「患者の治療選択肢を柔軟に考える」 産婦人科専門医・佐藤綾華ドクターの思い

2024.01.30

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株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、産婦人科専門医の佐藤綾華先生にお話しを伺いました。

Profile
佐藤 綾華
北海道大学医学部を卒業し、宮城県で救急診療に力を入れている石巻赤十字病院で初期研修を受ける。その後産婦人科を専攻し産婦人科専門医を取得。さらに、日本女性心身医学会認定更年期指導士の資格も保有している。

「患者の治療選択肢を柔軟に考える」産婦人科専門医の思いとは

――本日はお時間いただきありがとうございます!早速なのですが、佐藤先生が医者になられた思いを教えてください。

佐藤先生 私は、親族など身近な立場の人の中に医師はいませんでした。そんな私が医師を志すきっかけとなったのは、中学生の頃にみた救急診療がテーマのドラマでした。ドラマの中で描かれていた、困難な状況であっても多くの人の命を救ったり、病気に苦しむ人を治療する医師の姿に憧れたのを今でも覚えています。こうした純粋な気持ちから医師になりたいと思いました。高校に進学すると、積極的に心肺蘇生の体験や病理診断の講義に参加しました。また、マウスの解剖実習など医師の業務に関する体験をする中で、医学への興味がどんどん大きくなっていったことを覚えています。学生ながらに少しずつ医師という仕事への理解を進めていく中で、患者1人1人と向き合う必要があるため、1つとして同じ診療はないことを実感し、よりいっそう医師になりたいという思いが強くなりましたね。実際に医師になってからは、まずは救急患者さんの初期対応ができるようになりたいと想いから、救急診療が盛んな病院で研修を受けました。医師を志すきっかけとなったような、ドラマに近いような緊迫した状況で人の命を救う現場に医師として参加できたことに感動しましたね。

――医師に憧れたきっかけとなったようなシーンを、実際にご自身で体験したのは感慨深いですね。現在の診療科に進んだきっかけはどういったものだったのでしょうか?

佐藤先生 大学で各診療科の講義を受ける中で一番面白さを感じたのが産婦人科学でした。初めて見たお産は神秘的で、病院の中では唯一ともいえる幸せな空間だと感じたんです。さらに産婦人科は、命の誕生から思春期の変化、月経、更年期など女性の一生に関わることができる診療科なので、広い意味で日常生活をサポートできるところにやり甲斐を感じました。これは、やり甲斐というだけではなく、やらなければいけないという必要性も同時に思いました。 また、私は医師である前に1人の女性です。患者さんと同じ経験をしていたり、共感できることもあると思ったので、産婦人科医は女性である自らの強みを活かせるのではと思いました。

――命の誕生を目の当たりにした感動も大きな経験だったのですね。また、女性の健康に長く関わることができるのも産婦人科ならではです。普段の臨床ではどのようなことを行なっているんですか?

佐藤先生 普段の臨床では、自然分娩や吸引分娩、帝王切開での出産などいろいろなお産に携わっていますね。なるべく妊婦さんが望むような自然な形で安全なお産を目指していますが、緊急事態、またはそれに陥りそうな状況を事前に推測して適切な医療介入ができるように心がけています。婦人科診療では、外来で月経に関する悩みや更年期の症状、陰部のマイナートラブルなどを抱える患者さんを担当しています。患者さんの中には、子宮筋腫や卵巣腫瘍など、手術が必要になる患者さんもいます。こうした患者さんにもしっかりとした治療を行うことができるように、主に良性疾患の内視鏡手術について上級医の指導を受けながら修練していました。

――妊婦が希望するお産の実現を目指しながらも、あらゆる可能性を考慮して対策を心がけているということでしたが、他にも臨床で大事にしていることはありますか?

佐藤先生 短い診療時間でも、患者さんが自分の病気や状態をきちんと理解できるように説明することを重要視しています。患者さんがどのような治療の選択肢があるのかというのを柔軟に考えるようにするべきと恩師に教わりましたので、今でもこの考え方は大事にしています。。

――1つの治療方法だけではなく、できるだけ多くの選択肢を考えてもらえるのは、患者さんにとっては安心ですね。佐藤先生が、「伝える」ということを重要視していることもよくわかりました。現在の取り組みに加えて、今後チャレンジしたいことはありますか?

佐藤先生 私は10代の婦人科領域に関連する悩みや心配ごとなどを気軽に相談できるような立場でありたいと思っていますので、そのような活動に参画できればと思っています。また、女性医学の分野、例えば更年期でエストロゲンが低下することでの健康への影響や諸症状に対する治療なども勉強しています。フェムテックについて興味を持っていますので、勉強をしているところです。実は、私自分も不妊治療、出産、育児の経験があり、様々な悩みを経験しながら過ごしてきました。こうした経験と産婦人科医としての知見を活かして、私と同じように悩んでいる女性をサポートするような製品・サービスの開発に携わりたいと考えています。

――最後に、ここまで読んでいただいた方に伝えたいメッセージをお願いします。

佐藤先生 私の思いを紹介する記事を読んでくださってありがとうございます。 私は臨床など医師としての仕事と同時に、メディアの記事など皆さんが目にする産婦人科領域のコンテンツへの監修を積極的にしていきたいと思っています。 みなさまのお役に立てるような記事が1つでも多く世の中に出る手助けができるよう努めてまいります。