メディコレNEWS|【医師監修】皮膚科で行うニキビ治療とは?

2023.08.30

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監修医師:竹内 想(名古屋大学医学部付属病院)
医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積みました。 現在は主に皮膚科医・産業医として勤務しています。

ニキビはほとんどの人が経験したことのある肌のトラブルです。ニキビは特に思春期にできやすく「青春のシンボル」などと表現されることがあります。

大人が発症するニキビは思春期のニキビと違い、「思春期後ざ瘡」とも呼ばれます。発症する原因が複雑であるため、ニキビが同じ場所で繰り返したり、痕が残りやすかったりといった特徴があります。そのため気になる症状があれば、早めに適切な治療を受けることが重要です。

ここでは、医師監修のもと皮膚科で行うニキビ治療やその費用について詳しく解説していきます。

ニキビ治療は皮膚科でできる?

ニキビは尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)と呼ばれる皮膚の病気です。ホームケアや市販薬で対処する方も多いですが、ニキビは皮膚の病気ですので病院で治療ができます

基本的にニキビは「毛穴のつまり」「皮脂の過剰分泌」「アクネ菌の増殖」などが発生の原因となりますが、他にも不規則な生活や間違ったスキンケアでも発症することがあります。

症状や原因によっても必要なケアはさまざまなため、適切な治療を受けるためにはニキビの治療を専門的に行っている医師がいる医療機関を受診しましょう。

こんな症状があったら皮膚科へ

ニキビの治療は早ければ早いほど効果的です。時々ポツポツとできるニキビは、セルフケアで改善するものもあります。しかし大人ニキビは治っても繰り返すといった厄介な病気のため、ニキビの数や大きさ、重症度に関わらず早めの段階で皮膚科にいくことをおすすめします。

特に以下のような症状が出てくる場合は、症状が悪化していることが考えられるため早めに医療機関を受診しましょう。

  • 赤みが強い
  • 膿(うみ)が出る
  • 痛みがある
  • 同じ部分に繰り返しできる
  • 顔全体にニキビができている など

皮膚科で行うニキビ治療

ニキビの治療には原因や症状によっても異なりますが、およそ2か月〜3か月ほどかかります。早くて2週間ほどで効果がみられる人もいますが、大人ニキビは繰り返しやすい特徴があるため、中にはニキビがなくなるまで数年かかる人もいます。

一時的に症状が落ち着いたからといって自己判断で治療を中止せずに、医師の指示に従ってしっかりとニキビを根本から治していくことが大切です。

皮膚科で行うニキビの治療は大きく分けて以下の4つがあります。

  • 飲み薬
  • 塗り薬
  • 処置
  • ケミカルピーリング

それぞれの治療の特徴について詳しくみていきましょう。

飲み薬

赤ニキビや黄ニキビなど炎症が強い場合には、主に抗生物質が処方されます。ニキビの原因となるアクネ菌や雑菌などの細菌を殺し、炎症の悪化を防ぐ効果があります。

皮膚科で処方される抗生物質の種類としては、主に以下のようなものがあります。

  • テトラサイクリン系(ミノサイクリン、ドキシサイクリンなど)
  • マクロライド系(ルリッド、クラリスなど)
  • ペネム系(ファロペネムなど)

これらの薬をニキビの原因や症状に合わせて使用します。また必要に応じて肌のコンディションを整えるためのビタミン剤や、炎症を抑えるための漢方薬などが処方されることもあります。

難治性ニキビ治療に使用される「ロアキュタン」とは

大きなニキビが多数できるような難治性のニキビ治療では、「ロアキュタン」というビタミンA類似薬が高い効果を発揮することがあります。ロアキュタンは、海外では重度のニキビ治療薬として広く使用されている薬となりますが、現在日本では未承認の薬となり、使用する際は保険が適用されず自由診療(全額自己負担)の扱いとなります。

重度のニキビ治療に高い効果を発揮するロアキュタンですが、胎児の先天異常、奇形、流産、早産、死産などの重大な副作用が報告されているため妊娠中・授乳中・妊娠の可能性のある方・妊娠を希望している方は使用できません。また成長期で身長が伸びている方(15歳未満の女性、18歳未満の男性)も使用が禁止されています。

ロアキュタンの処方を希望している方は、かかりつけの皮膚科で副作用やリスクについてしっかりと説明を受けたうえで内服するようにしましょう。

ロアキュタンの費用(自由診療のみ)
1か月分(30錠):約20,000~25,000円

塗り薬

塗り薬は、顔全体に塗る場合やニキビの部分のみに塗るものなど使い方はさまざまです。皮膚科で処方される主な塗り薬の種類と効果は以下の通りです。

  • 過酸化ベンゾイル:ニキビの原因となるアクネ菌を殺菌する
  • アダパレン:毛穴の詰まりを予防し、新たなニキビの形成を阻害する
  • クリンダマイシン、ナジフロキサシンなど:ニキビの原因となるアクネ菌を殺菌する

赤みのあるニキビや膿を持ったニキビには、1種類だけではなくいくつもの薬を併用する治療を行う場合もあります。

処置

専門の器具を使用し、毛穴に詰まっている皮脂や角質などを取り除く面ぽう圧出(コメド圧出)があります。全員が処置の対象になるわけではなく、必要に応じて行われます。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは美容皮膚科で行われる施術で、皮膚に化学薬品を塗り皮膚を剥がすことにより効果を発揮します。たとえば、フルーツ酸という酸が毛穴につまった角質を剥がすことにより、肌の状態を改善します。

ケミカルピーリングは、肌の細胞が生まれ変わる周期(ターンオーバー周期)に合わせて1か月に1回程度の施術を行う場合があります。その他にも、ニキビ跡にはレーザー治療や削皮術などの治療が適応されます。

皮膚科のニキビ治療はいくらかかる?

皮膚科でニキビの治療を行った場合の費用目安は以下の通りです。

ニキビ治療の費用目安(3割負担の場合)

初診費:約3,000~5,000円
再診費:約1,000~2,000円

薬代は処方される薬によって費用が変動しますが、1か月あたり約1,000~3,000円が目安となります。また前述のケミカルピーリングなど、美容皮膚科で自由診療の治療を受けた場合は、保険が適用されないため、全額自己負担となります。

自由診療で受けられる治療例と費用目安は以下の通りです。

ニキビ治療の費用目安(自由診療の場合)

ケミカルピーリング:約5,000〜20,000円(1回あたり)
IPL(光治療):約10,000〜40,000円(1回あたり)
光線力学療法:約30,000円〜60,000円(1回あたり)
ホルモン療法:約8,000〜20,000円(1か月あたり)
イソトレチノイン:約15,000〜60,000円(1か月あたり)

これらの費用は美容皮膚科クリニックによって金額が変わるため、よく調べてから受診するようにしましょう。

まとめ

ニキビは「尋常性ざ瘡」と呼ばれ、皮膚の病気の1つです。中でも大人が発症するニキビは「思春期後ざ瘡」と呼ばれ、繰り返しやすいのが特徴です。

皮膚科におけるニキビの治療では主に飲み薬や塗り薬が使用され、個人の肌質やニキビの原因によって適切な薬を処方されます。

ニキビの悪化を防ぎ、ニキビ痕が残らないように治すには早めの対処が重要になります。小さなニキビであっても、早めに医療機関を受診するようにしましょう。