レーシックとICLを比較!

自分に合うのはどっち?

2023.07.31

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監修医師:郷 正憲(徳島赤十字病院)
保有免許・資格は日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。主な著書は『看護師と研修医のための全身管理の本』。

長年メガネやコンタクトレンズを使用してきたけれど、視力矯正手術に興味があるという方も多いでしょう。

日本で行われている視力矯正手術には、主にレーシックとICL(眼内コンタクトレンズ)の2種類があります。レーシックやICLの手術は、視力を回復するだけでなく、生活の質を向上させることが期待できます。

この記事では、医師監修のもとレーシックとICLの違いや効果、リスク、費用面などについて解説していきます。

レーシックとICLの選び方

視力矯正手術というとレーシックを思い浮かべる方が多いかもしれません。

日本では2000年にレーシックが厚生労働省の承認がおり、現在までに推定100万人以上の方がレーシック手術を受けたといわれています。

しかし視力矯正手術の方法はレーシックだけではありません。日本では2010年に厚生労働省の承認がおりたICL(眼内コンタクトレンズ)を選択する方も増えてきています。

レーシックとICLはそれぞれ手術方法が異なります。まずは、それぞれの特徴についてみていきましょう。

レーシックの特徴

レーシックとは、近視、遠視、乱視などの視力矯正手術の一つで、角膜を削って視力を改善する治療方法です。

レーシックの特徴は、手術時間が短く、痛みが少ないことです。また、手術後の回復も早く、視力が安定するまでの期間も短いといわれています。

レーシックは、視力回復の効果がある手術ですが、手術である以上100%リスクがないとは言えません

レーシックの副作用としては、稀にドライアイや夜間視力の低下などが起こることが報告されています。

また近視や乱視が強すぎたり、角膜が薄かったりする場合は、レーシックが適さないケースもあります。

ICLの特徴

ICLとは、眼内コンタクトレンズのことで、眼に小さなレンズを入れて近視・遠視・乱視を矯正する治療方法です。

ICLは角膜を削ることなく、わずか3mmほどの小さな切開創からレンズを入れて視力を矯正します。

ICLの特徴は、手術が簡単であることや、角膜を削らずに行えるため手術後の回復が早いことが挙げられます。ICLを入れたあとは半永久的に効果が持続しますが、もしレンズが合わなかったり視力が変わったりしたら、レンズを取り換えることも可能です。

それぞれのメリット・デメリットを解説

レーシックとICLには、それぞれメリット・デメリットがあります。自分に合った手術を選ぶためには、それぞれの特徴を理解することが大切です。

ここでは、それぞれのメリット・デメリットについてみていきましょう。

レーシックのメリット・デメリット

レーシックのメリットは以下のようなことが挙げられます。

  • 近視・遠視・乱視が治せる
  • 手術時間が短い
  • 術後の回復が早い(手術当日から視力が良くなる)
  • 比較的安価である

レーシック手術には多くのメリットがあります。

近視・遠視・乱視を改善することができ、手術時間も比較的短く済みます。また、手術後の回復も速く、早ければ手術当日から視力の改善が実感できます。

費用については後ほど詳しく解説いたしますが、レーシックはICLと比べてリーズナブルに受けることができます。またコンタクトレンズを長年使い続けることを考えると、一度の手術で済むレーシックの方が安価で済む場合が多いです。

一方、レーシックのデメリットとしては以下のようなことが挙げられます。

  • 復元ができない(角膜を削ったら元に戻せない)
  • 手術後に一時的な視力低下やドライアイなどの副作用が出る
  • 角膜感染症やフラップの剥離などの合併症が起こる可能性がある

レーシックで削った角膜は、元に戻すことはできません

また、手術後に一時的な視力低下やドライアイなどの副作用や、角膜感染症やフラップの剥離などの合併症が起こる可能性もあります。

レーシックは基本的には安全性が高い手術として世界的に認められていますが、こういった副作用や合併症があることをしっかりと理解したうえで、不安なことがあれば事前に必ず医師に相談するようにしましょう。

ICLのメリット・デメリット

ICLのメリットは以下のようなことが挙げられます。

  • レーシックが受けられない強度の近視や乱視にも対応
  • レンズは取り出すことができるので、問題が生じた場合や将来的に別の手術を受けたい場合にも対応可能
  • 手術は日帰りで行えて、手術時間は20~30分ほど

ICLはレーシックでは矯正が難しいと言われていた、強度の近視や乱視、遠視に対応できることが大きなメリットです。

またレンズを取り出すことが可能なため、将来的に問題が生じた場合や別の手術を検討したい場合にも柔軟に対応できます

一方、ICLのデメリットとしては以下のようなことが挙げられます。

  • 手術費用が高額
  • 手術後に眼圧が上昇する可能性がある
  • 術後の一定期間は、入浴や洗顔、メイクなどの日常生活の制限
  • 手術には一定の適応条件があり、年齢や視力、眼の状態などによっては受けられない

一方で手術費用が高額であることや、手術後に眼圧が上昇する可能性があることなどがデメリットとして挙げられます。

また手術による眼の内部の変化が原因で、眼圧が一時的に上昇することがあります。ただし、適切なアフターケアを受けることで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
ICLは視力矯正手術の中でも安全性や効果が高いと言われていますが、年齢、視力、眼の状態などによっては手術が適さない場合があることも覚えておきましょう。

レーシックとICLの費用を比較

レーシックとICLを比較すると、レーシックの方が安価で受けやすい治療法です。

一般的な費用目安は以下の通りです。

レーシック(両眼):約20~50万円

ICL(両眼):約40~70万円

レーシックは手術に使用する機器によって金額が変動します。最新の機器を選択した場合は費用が高くなる分、ドライアイなどの副作用のリスクを下げたり、術後のより自然な見え方などの効果が期待できます。

ICLは入れるレンズによって金額が変動します。強度近視や乱視に対応したレンズや、合併症リスクを下げるためのレンズなど、さまざまな種類があるため、自分自身の目の状態に合わせてレンズを選択するようにしましょう。

また医療機関によっては、手術費用の中に定期検診やアフターケアの費用が含まれている場合もあります

万が一術後にトラブルがあった際など、どこまでの保証が受けられるかなどをよく確認したうえでクリニックを選ぶようにすると良いでしょう。

保険は適用される?

レーシックとICLはいずれも自由診療のため、健康保険は適用されず費用は全額自己負担となります。

民間の医療保険でもレーシックやICLは給付金の対象外であることがほとんどです。ただし確定申告を行うことで医療費控除の対象となります。

レーシックやICLを受けた際は、確定申告を行うまで、領収書や診療明細書などをしっかりと保管しておくようにしましょう。

まとめ

この記事では、レーシックとICLの選び方について詳しく解説しました。それぞれの特徴を理解し、自分のニーズや状況に合った手術方法を選ぶことが大切です。

またレーシックやICLは高額な手術となるため、検討する際は費用面も重要なポイントとなるでしょう。ただし費用だけでなく、手術方法や適応範囲、見え方や安全性なども考慮して、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。