【医師監修】膀胱炎とは?治療方法や費用を解説

2023.06.20

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監修医師:村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
長崎大学医学部医学科 卒業 。九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て、現在は 医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務。専門は泌尿器科。

頻尿や残尿感、排尿痛などの症状があらわれる膀胱炎。膀胱炎は、男性よりも女性の方が発症しやすく、日本人女性の半数が一度は膀胱炎を経験するといわれています。

膀胱炎は健康な人でも発症することがあり、そして治ったと思っても再発しやすいのが特徴です。また膀胱炎を放置していると腎盂腎炎などを引き起こすこともあるため、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

この記事では医師監修のもと、膀胱炎の種類と特徴、そして治療方法と治療費の目安について解説していきます。

膀胱炎とは

膀胱炎とは、膀胱に炎症が起こる病気のことです。膀胱炎は男性よりも女性の方が発症しやすく、子どもから高齢者まで、さまざまな年齢でみられることがあります。
一般的に「膀胱炎」というと急性(単純性)膀胱炎のことを指すことが多いのですが、それ以外にも慢性(複雑性)膀胱炎や出血性膀胱炎、間質性膀胱炎などがあります。

まずは、急性膀胱炎の症状と原因についてみていきましょう。

急性(単純性)膀胱炎の症状

  • 頻尿
  • 残尿感
  • 排尿時の痛みや刺激感
  • 腰痛、下腹部の痛み
  • 尿のにごりや異臭   など

一般的に、昼間に8回以上、夜に2回以上排尿があることを「頻尿」といいますが、人によって排尿の回数は異なりますので、普段よりトイレに行く回数が増えたかどうかを目安にすると良いでしょう。また排尿後もまだ尿が残っている感覚(残尿感)があるのも、膀胱炎の特徴的な症状の一つです。

急性膀胱炎では、排尿時の痛みを感じる方も多く、下腹部や尿道口がヒリヒリとしみるような痛みがあらわれやすいです。

また上記の症状に加えて、以下のような症状があらわれた場合には特に注意が必要です。

  • 尿に血が混じる(血尿)
  • 背中や腰の痛み
  • 発熱、寒気   など

これらの症状があらわれた場合は、急性膀胱炎が重症化していることが考えられます。急性膀胱炎が重症化すると、次第に細菌が腎盂(じんう)という部位にまで広がり「腎盂腎炎」を引き起こす恐れがあります。

このような症状があらわれた場合は、必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

急性膀胱炎の原因

急性膀胱炎の主な原因は細菌感染、特に大腸菌の感染によるものです。
排便時に肛門の周りに付着した大腸菌が、排尿時や性行為時に尿道に逆流してしまい、膀胱に感染することがあります。特に女性は尿道が短く、膣や肛門からの細菌感染が起こりやすいため、急性膀胱炎を発症しやすいといわれています。

急性膀胱炎は健康な人でも発症することがありますが、特にストレスや過労などによって免疫力が低下していると、急性膀胱炎を発症するリスクが高まるため注意しましょう。

その他の膀胱炎

膀胱炎には急性膀胱炎以外にも、慢性膀胱炎、出血性膀胱炎、間質性膀胱炎などがあります。これらの膀胱炎は、それぞれ原因や症状が異なります。

ここでは、その他の膀胱炎の違いについて解説していきます。

慢性(複雑性)膀胱炎

慢性膀胱炎とは、膀胱の炎症が長期にわたって続いている状態をさします。急性膀胱炎を繰り返すことで、慢性膀胱炎に移行することがあります。

慢性膀胱炎では、頻尿や残尿感など急性膀胱炎と同じような症状があらわれますが、急性膀胱炎と比較すると症状は軽いケースが多いです。

出血性膀胱炎

出血性膀胱炎とは、血尿(尿に血が混じること)を伴う膀胱炎のことをさします。出血性膀胱炎はウイルスの感染や薬の副作用(抗がん剤、免疫抑制剤、抗アレルギー薬など)が原因となることが多いです。

