「治療とリハビリで『息苦しさ』に向き合う」 呼吸器外科医・松本学先生の思い

2024.03.12

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株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、医師監修に協力していただく医師・歯科医の力が欠かせません。今回は、きだ呼吸器・リハビリクリニックの松本学先生にお話しを伺いました。

Profile
松本 学
兵庫医科大学医学部を卒業。神戸大学附属病院や済生会中津病院を経て、きだ呼吸器・リハビリクリニックを開院する。専門は呼吸器内科、呼吸器外科、一般内科、リハビリテーション科。外科専門医、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会、呼吸ケア指導士、日本医師会認定産業医の資格を持つ。

「治療とリハビリで呼吸困難を改善」 呼吸器外科医の思いとは

――本日はお時間いただきありがとうございます!松本先生が医者を志したきっかけを教えてください。

松本先生 私の祖父が開業医であり, 昔から医師とういう職業を意識する環境にあったと思います。今は祖父と同様に開業医として地域医療に携わっていますが、医師になった時点では、開業することは想像もしていなかったですね。医師を目指そうという意識が強くなったのは、高校の後半くらいでしょうか。他にも色々な道があるのは事実ですし、 他の分野に進む可能性もあったとは思います。ただ、昔から人とコミュニケーションを取ることが得意だったことと、体の調子の悪い方に自身の言葉で安心してもらいつつ治療もできる医師という職業は、人生をかけられる職業かと思いました。

――安心感を与えつつ治療する、ということに魅力を感じられたのですね。コミュニケーションを取ることが得意だったからこその感性かと思います。現在は呼吸器に関する治療を専門として活躍されていますが、この道に進もうと決めたはきっかけは何だったのでしょうか?

松本先生 医学部に在籍すると一度は全範囲の科を勉強することにはなるのですが、勉強していて興味が湧く分野が誰しもあると思います。私にとっては呼吸器でした。特に呼吸器外科という肺がんの手術治療を実際に見学して、自分自身もこの分野で活躍したいという気持ちになったので、学生のうちにもう進路は決まっていました。一般的に学生の時の志望科と研修医終了後の進路が変わることが多い印象ですが、私の場合は変わることはなかったので、呼吸器に興味があったのかと思います。その後は呼吸器外科を7年続け、現在の開業に至っています。

――肺がんの手術治療を見学したことが、先生の医師キャリアの重要なポイントになったのですね。実際の診療では、主にではどのようなことを行なっているのでしょうか?

松本先生 通常、開業医の仕事といえば、やはり地域の方の健康管理がメインとなります。私のクリニックも同様です。ただし、疾患別にみると、クリニック名を「きだ呼吸器・リハビリクリニック」している影響からか、呼吸器の症状で来ていただく方が多い気がします。想像していたよりも専門的な方も多く原発性肺癌などの悪性腫瘍や間質性肺炎など難治性の呼吸器疾患をもつ方もいらっしゃいます。初診から最後まで責任を持つことを目標にしておりますので通院が難しくなった方には訪問診療を行っています

――診察ではどのようなことを大事にされていますか?

松本先生 どの分野でも要求されることですが、スピード感は重視しています。実践することが難しい問題も多数ありますが、やはり開業医と大きな病院では、役割とできることは異なります。病院勤務時代とは異なり、検査も時間を要してしまうので患者の不利益にならないよう、専門的な治療が必要と判断した場合は可能な限り早期に病院を紹介・受診してもらうようにしています。地域の患者の安心感を保てるように、時間外であっても、予約なしでも、基本的にはどなたでも受診できるように、クリニックの体制を整えています。受診していただいた場合は、何かしらの解決策を提供し、 納得して帰っていただく環境を整備できるように日々試行錯誤しています。

――スピード感を重視している事は弊社の取り組みとも通じるところがあります。時間外・予約なしでもどなたでも受診ができる事は、患者の立場で考えるとありがたいです。先生は現在チャレンジしたいことはありますか?

松本先生 呼吸器疾患は様々ですが、今までの生活習慣、特に喫煙による影響が強い疾患が多いです。肺気腫や原発性肺癌になると、息がしんどいのは自分のせいだという認識を持った方や、治療は自宅で酸素を吸うしかないですと言われてしまい、 呼吸が苦しい状態であるにも関わらず治療を諦めている方がいます。確かに呼吸困難という症状には特効薬がなく、 すぐに治るというイメージは持ちにくいのは事実です。しかし、その中で私は呼吸器リハビリテーションに注目しています。疾患に対して従来の治療を行うのはもちろんですが、それに加えて呼吸器リハビリテーションを行うことでさらに症状を改善させることが可能となります。ただし、これは私自身も実感しておりますが、呼吸器リハビリテーション自体が、あまり浸透していないのが現実があります。これからは、呼吸器リハビリテーションをいかに広めていけるかということも、私自身の課題であると思っています

――なるほど、呼吸器リハビリテーションそのものを啓発していくことにもチャレンジして行かれるのですね。そんな先生が持つビジョンを教えてください。

松本先生 私のクリニックでは通常の整形外科のリハビリとは異なり、呼吸器リハビリテーションを行う施設を有しています。大病院で呼吸器リハビリテーションは行われていますが、クリニック単位で行っている施設は全国的にみても少数です。呼吸器疾患を持った患者が治療とリハビリの両方を行うということが、結果的には、呼吸困難というQOLを下げる症状を改善できると思います。私は、呼吸器疾患を持った患者が治療とリハビリを両方行うことができる施設が少しでも増えるように、今後は普及活動に取り組んでいこうと考えています。それと同時に初診から訪問診療まで当院に来て下さった患者に対して、最後まで責任を持てるクリニックを作るために日々努力をしています。

読者の方へ伝えたいメッセージ

――クリニック単位で呼吸器疾患を持った患者が治療とリハビリの両方を行う重要性を普及させることは呼吸困難に苦しむ患者にとって吉報になりますね最後に、ここまで読んでいただいた方に伝えたいメッセージをお願いします。

松本先生 肺の病気で呼吸が苦しいという症状は、生活に制限がかかることで、今までの普通の生活が急にできなくなることも多いです。しんどいから動かない、という悪循環になる気持ちはよくわかります。 ただ、そんな状況であっても、症状を改善させる方法は必ずあると思います。そのお手伝いができるよう、私のクリニックでは治療とリハビリの両輪を行い「息苦しさ」に対して向き合っています。是非困っている方がおられましたら当院にご相談下さい。もちろん呼吸器の症状だけでなく、一般内科もやっておりますのでどんなことでもご相談下さい。普段は草野球とプロ野球を愛する人間ですので、お気軽に受診してください。