていただきます。

紫外線とその影響について

日焼け対策は、以前では梅雨時期(夏から)というイメージが強かったです。ところが、近年の観測では、3月から紫外線(UVB)の暴露は強くなり7月から8月にピークとなり10月くらいまでは対策が必要となりました。こうしたデータを、過去20年にわたり気象庁が発表しており、3月には日焼け止め対策を始めることが推奨されております。

お子さんの場合、ここまで紫外線対策をしなくてもよいと考える方も多いかもしれません。しかし実はお子さんの肌は、水分は多いですが、皮膚が薄く、皮脂などを分泌する機能も弱いために、紫外線による肌の組織のダメージが強くなる傾向があります。

子どもの紫外線対策の時期

赤ちゃんの外出は、生後1ヶ月の母子の健診後から外出が短時間から推奨されております。生後2〜3ヶ月頃になると近くのお散歩などの外出、予防接種や受診、帰省などで外出する頻度も多くなりますので、生後2~3ヶ月頃からの日焼け止めの対策は必要と考えられます。

日焼けとは、日光の紫外線の熱エネルギー作用により生じます。日本小児皮膚科学会では、赤ちゃんの頃に紫外線を浴び過ぎると、以下の通り紫外線によるダメージが蓄積され、10年以上経ってからシワやシミ、免疫力の低下、あるいは皮膚・眼のがんなどを引き起こす原因になると発表しております。

子どもの日焼けリスク

  • しわやしみなどの皮膚老化を早める(10年以上経過して)
  • 皮膚ガンのリスクがある
  • 目の病気(白内障、翼状片、網膜のメラノーマ)のリスクがある

このため、強い日焼けをしすぎないよう生後2ヶ月頃から注意することは、将来の健康を考える上で重要だと言えます。

赤ちゃんに使う日焼け止めの選び方

日焼け止め(サンスクリーン)は小さい赤ちゃんから使うことができます。日焼け止めは、健康保険での処方薬はございませんので、薬局などで、ベビー用や子供用として販売されているものを、対象年齢・月齢にあわせて購入してください。刺激が低い、天然由来成分なども注目して選択すると良いでしょう。

SPFやPAは日焼け止めの強さを示すものです。赤ちゃん用の日焼け止めを買うときは、以下を目安に用途に合わせて使い分けましょう

日常生活でつける場合:SPF15~20、PA++
海などのレジャー:SPF20~40、PA++ ~ +++
 ※SPF=肌の表面に影響する紫外線B波を防ぐ効果指標
  PA=肌の奥まで影響する紫外線A波を防ぐ効果指標

日焼け止めの効果的な塗り方

日焼け止めクリームを効果的に塗るには、顔には1円玉程度の量を、手足には直線状にチューブから出して、肌にまんべんなく塗り広げることが重要です。腕・脚などの露出する部分に塗る場合は、両手で握るように馴染ませてください。意外と耳の後ろ、首・肩にも外用を忘れがちにはなります。

子どもは汗が大人と比べて多く、時間が経つと汗で流れて効果が弱くなります。外出時では、2~3時間ごとに重ね塗りをしてください。

子どもの日焼け止めの注意点

子ども用の日焼け止めは、全員の肌に合うとは限りません。

初めて使う場合はいきなり大量に塗るのではなく、二の腕の少量を塗ってパッチテストをしてみましょう。パッチテストで赤く反応した場合は、購入した日焼け止めの使用は避けてください。

また日焼け止めが肌に残ったままだと、肌荒れの原因になりやすいので、帰宅後はお風呂やシャワーでしっかり洗ってあげましょう。

日焼け止め以外の紫外線対策は?

日焼け止め以外の紫外線対策としては、以下のようなことを心がけてみてください。

  • 日差しの弱い時間帯に短時間で外出する
  • 日陰を選んで行動する
  • サンシェードなどで日よけする
  • 帽子やおくるみなどで日光をカバーする

午前10時~午後2時頃までが紫外線の量が多い時間帯です。午前10時まで、または午後3時以降など、日差しが弱い時間での外出を検討してください。

また日傘を使用したり、ベビーカーにはサンシェードやUVカットの薄い布などを使用すると、直射日光を避けることができるので、ぜひ取り入れてみましょう。

まとめ

今回は小児科医の武井 智昭先生に「子どもの日焼け止め」について教えていただきました。

年々、暑さ・日差しの強さが厳しくなっております。ご家族の肌のケアも重要ですが、子どもは成人より肌がデリケートでありますので、将来の皮膚トラブルを避けるためにもしっかり日焼け止め対策を行ってください。