【医師執筆】ロキソニンの内服薬と湿布薬の違いはある?併用しても大丈夫?
監修医師:郷 正憲(徳島赤十字病院)
保有免許・資格は日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。主な著書は『看護師と研修医のための全身管理の本』。
ロキソニンやボルタレンといった痛み止めには、内服薬も湿布薬もあります。それぞれどのような特徴があってどう違うのでしょうか。
また痛みが非常に強い場合や、体の複数の箇所で痛みが生じている場合は、内服薬と湿布薬を併用しても良いのかどうか悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。
そんな疑問を解決するため、今回は麻酔科医の郷 正憲先生に「ロキソニンの内服薬と湿布薬のちがい」について教えていただきます。
ロキソニンの内服薬と湿布薬の違いは?
内服の薬は、内服した後腸から吸収され、肝臓を通過した後全身に至ります。そのため痛い場所以外にもロキソニンの成分は行くことになります。
問題となってくるのは胃粘膜や腎臓です。ロキソニンが胃粘膜に到達すると胃粘膜に障害が出てきます。ひどくなると胃潰瘍が起こってきます。また腎臓に到達すると、だんだんと腎臓の機能を低下させてしまうのです。
一方で湿布の薬は、皮膚から吸収されてその場所にすぐに到達します。そのため全身に大量に張らない限り、関係のない臓器に到達してそこで悪影響を及ぼすということはほとんどないのです。
また貼っている間じわじわと薬が吸収されていきますので、痛み止めの効果が長い時間にわたって見られるという利点があります。 しかし一方で湿布の薬には制限があります。皮膚から吸収されてある程度の深さまでしか痛み止めは届きませんので、貼ることができる痛みの場所が制限されます。
また場合によっては皮膚がかぶれてしまうこともあるでしょう。
内服薬と湿布薬は併用しても大丈夫?
痛みが非常に強い時には内服薬と湿布の薬を併用したいと思うこともあるでしょう。実際にそのようなことはしても良いのでしょうか。
結論から言うと、絶対にダメというわけではないですが避けておいた方がいいと思われます。
湿布薬を使用して皮膚から吸収される薬の成分は、確かにその場所にほとんどがとどまります。しかし、全く全身に流れていかないというわけではありません。少しは血流に乗って体の様々な臓器に到達します。
すると内服薬で出てくるような胃粘膜障害や、腎障害と言った副作用が出てきてしまう場合があります。
体内に入る薬の成分が多くなればなるほどこれらの副作用は多くなってきますから、内服薬と湿布薬を併用することでこのような副作用が起こってくる可能性が高まってしまうのです。
まとめ
今回は麻酔科医の郷 正憲先生に「ロキソニンの内服薬と湿布薬のちがい」について教えていただきました。
内服薬のロキソニンは、胃粘膜や腎臓に障害を起こす副作用があらわれることがあります。一方で湿布薬の場合は、薬が全身に回りづらいため、そのような副作用の心配はほとんどありません。
もしどうしても片方の痛み止めで我慢できないようであれば、処方でなければ手に入らないような痛み止めを使用した方がいい場合もありますので、病院を受診した方がいいでしょう。痛みを自分だけで解決しようとしないのが大事です。