メディコレNEWS|【医師監修】大人ニキビ、4つのやってはいけないこと
監修医師:竹内 想(名古屋大学医学部付属病院)
医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積みました。 現在は主に皮膚科医・産業医として勤務しています。
ニキビといえば思春期と思われがちですが、大人になってからもニキビに悩まされている方は多くいます。
大人ニキビは思春期のニキビとは発生原因が違い、大人ニキビに合わせた対応をしなければなりません。炎症が治っても色素沈着やニキビ痕を残してしまうこともありますので、早期から医療機関で治療を開始することが推奨されます。
この記事では、医師監修のもと大人ニキビの症状や原因、やってはいけないことから対処法まで詳しく解説いたします。
大人ニキビとは
大人ニキビとは、成人後に発生するニキビ(尋常性ざ瘡)のことです。
ニキビは90%以上の人が経験する一般的な皮膚の病気であり、皮膚科で治療が可能です。
ニキビは慢性炎症性疾患であり、治るまでに数年かかることも少なくありません。
中でも大人ニキビは難治と言われており、ニキビの炎症が良くなってからも色素沈着やニキビ痕が残ることもあります。
このような症状は顔が主体であるために「自分の顔を見るのが嫌だ」「人に会いたくない」などのマイナス感情を抱いてしまい、日常生活、社会生活への影響が大きくなりがちです。
大人ニキビの症状
大人ニキビの症状で特徴的なのは、頬やあご、フェイスラインといったUゾーンに多く発生することです。
皮脂が毛穴にたまることで、白ニキビ・黒ニキビが発生します。そして毛穴が閉塞することで毛穴の中に酸素がなくなり、アクネ菌が増殖して炎症を起こし丘疹(赤ニキビ)や膿疱(黄ニキビ)へと移行します。
大人ニキビの原因
大人ニキビは、思春期のニキビとは原因が異なります。
大人ニキビの主な原因として以下の5つが挙げられます。
- 乾燥
- ストレス
- 生活習慣
- 毛穴のつまり
- ホルモンバランス
それぞれの原因について詳しくみていきましょう。
乾燥
大人ニキビの最大の原因は乾燥だといわれています。
20〜30代の女性を対象とした調査では、フェイスラインとフェイスライン以外の部分との水分量の差が大きいほど、ニキビの数が多くなっていることが分かりました。
大人ニキビはUゾーンに多発しますが、この結果からフェイスラインが乾燥していると、ここにニキビが多く発生するということがわかります。
肌が乾燥すると、肌のターンオーバーに乱れが生じます。
古い角質が剥がれおちない状況では角質層が硬くなって毛穴が狭くなり、通常の油分量でもすぐに詰まってしまうためニキビが発生しやすくなると考えられます。
ストレス
心理的ストレスがかかると、ストレスホルモンが分泌されます。
ストレスホルモンの影響で皮脂の分泌が促されますが、肌が乾燥して毛穴が狭くなっているところに通常量以上の皮脂がたまるとニキビが発生しやすくなります。
生活習慣
睡眠不足や顔の皮膚を刺激するような行為は大人ニキビの原因となります。睡眠不足はホルモンバランスを崩し、ストレスホルモンを多く分泌させます。
その他、顔を触るクセがあったり、マスクや髪の毛、マフラーなどが常に顔に当たる状況であったりすると皮膚を刺激し、大人ニキビが発生しやすくなってしまいます。
毛穴のつまり
化粧をしたまま眠ってしまう、洗顔やシャンプーなどの泡が落ちきれていないなど、毛
穴をふさいでしまう状況を作ってしまうと、大人ニキビが発生しやすくなります。
ホルモンバランス
ニキビが多くできる人は、月経によるホルモンバランス変化のため、顔の部分乾燥が進みやすいことがわかっています。
大人ニキビにやってはいけない4つのこと
大人ニキビは一度できると、炎症が治まったあとも何度も繰り返し発生することがあります。そのため、大人ニキビを発生させないための予防をすることが重要です。
ここでは、大人ニキビにやってはいけない4つのことを紹介します。
洗顔のしすぎ
大人ニキビを予防するためには、1日2回の洗顔料を使用した洗顔が推奨されています。
しかし1日に何度も洗顔をしたり、洗顔の際に肌をごしごしこすってしまうと、肌の乾燥を促したり、刺激により炎症を起こさせたりして大人ニキビを悪化させることがあるため注意しましょう。
日焼けする
日焼けをすると肌が乾燥し、ニキビが発生しやすくなります。
肌の乾燥は肌のターンオーバーを乱れさせ、毛穴の角質を硬くして皮脂がつまりやすい状況となるため大人ニキビを発生させやすい状況となります。
夏だけでなく、1年を通して紫外線を浴びる際は日焼け止めや帽子などを使用し、日焼けを予防するようにしましょう。
大人ニキビを触る、潰す
大人ニキビが気になってもむやみに触らないようにしましょう。
そして、大人ニキビを潰すのはやめましょう。医療機関で行うように皮脂をうまく押し出すことはできませんので、かえって炎症を悪化させてしまうことになります。
また男性は髭剃りの方法に注意しましょう。電気シェーバーを使用するか、切れ味の良いカミソリでシェービング剤を使用しながら髭を剃ることで、大人ニキビを傷つけるリスクを減らします。
できるだけメイクはしない
大人ニキビが出来ている箇所は、ファンデーションやコンシーラーを塗ることは避けましょう。化粧品により毛穴をふさぎ、大人ニキビを悪化させる恐れがあります。
ただし、まぶたや唇などニキビが発生していない箇所へのメイクはOKです。
大人ニキビを塗りつぶすのではなく、ポイントメイクで目や唇を引き立たせ大人ニキビを目立たせないようにすると、精神的な苦痛が和らぎ生活の質が改善することが期待されます。
大人ニキビの対処法
大人ニキビが発生したら早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
また治療の補助・症状の悪化を回避するため、セルフケアを並行して行うことも大切です。
皮膚科では主に飲み薬や塗り薬を使用して大人ニキビの炎症を抑えます。
大人ニキビは一度炎症が治まってからも何度も繰り返してしまうことがあるため、自己判断で服薬を中断せずに、必ず医師の指導のもと適切に薬を使用していくことが大切です。
皮膚科で行うニキビ治療は保険適用(3割負担)となりますが、一部の治療(ケミカルピーリングなど)や美容皮膚科クリニックでの治療は自由診療となるため、事前に費用の確認をするようにしましょう。
自宅でできるセルフケア
また飲み薬や塗り薬での治療と並行して、以下のセルフケアを続けるように心がけましょう。
- 1日2回の洗顔料を使用した洗顔
- 保湿
- 日焼け予防
- 大人ニキビを触らない、潰さない
- 髪や衣類などによる接触を控える
- 髭剃りは電気シェーバーか、切れ味の良いカミソリでシェービング剤を使用する
- ストレス発散
- 十分な睡眠 など
まとめ
大人ニキビは特に頬やフェイスラインのUゾーンに発生しやすいという特徴があります。
大人ニキビの大きな原因となるのは、肌の乾燥です。
乾燥によって肌のターンオーバーが乱れ、角質が硬くなって毛穴が狭くなり皮脂がつまりやすくなるために大人ニキビが発生します。その他、ストレスや生活習慣、月経なども大人ニキビの原因となります。
大人ニキビは、炎症が治った後も色素沈着やニキビ痕が残ることもありますので、スキンケア製品に頼るよりも早い段階に医療機関で治療を開始することをおすすめします。