【医師執筆】痛み止めを飲むタイミングは?痛みは我慢した方がいいの?

2023.10.12

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監修医師:郷 正憲(徳島赤十字病院)
保有免許・資格は日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。主な著書は『看護師と研修医のための全身管理の本』。

頭痛や生理痛、体のさまざまな痛みが発生した際、痛み止めを飲むタイミングについて悩んだことはありませんか?

「できるだけ痛み止めは使いたくない」「これくらいの痛みなら我慢した方がいいんじゃないか」などと考える方もいらっしゃるでしょう。

では本当に「痛み」は我慢するべきなのでしょうか?また痛みを我慢し続けるとどうなるのでしょうか? そんな疑問を解決するため、今回は麻酔科医の郷 正憲先生に「痛み止めを飲むタイミング」について教えていただきます。

痛みは我慢した方がいい?

痛みを我慢した方がいいという風なことは昔からよく言われます。しかしそれは本当に正しいのでしょうか。結論から言うと痛みは我慢しない方がいいです。

痛みというのは体が発する異常のセンサーです。痛みがあるということは体に何かの異常があるということですから、何かしらの対処をしなければならない可能性があります。

というのは、痛みが起こっているところでは炎症が起こっているのです。炎症というのは様々なことで起こってくる体の反応のことを言います。傷ができているのを直したり、感染症があるところに対して免疫反応を起こしたり、様々な作用が炎症反応では認められます。

この炎症が起こってくると、熱が出たり腫れてきたりといった反応に伴って、痛みが出てくるのです。

つまり痛みがある時というのは傷が治っている過程か、もしくは何らかの感染症が起こっているかあるいはそれ以外の何らかの大きな異常が起こっていることを示します。痛みを我慢するということはこれらの異常が起こっていることを無視することになりますのでさらにひどい状況になってしまう可能性があるため我慢しない方がいいのです。

もちろん様々な対策が考えられます。痛み止めを飲むのも一つですし、お腹が痛いのであればトイレに行って排便を試みるというのも痛みに対する行動でしょう。何にしても何らかの方法で痛みに対処しなければなりません。 痛みを我慢して良いことは1つもないということを知っておきましょう。

痛みを我慢し続けるとどうなる?

ではもし痛みが出た時に我慢し続けるとどのようなことが起こってくるでしょうか。

痛みを感じると人の体の中では自律神経系の中でも交感神経が活性化してきます。交感神経が活性化すると、脈が早くなったり血圧が上がったりといった反応が見られてきます。
そのような反応は一時的なものかもしれませんが、一時的にせよ循環器系に負担がかかり、心筋梗塞や肺塞栓などの重篤な病気をきたしてしまう可能性があるのです。

また慢性的な痛みを我慢して長期間横になっていると、だんだんと体が動かなくなってしまい、筋力が低下するなどの廃用症候群が起こってしまい、最終的には立ち上がれなくなってしまうようなこともあります。 さらには動かないことによって別の場所が痛くなってくるようなこともありますので痛みを我慢し続けることは何もいいことはないのです。

痛み止めを飲むタイミングは?

痛い時には痛み止めを使いたいところですが、痛み止めを飲むタイミングとしては、痛みを感じればすぐに使えばいいというのが結論になります。

痛みを我慢しても良いことはありませんので早めに使うのがいいでしょう。

ただし痛み止めの種類には注意が必要です。例えばロキソニンなどの一部の痛み止めは胃潰瘍をきたします。お腹が痛い時にロキソニンを使ってしまうともしかしたら胃潰瘍による痛みかもしれませんので、痛み止めを使ったつもりで元々の病気をさらに悪くしてしまうことになってしまいます。

アセトアミノフェンという薬であれば副作用がほとんどありませんから、比較的安心してどのような痛みでも使うことができます。 不安であれば早めに病院を受診して痛み止めの使用について相談するのがいいでしょう。

まとめ

今回は麻酔科医の郷 正憲先生に「痛み止めを飲むタイミング」について教えていただきました。

「痛み」は、体に何らかの異常が起こっているサインです。そのサインを無視し続けていても、体に良いことはありませんので、痛みを感じたらすぐに痛み止めを飲むようにしましょう。

ただし、ロキソニンなどのNSAIDsに分類される薬は、胃潰瘍などの副作用を起こすこともありますので、注意が必要です。 副作用に不安がある方や、痛み止めを飲んでも痛みが消えない場合が続いている場合は、一度医療機関を受診するようにしましょう。