【医師監修】眼精疲労は治せる?正しい対処法を解説

2023.06.21

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監修医師:郷 正憲(徳島赤十字病院)
保有免許・資格は日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。主な著書は『看護師と研修医のための全身管理の本』。

デジタル機器を使用する機会が多い現代人にとって、眼精疲労は多くの人が直面する問題となっています。

眼精疲労の主な原因は「毛様体筋」という眼内の筋肉の疲れによるものであり、目の症状に加えて頭痛や肩こりなどの症状があらわれます。眼精疲労を放置していると日常生活に影響を及ぼすことも多いため、早めに適切な治療を受けることが重要です。

ここでは、医師監修のもと眼精疲労の症状や原因、また正しい対処法について解説していきます。

眼精疲労とは

眼精疲労とは、長時間の目の酷使などの原因によって、目の疲れや痛み、頭痛や肩こりなどの症状があらわれる状態をさします。

パソコンやスマートフォンなどを見続けたあと、一時的に目の疲れや痛み、充血などが起きたという経験をしたことがある方は多いでしょう。こういった症状が一時的であり、目を休めたり睡眠をとれば回復するという場合は、眼精疲労ではなく「疲れ目」である可能性が高いです。

眼精疲労は、これらの「疲れ目」の症状に加えて、頭痛や肩こり、吐き気などの全身症状があらわれるのが特徴です。また休息や睡眠をとっても症状が改善しないという場合に眼精疲労が疑われます。

まずは、眼精疲労の原因や症状について詳しくみていきましょう。

眼精疲労の原因

眼精疲労は主に目のピントを調整する役割をもつ「毛様体筋」という眼内の筋肉の疲れによって引き起こされます。

毛様体筋に負担がかかる原因としては、以下のようなことが考えられます。

  • 目の異常
  • からだの病気やストレス
  • 作業環境   など

それぞれの原因について詳しくみていきましょう。

目の異常

遠視や乱視、近視、老眼、ドライアイなどの目の異常があることで、見えづらいものを無理に見ようとしてしまい、目に負担がかり眼精疲労を引き起こすことがあります。

メガネやコンタクトレンズの度が合わなくなってきたと感じている場合は、一度眼科で視力を測りなおしてみましょう。

また緑内障や白内障、間欠性外斜視や外斜位などの目の病気も眼精疲労を引き起こす原因となることがあります。

からだの病気やストレス

目の病気だけでなく、体の病気に伴って眼精疲労が起こることもあります。具体的には、高血圧・糖尿病・自律神経失調症・耳や鼻の病気・更年期障害などの病気が挙げられます。

また慢性的な疲れや精神的なストレスにも注意が必要です。これらの原因により自律神経が乱れ、ドライアイを引き起こしたり眼精疲労を引き起こすことがあります。

作業環境

長時間のデジタル機器(パソコンやスマートフォンなど)の使用は眼精疲労を引き起こす要因となりやすいと考えられています。集中して画面を見ている間は自然とまばたきの回数が減るため、目の乾燥や目の疲れにつながります。デジタル機器での作業が続く場合でも、1時間に1回は画面から目を離し、目を休憩させる時間を作るようにしましょう。

また室内が暗い環境で目を酷使したり、エアコンをつけた乾燥した室内などでの作業は、目の乾燥や疲労をより強める恐れがあるため注意が必要です。

眼精疲労の症状

眼精疲労では目の症状に加えて体の症状があらわれます

眼精疲労の主な症状は以下の通りです。

  • 目の疲れ、乾き
  • 目がかすむ、ぼやける
  • 目のかゆみ
  • 充血
  • 光がまぶしく感じる
  • 頭痛
  • 肩こり
  • めまい
  • 吐き気   など

これらの症状が慢性的にある、また休息や睡眠をとっても症状が改善されないという場合には眼精疲労が疑われます。

眼精疲労の治療と費用

眼精疲労は単なる目の疲れではなく、日常生活や生活環境、または目や体の病気により引き起こされる病気です。

気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、眼精疲労の原因に応じて適切な治療を受けるようにしましょう。

眼精疲労を放置するとどうなる?

眼精疲労を放置すると、集中力や注意力が低下し日常生活に影響をおよぼします

また、症状が悪化するとドライアイや眼瞼けいれんの症状を悪化させるリスクがあります。

眼精疲労の症状に不安がある場合は、早めに医療機関を受診し適切な治療を受けるようにしましょう。

眼精疲労の治療

眼精疲労の治療では、眼精疲労を引き起こす原因となっている生活習慣の改善に加えて、必要に応じて点眼薬を用いた治療が行われます。

また現在お使いのメガネやコンタクトレンズの度が合っていない場合には、視力検査をして適切な度数のメガネやコンタクトレンズを作り直す必要があります。

治療法①生活習慣の改善

デジタル機器を使う機会が多い方は、定期的な休憩や目を休める時間を設けることが重要です。仕事上パソコンを使う時間が長いという方は、1時間に1回はパソコンから目を離して遠くを見るようにする、また日頃からダラダラとスマホを使う時間を減らすことなどを心がけましょう。

また照明の調整が画面の明るさの調整などにより、できるだけ目が疲れにくい環境を整備することも大切です。

治療法②目のトレーニング

前述の通り眼精疲労の主な原因は毛様体筋という眼内の筋肉の疲れ、つまり「コリ」によるものです。そのため肩こりや首こりと同様に、目の筋肉のコリをほぐすことが効果的です。

目をギュッと閉じたあとにパッと開いたり、目を上下左右に動かしたりと、定期的に目のトレーニングをするようにしましょう。

また温めたタオルを目の上に乗せたり、使い捨ての蒸気アイマスクを使い目の周りを温めてあげることで、筋肉がほぐれる効果が期待できます。

ただし目が充血していたり、目に炎症が起きている場合には目を温めることが逆効果となってしまうこともあるため、一度眼科で相談してみるようにしましょう。

治療法③点眼薬

眼科では、眼精疲労の治療として目のピント調節に関係する筋肉に作用する点眼薬が処方されます。

眼精疲労の治療として、眼科で処方される点眼薬の種類には、主に以下のようなものがあります。

  • サンコバ
  • ミドリンM
  • ミオピン   など

また眼精疲労はドライアイを併発しているケースも多く、その場合は人口涙液やヒアルロン酸ナトリウムなどの点眼を併用します。

眼精疲労の症状を緩和させるための市販薬も販売されていますが、一般的に市販の点眼薬には防腐剤が含まれているため、長期使用には適していません

眼精疲労には他の病気が隠れている可能性もあるため、気になる症状がある方はできるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。

眼精疲労の治療費

眼精疲労で眼科を受診した際の治療費の目安は以下の通りです。

眼精疲労の治療費(3割負担の場合)
初診費:約3,000~5,000円(検査費・薬代含む)
再診費:約1,000~2,000円

眼精疲労の治療費は、症状の重さや治療方法によって異なります。一般的には、眼科の診察料や処方される点眼薬の費用がかかります。また眼精疲労に関連する他の疾患がある場合は、それに応じた検査や診察料の治療費が発生する可能性もあります。

眼精疲労の原因は多岐にわたるため、適切な治療法についてはかかりつけ医と相談しましょう。

まとめ

眼精疲労は、デジタル機器の使用が多い現代人の多くが直面する問題です。

目の症状に加えて頭痛や肩こりなどの全身の症状がある場合には、眼精疲労が疑われるため早めに医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

また眼精疲労の治療および予防には、日常生活の改善も重要です。業務上どうしてもデジタル機器の使用時間が長くなってしまうという方は、1時間に1回は画面から目を離し、目を休憩させることを心がけましょう。