【医師監修】クラミジアはどんな症状が出るの?検査や治療について解説

2023.10.26

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監修医師:村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
長崎大学医学部医学科 卒業 。九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て、現在は 医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務。専門は泌尿器科。

性感染症の中で感染者数が最も多いといわれているクラミジア。クラミジアは主に性行為によって感染します。

クラミジアをはじめとする性感染症はなかなか人に相談しづらかったり、場合によってはパートナーに打ち明けづらかったりすることもあるでしょう。しかしクラミジアに感染したまま放置していると、炎症が広がっていったり、男女共に不妊の原因となったりするケースもあります。

この記事では、医師監修のもとクラミジアの原因や症状、また検査や治療について詳しく解説していきます。

クラミジアとは

クラミジアは「クラミジア・トラコマティス」という細菌の感染によって起こる感染症のことです。主に性行為によって感染し、生殖器や泌尿器、口腔などへの感染がみられます。

クラミジアに感染しても、必ずしも自覚症状があらわれるわけではありません。そのため感染に気づかず、無意識にパートナーにもクラミジアを感染させてしまったというケースも多いのが特徴です。

クラミジアの感染に気が付かないまま放置していると、男性では尿道炎女性では子宮頸管炎などを起こすことがあります。

クラミジアの感染者数

クラミジアは、非常にポピュラーな性感染症の一つであり、世界および日本で感染者数が最も多い性感染症だといわれています。

日本における2021年のクラミジア患者数は、30,003人と報告されています。

年代別のクラミジア患者数は、以下の通りです。
参考:国立感染症研究所:感染症発生動向調査事業年報.第12-1

1位:20代前半   男性 3,877人 女性 5,274人

2位:20代後半      3,384人    3,696人

3位:30代前半      2,184人    1,821人

この順位からも分かるように、クラミジアは特に若い世代での感染者数が多い性感染症であるといえます。

クラミジアの原因

クラミジアは「クラミジア・トラコマティス」という細菌が、尿道や子宮頸管、咽頭、直腸などの粘膜から侵入することによって感染します。
主に性行為やキスによって粘膜や分泌物が直接触れることが感染の原因となります。

クラミジアの予防には、コンドームの装着が有効です。性行為のはじめから終わりまで適切にコンドームを使用することを心がけ、またオーラルセックスによる咽頭へのクラミジア感染のリスクなどにも注意しましょう。

クラミジアの症状

クラミジアに感染すると、1〜3週間の潜伏期間を経て、感染した部位に炎症が起きます

しかしやっかいなことに、クラミジアに感染しても多くの場合が「無症状」であると、さまざまな調査で報告されています。特に男性よりも女性の方がクラミジア感染による自覚症状があらわれにくいと言われています。

ここでは、クラミジアの代表的な症状について①男女共通の症状②男性特有の症状③女性特有の症状に分けて解説していきます。

男女共通の症状

前述の通りクラミジアは、尿道や子宮頸管、咽頭、直腸などの粘膜から侵入することによって感染します。そのうち、咽頭と直腸に感染した場合の症状は男女共通となります。具体的な症状について詳しくみていきましょう。

咽頭クラミジア

咽頭(のど)にクラミジアが感染した場合の主な症状は以下の通りです。

  • のどがイガイガする感じ
  • のどの痛みや腫れ
  • 咳やたん
  • 発熱   など

これらの症状は比較的軽度であることが多く、通常の風邪症状と混同しやすいのが特徴です。また自覚症状があらわれない場合も多く、検査をする以外では、なかなか発見がしづらいといわれています。

