【医師執筆】クループ症候群とは?症状や病院受診の目安を解説

2023.09.19

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執筆医師:武井 智昭(医療法人社団 柴健会 小谷クリニック)
慶應義塾大学医学部卒。日本プライマリケア学会専門医、日本アレルギー学会専門医、日本小児科学会専門医

「クループ症候群」という名前を聞いたことがあるでしょうか。こちらの病名は特定の疾患ではなく、生後6ヶ月から3歳頃までの乳幼児が、気管や喉頭がアレルギー、ウイルス感染などにより炎症を起こし狭くなり、呼吸が苦しくなる状態です。

今回は小児科医の武井 智昭先生に「クループ症候群」について詳しく教えていただきます。

クループ症候群とは

クループ症候群は、肺炎・気管支炎・胃腸炎などの特定の病名ではなく、もともと声帯・喉頭・気管の上部が狭い乳幼児が、風邪のウイルス感染やアレルギーによって炎症がおきるため、さらに狭くなり呼吸困難を訴える疾患です。

年齢としては、生後6ヶ月頃の赤ちゃんから3歳頃の子供に多くみられます。

クループ症候群の特徴的な症状

クループ症候群の症状は、特に気圧が低下したり悪天候の時、また風邪をひいた時の夜(深夜)に好発します。

発症すると、声がかすれていき、犬が吠えたような、またオットセイの鳴き声のような「ケンケン」「ケーンケーン」というような、喉から出るような咳が連続することがポイントです。

ウイルス感染の場合では、発熱を生じることもあり得ます。

結果として、日中は元気であっても夜となり咳で眠れずに苦しいため、受診される方が多いです。この特徴的な咳や声彼は、炎症によって喉頭や声帯が腫れて、空気の通り道が狭くなるために生じます。

クループ症候群の原因

クループ症候群の原因としては感染症が多いです。その中でも原因のウイルスとしては、約200程度とされております風邪のウイルスの中でも、パラインフルエンザウイルス(インフルエンザとは異なります)やライノウイルスと考えられております。

これ以外の原因として、以前ではジフテリアやインフルエンザ桿菌b型(いわゆる、ワクチンで呼ぼうできる「ヒブ」)などの細菌ではありましたが、予防接種が普及した現在では細菌が原因となる例はほとんどなくなりました。

クループ症候群の主な症状

クループ症候群は、声帯、喉頭などの上気道で生じます。症状の多くは前述の咳や声がれとなります。

以下の症状が現れたらクループ症候群の可能性があります。

  • のどの痛み
  • ケーンケーン、ケンケンという犬が吠えた咳、オットセイの鳴き声に似た乾いた咳が出る
  • 息を吸うときに、のどから「ヒー、ヒー・・」と音が聞こえる
  • 声がかれる
  • 全身を使った呼吸困難
  • 発熱(全例ではありません)

一般的に、クループ症候群になると、のどの痛み、咳など風邪のような症状から始まりますが、炎症が強くなってくると喉頭・声帯の部分の特徴的な症状として、次第に声がかれていき、犬の遠吠えに似た咳が頻繁に出るようになることもあります。

休日・夜間の場合は受診が必要?

クループ症候群の症状があらわれると、苦しくて横になれない、眠れないなど生活に支障が生じますので、この場合には悪化防止のためにも、速やかに夜間・休日でも対応が可能である小児科を受診してください。

症状がひどくなると、呼吸のたびに肋骨の間や鎖骨が凹み、肩を上げて多呼吸などの呼吸困難に陥ることがあり、酸素濃度の低下により重篤な症状にもなり得ます。

クループ症候群の治療

現在では、ステロイドの短期間内服による症状改善が優先されます。

これに加えて、必要であれば、アドネナリンの吸入を実施することもあります。あわせて咳を抑える薬、痰を切る薬、アレルギーを抑える薬が処方される場合があります。

クループ症候群に対して、適切な治療を早期に行った場合には、数日以内に症状の夜間での再発はほぼありません。
ホームケアとしては、乾いた空気やエアコンの直接の風が刺激になりますから、水分をしっかり与えながら、加湿をして、エアコンの空気を直接あてないようにしてください。

まとめ

今回は小児科医の武井 智昭先生に「クループ症候群」について詳しく教えていただきました。

クループ症候群では、声がれや「ケンケン」「ケーンケーン」というような特徴的な咳などの症状がみられます。

症状がひどくなると呼吸困難を起こすこともあるため、夜間や休日であっても、横になれないほど苦しかったり眠れない様子であれば、早急に受診するようにしましょう。