メディコレNEWS|【医師監修】小児かかりつけ医制度とは?選び方やメリット
執筆医師:武井 智昭(医療法人社団 柴健会 小谷クリニック)
慶應義塾大学医学部卒。日本プライマリケア学会専門医、日本アレルギー学会専門医、日本小児科学会専門医
「小児かかりつけ医制度」が、2016年より制定されました。正式には、同年より、診療報酬において、小児かかりつけ診療料が制定されたことに由来します。
小児科を受診した際に「かかりつけ医の登録をしませんか?」と言われたことがある親御さんも多いでしょう。そもそも小児かかりつけ医制度とは一体なんでしょうか?また登録するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
そこで今回は小児科医の武井 智昭先生に「小児かかりつけ医制度」について詳しく教えていただきます。
小児かかりつけ医制度とは
小児かかりつけ医とは、こどもが体調不良の病気の診療だけでなく、予防接種や乳幼児健診、近年、増加傾向であるアレルギーの診療などを通して、健康と成長を見守ることにより、子育てをサポートし、子育てなどの日常の事や医療面での不安に対してのサポートを行う制度です。
子育てを一緒にサポートする存在だと認識していただければよいでしょう。
小児かかりつけ診療料を算定するための条件
すべての診療所が、前述の小児かかりつけ医制度に基づく、小児かかりつけ診療料を算定できるとは限りません。このかかりつけ診療料は1回あたり400円(40点)の負担がありますが、ほとんどの自治体では乳幼児医療助成制度により自己負担額はございません。
医療機関側の条件としては以下の通りです。
- 診療時間外の一定時間でも、電話等による対応(往診ではありません)が可能
- 急な病気の際の診療や、慢性疾患の指導管理
- 予防接種や健康診断など成長・発達段階に応じた助言・指導等を行い、健康相談に応じる
- 症状経過に応じては、専門医療機関への紹介を行う
- 各自治体が実施する健康診断(4か月、1歳6か月、3歳)に出動している
- 各自治体が実施する、休日夜間診療所の勤務に出動している
- 登録患者が、やむを得ない事情で他の医療機関の受診・処方薬も把握したうえで必要な服薬管理を行う必要がある
この一方で、自分の家族(こども)かかりつけ医として登録するには以下の条件があります。
- 同じ医療機関で少なくとも4回以上の受診歴があること
- 登録時、6歳未満であること(登録後は、就学前まで有効である)
- 上述の小児かかりつけ診療料とその内容に関しての同意書に署名が必要
かかりつけ医制度を登録するメリットは?
かかりつけ医制度の大きなメリットとしては、診療時間外の相談が可能となることであります。医療機関によりその方法は異なりますが、専用の電話番号における対応、LINE相談などが診療日の22時まで行えるなどがあります。
これに加えて、制度上には記載がありませんが、保護者の相談も受けるケースもあります。
デメリットとしては、実際のところはほとんどありません。緊急時などで、地域の休日夜間診療所や、休診日において他院の受診を制限することはありません。
自己負担額も診療報酬上では増加しますが、乳幼児医療助成制度により、負担がないことがほとんどであります。
かかりつけ小児科医の選び方
小さなお子さんのかかりつけ医を選ぶにあたり、最低条件としては、日本小児科学会が定める小児科専門医であるかどうかです。
「小児科」を標榜するからには、小児の診療を最低でも4年間専門的にトレーニング・研修してきた医師でないと不安になることも多いです。小児専門医資格があれば、多数の新生児・乳幼児から思春期のお子さんまで幅広い年代のお子さんの診療経験が担保されているからです。
「小児科・内科」「内科・小児科」と標榜している場合、前者の科が医師の専門分野であることもありますが、後者でも、経験が豊富であり専門医資格を有していることもあります。
このほかに以下の項目も参考にしてみてください。
- 医師が保護者、子どもとのコミュニケーションがとりやすい
- 交通の便がよく、家から近い
- クリニックの雰囲気がよいか
- 待ち時間がそれほど長くない
- 予防接種、乳児検診の予約がとりやすい
- 感染対策(発熱者の隔離)が明確である
かかりつけ医を選ぶ際は、医療面以外にも、日常生活や心配な事をしっかりと聞いてくれるか、また受診した兄弟の相談でも快く対応してくれるところを選ぶようにしましょう。
また体調の悪いお子さんを連れていくため、自宅から15分以内に着けるところ、かつ待ち時間がそれほど長くないところが良いでしょう。
クリニックの姿勢やビジョンは、医師だけでなく、スタッフの対応・クリニックの雰囲気などにもあらわれるので、ぜひその辺りも注目してみてください。
まとめ
今回は小児科医の武井 智昭先生に「小児かかりつけ医制度」について教えていただきました。
お子さんが小さいうちは、急な体調不良や健康・発達に関するお悩みなどが尽きないことでしょう。そのような時に、気軽に相談できるかかりつけ医が決まっていると安心です。
自分やこどもなどの家族が安心して信頼できる医師を見つけるようにしましょう。