直腸クラミジア

直腸にクラミジアが感染した場合の主な症状は以下の通りです。

  • 排便時の出血や粘血便
  • 肛門の痛み
  • 肛門周囲の不快感やかゆみ
  • 下痢
  • 腹痛   など

直腸クラミジアは主にアナルセックスによって感染します。自覚症状があらわれにくく、症状があっても軽度である場合が多いです。

男性特有の症状

男性がクラミジアに感染すると尿道炎から発生し、精巣上体炎を起こすことがあります。精巣上体とは、陰のうの中で精巣の上側にある器官で副睾丸とも呼ばれています。

尿道炎および精巣上体炎による主な症状は以下の通りです。

尿道炎による症状

  • 排尿時の痛み
  • 尿道のかゆみや不快感
  • サラサラ〜粘りのある分泌液が尿道から出てくる   など

精巣上体炎による症状

  • 精巣上体の腫れと痛み
  • 陰のう皮膚の赤み
  • 発熱   など

女性特有の症状

女性がクラミジアに感染すると、炎症は子宮の入り口から体の上の方に向かっていきます。まず子宮頸管炎、そして子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患へと広がり、重症の肝周囲炎を起こすこともあります。

クラミジア感染による炎症を放置していると、女性の場合不妊症や子宮外妊娠につながる恐れがあるため、早めに適切な治療を受けることが重要です。

クラミジア感染でみられる女性特有の症状は以下の通りです。

  • おりものが増える
  • 不正出血(生理以外の出血)
  • 下腹部の痛み
  • 性交時の痛み
  • 上腹部の痛み(肝周囲炎の時)   など

クラミジアの治療

クラミジアは、基本的には自然治癒することはありません。しかし、きちんと治療をすれば治る病気です。

クラミジアが感染するのは主に泌尿生殖器です。そのため、治療をせずに放置をしていると、男女共に不妊の原因となることがあります。

男性の場合は精巣上体炎により無精子症となるリスクが高まります。また女性の場合は卵管炎による不妊症や子宮外妊娠、また妊娠しても流・早産のリスクが高まります。

クラミジアはほとんどが無症状のため発覚が遅れてしまうことも多いのですが、「クラミジアに感染したかも」と思ったら早めに適切な検査・治療を受けるようにしましょう。

クラミジアの検査・治療

クラミジア感染が疑われる場合、尿検査または感染が疑われる箇所の粘膜をぬぐって検査を行います

検査によりクラミジア感染が判明した場合は、細菌を殺すために抗生物質を服用して治療を行います。

クラミジア治療では、「アジスロマシン(商品名:ジスロマック)」という抗生物質が非常に有効です。
通常の抗生物質であれば、数日~1週間程度の服用が必要ですが、アジスロマシンの場合はほとんどの場合1回の服用のみでクラミジアを完治させます

クラミジアの感染が疑われる場合は、性的パートナーと一緒に検査・治療を受けることが重要です。
パートナーのどちらかがクラミジアに感染している場合は、相手も感染していることが多いです。また自分だけが治療を受けても、パートナーがクラミジアに感染しているままだと、再感染してしまうことも考えられます。

クラミジアは自覚症状がなくてもパートナーと一緒に検査・治療を受けるようにしましょう。

クラミジアの治療費

クラミジアの治療は主に泌尿器科もしくは女性の場合は婦人科で行われます。

クラミジアの検査にかかる費用は、一般的に症状の有無によって保険適用になるかどうかが決まります。つまり、気になる症状があり検査をする場合は保険適用(3割負担)、症状はないが感染に不安があり検査をする場合は自由診療(全額自己負担)です。

ただし一部の性感染症専門の病院など、自由診療のみの場合もあるため、費用について気になることがあれば事前に医療機関に問い合わせることをおすすめします。

クラミジアの治療費
保険適用の場合:約3,000~5,000円(検査費・薬代含む)
自由診療の場合:約6,000~8,000円

まとめ

クラミジアは感染しても、無症状のことも多く、治療が遅れてしまうケースも多くみられます。クラミジアの感染に気付かずに過ごしていると、無意識に感染を広げていたり、炎症が悪化して不妊や流・早産のリスクを高める要因となってしまいます。

クラミジアは抗生剤をきちんと内服すれば治る病気です。またクラミジアの治療においては性的パートナーと一緒に行うことが非常に重要です。

自覚症状や気になることがあれば早めに医療機関を受診してみましょう。