出血性膀胱炎が重症化すると、貧血や膀胱タンポナーデ(膀胱の中で血が固まり、尿道がふさがってしまうこと)を引き起こすことがあるため、早めの治療が大切です。

間質性膀胱炎

間質性膀胱炎とは、膀胱の粘膜が萎縮することで発症する膀胱炎のことをさします。間質性膀胱炎の原因はいまだ解明されていないのですが、膀胱粘膜の機能障害や免疫学的な異常反応によるものと考えられています。

膀胱炎の予防に心がけたい生活習慣

膀胱炎は、人によっては一度治ったと思っても、何度も再発してしまうことがあります。細菌感染が原因となる急性膀胱炎の場合は、現在の生活習慣を見直し、膀胱炎の予防に努めましょう。

こまめに水分を摂取する

膀胱炎になるとトイレが近くなるため、あまり水分を摂らなくなってしまう方もいるのですが、実はそれは逆効果です。こまめに水分を摂取し、体内の細菌を尿として排出することが、膀胱炎の予防につながります。

トイレを我慢しない

膀胱内に尿が溜まったままの状態が長く続くと、細菌が発生しやすくなります。仕事中はなかなかトイレに行きづらいという方も多いかもしれませんが、できるだけこまめにトイレに行き、尿意を我慢しないようにしましょう。

陰部を清潔にする

女性の場合、生理中または生理の前後は細菌が発生しやすいため、おりものシートやナプキンはこまめに取り換えるようにしましょう。またトイレで用を足したあとは、前から後ろに拭くことで、便についた大腸菌が膀胱内に入ることを防ぎます。
陰部を清潔にする目的でビデやウォシュレットを使用すると、水圧によって大腸菌が膀胱内に入り込みやすく、逆効果となることがあるので注意しましょう。

規則正しい生活をし、ストレスをためない

睡眠不足やストレスにより、体の抵抗力が低下すると膀胱炎が発生しやすくなりま。バランスのとれた食生活・適度な運動・十分な睡眠を心がけるようにしましょう。

膀胱炎の治療と費用

軽度の膀胱炎であれば時間の経過と共に自然治癒することもあります。しかし膀胱炎は再発しやすく、間違った対処法を続けていると慢性膀胱炎につながる恐れがあるため注意しましょう。

膀胱炎の治療は主に泌尿器科で行われますが、近くに泌尿器科がない場合は内科、また妊娠中や授乳中であれば産婦人科でも診察は可能です。

ここでは、膀胱炎の治療と費用について詳しく解説していきます。

薬物療法

前述の通り、急性膀胱炎の主な原因は細菌感染によるものです。そのため、急性膀胱炎の治療では、この細菌を退治するために抗菌薬(抗生物質)が用いられることが多いです。

細菌が原因の急性膀胱炎であれば、抗生物質を服用すれば、数日~1週間程度で症状は良くなってきます。もし抗生物質を服用しても症状が改善されないという場合には、他の原因で膀胱炎が起きている可能性があるため、必ず再度医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。

また膀胱炎の症状が3か月以上続く慢性膀胱炎の場合も、細菌が原因であれば抗菌薬(抗生物質)での治療が行われます。ただし、他の病気や薬剤の影響で慢性膀胱炎が起こっている場合には、その原因となっている病気に対しての治療が行われます。

膀胱炎の治療費

膀胱炎での治療費の目安は以下の通りです。

膀胱炎の治療費(3割負担の場合)
初診:約3,000~5,000円(検査費・薬代含む)
再診:約1,000~2,000円

膀胱炎が疑われる場合、初診では尿検査を行い尿中の細菌を調べるケースが多いです。

また抗生物質を服用しても症状が改善しない場合は、必要に応じて、採血検査や超音波検査、膀胱鏡検査などを行うことがあります。

まとめ

膀胱炎は健康な人でも発症することがあり、特に女性に多くみられる疾患です。頻尿や残尿感、排尿痛などの症状がある場合、膀胱炎が疑われますので、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

また膀胱炎は一度治ったと思っても再発するケースも多いため、現在の生活習慣を見直して膀胱炎の予防に努めることも重要です。