「頭痛AI診断の社会実装を」脳神経外科医・ 勝木将人ドクターの思い

2024.02.02

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株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、諏訪赤十字病院の勝木将人先生にお話しを伺いました。

Profile
勝木 将人
2016年に東北大学医学部を卒業。現在は諏訪赤十字病院の脳神経外科・頭痛外来で勤務。メディカルAI学会公認資格を持つ。

「頭痛診療はアンメットニーズが高い疾患」脳神経外科医の思い

――本日はお時間いただきありがとうございます!早速ですが、勝木先生が医者を志したきっかけを教えてください。

勝木先生 父が開業医であったこともあり、父の働く姿を間近で見ていました。地域の人たちから頼られる医師であった父の姿を見て育ったことで、子供の頃からお医者さんになりたいと漠然と思っていました。高校に進学すると、私の周りにも医師を目指す人が多かったこともあり、医学部に進んで医師になりました。。

――地域で活躍する医師であるお父様の姿が、大きな影響を与えたんですね。現在の診療科に進んだきっかけは何だったのでしょうか?

勝木先生 癌の家族歴がないため、癌にあまり興味がわかず、癌をみる科はあまり得意では有りませんでした。父が外科医でしたが、癌を扱うのが好きではなかったため、循環器内科か脳外科を考えていました。祖父や父が脳血管疾患で倒れた経験や、学生実習の際に見た、救急外来での迅速な対応や緊急手術を夜でも行うなどの格好良い姿に憧れて、脳外科医になりました。

――確かに緊急オペに対応する姿は格好良いと思います。脳神経外科医として勤務されていますが、普段の臨床ではどのようなことをしていますか?

勝木先生 脳外科医として脳卒中、頭部外傷はもちろん見ていますし、現在は上司と一緒に頭痛外来を立ち上げ、片頭痛を持つ患者さんの治療に尽力をしています。頭痛診療はアンメットニーズ、つまり患者の声にならない声や満たされないニーズが高い疾患だと考えています。治療をすることで、患者さんから感謝の言葉もかけてもらえる診療ですから、やりがいがあります。今後もオンライン診療なども含め、頭痛診療を拡大していきたいと思っています。

――諏訪赤十字病院の頭痛外来は2023年4月に立ち上がっていますが、新たな外来を立ち上げることは大変な作業だったと思います。勝木先生が臨床や研究でに大事にしていることはありますか?

勝木先生 臨床では、患者さんやそのご家族の気持ちに寄り添い、ベストな選択肢を一緒に決定するようにしています。特に脳外科は機能予後が悪い患者さんが多いですから、寝たきりで家族の負担になってしまわないかなども考えないといけません。そのため、医師だけではなく、周りの職種も巻き込んでベストな選択肢を一緒に考えることを心がけています。また、研究活動では、自分の研究が世界を動かすんだという気概で取り組んでいます。

――周りの職種も巻き込んでベストな選択肢を一緒に考えるという姿勢は、患者にとってはありがたいことです。また、研究が世界を動かす、という大きなビジョンを持って研究活動を実施されていることも素晴らしいですね。先生は、現在チャレンジしたいことはありますか?

勝木先生 頭痛AI診断の社会実装に向けて、ヘッジホッグ・メドテック社と頭痛学会と動いています。頭痛に関する間違った知識を持っている人がいなくなることを臨んでいます。

――ヘッジホッグ・メドテック社は、日本初の片頭痛治療用アプリ・頭痛AI診断開発を進めている注目のヘルステックベンチャーですよね。こうしたベンチャーの躍進の裏側を先生のような医師が支えているのですね。先生が医療を通じて目指すものはなんですか?

勝木先生 医学はいろいろな分野が有り、必ず1つは自分にあった診療科や研究を見つけられると思います。また、オンライン診療、AI、DXなど、どんどん新しい分野が医学とコラボレーションしようという気概をもっていますから、臨床や基礎研究だけでなく、工学的な研究も行うことも可能です。目の前の人だけを治すのではなく、AIやDXを用いてより多くの人を助けるんだ、という気持ちで仕事に取り組んでいます。将来的には、少子化、医師不足、超高齢社会に置いて、適切な医療を普遍的にどこでも受けられる社会にすることを狙っています。

読者の方へ伝えたいメッセージ

――最後に、ここまで読んでいただいた方に伝えたいメッセージをお願いします。

勝木先生 今医療は変革の時期をむかえており、これまでの病院経営や診療スタイルが通用しない時代になってきています。ぜひAIやDXによって、次世代の医療を切り開いていきましょう!