「全ては患者さんの健康のために」日本歯周病学会認定医・熊谷靖司先生の思い

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2024.09.15

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株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、医師監修に協力していただく医師・歯科医の力が欠かせません。今回は医療法人社団プレブ理事長 熊谷歯科医院院長の熊谷靖司先生にお話を伺いました。

Profile
熊谷 靖司
鶴見大学歯学部を卒業後に東京医科歯科大学に進学。その後は若林歯科医院で歯周病治療に関する研鑽を積み、2000年に熊谷歯科医院を開業。虫歯などを⼀時的に削って治すのではなく、生涯にわたって健康な歯で過ごせるように生活習慣を含めてサポートし、治療を行うことを心がけている。日本歯周病学会認定医の資格を持つ。

「大事なポイントは患者さんの行動変容を如何に実現するか」 日本歯周病学会認定医の思いとは

――本日はお時間をいただき、ありがとうございます!熊谷先生が歯科医を志したきっかけを教えてください。

熊谷先生 実は、大学に進学するタイミングでは歯科医になりたいと思っていなかったんです。私は医者の家の長男に生まれているので、周囲には「医者になる」と言われていました。しかし、本当はデザイナーなどの芸術系の仕事に就きたかったんです。

――デザイナーとは意外ですね。歯科医とは全然違います。

熊谷先生 母が画家だったことも影響を受けましたね。ただ、その母にも「医者になりなさい」と言われたこともあり、医学部に行こうと最終的に思ったんです。高校生の時には全然勉強していなかったので、浪人して医学部を目指す予定でした。ただ、受験の雰囲気を体験するために受けた歯学部の試験にたまたま合格したんです。歯医者のことを何にも知らなかったし、正直興味もなかったんです。医療系だからということで通学を始めました。

――歯科治療への思いなど特にない状態で大学に通い始めたということですが、現在は歯周病の治療など歯科治療に情熱を持って取り組まれていますよね?ターニングポイントはあったのでしょうか?

クリニックで取材を受ける熊谷靖司先生

熊谷先生 現在は歯科医という仕事に心から誇りを持っていますし、患者さんの口腔環境を改善することで人生そのものをポジティブなものにしている自信もあります。ここまで情熱を持てるきっかけは2つありました。

最初のきっかけは、大学4年生の授業で、開業医が実際の歯科医の仕事を紹介する授業を受けたことです。その時にお話をしていただいた先生から「もともと好きではないことを好きになる時の方が、すごく爆発力がある」という話を聞きました。その時に、「俺も頑張ってみようかな」という気持ちが出たんですよね。すると、友達が「一緒に勉強をしよう」と誘ってくれまして、そこから真面目に勉強を始めました。

2つ目のきっかけは、恩師たちとの出会いです。鶴見大学を卒業した後に、東京医科歯科大学に専攻生として進学しました。東京医科歯科大学は来るものを拒まない雰囲気があります。面倒見が良くて懐が深いんです。研究や勉強にのめり込んで、電車の始発で大学に行って終電で帰るような生活でした。

東京医科歯科大学の専攻生を3年で辞めた後は、若林健史先生が院長を務める若林医院で働きました。若林先生からは、歯周病治療をはじめとした歯科治療の考え方を教わりました。「歯を治すと患者の人生を変えることができる」という教えは、今も私の歯科治療の方針になっています。

――熊谷先生のクリニックの診療では、主にではどのような治療を行なっているのでしょうか?

熊谷先生 現在のクリニックは2000年に開業したのですが、最初は若林先生のクリニックでやっていた治療をコピーする形で始まりました。開業後の10年間は、基本は全部自費診療でした。患者の9割は自費診療でしたね。開業から10年経った後に、保険診療もやろうかなと思いました。自費診療の場合は、クリニックに10人来たら、1人だけ残ってくれたらクリニック経営はやっていけます。ただ、10人来た人のうち9人が去ってしまう医療機関っていかがなものか?と疑問に思いました。ほんの一部の人の健康に寄与するよりも、もう少し広い視野で健康を届けたほうが、クリニックとしての価値が出てくるのではないかと考えたのです。

自由診療は高額な治療費を支払っていただく分、結果にコミットすることが求められます。結果にコミットするためにはノウハウがあり、10年間蓄積したノウハウを保険診療に活かす形で、保健診療も始めました。

――結果にコミットするためのノウハウは例えばどのような点でしょうか?

クリニックで取材を受ける熊谷靖司先生

熊谷先生 色々とノウハウはありますが、大事なポイントは患者さんの行動変容を如何に実現するかです。歯科の病気は生活習慣が原因の病気が多いんです。ですから、患者さんの行動変容してもらうことが絶対必要になります。ただ単に歯医者に来て、いい被せ物をして終わり、ということは私たちも望んでいませんし、患者さんのお口の健康を考えてもお勧めできません。被せ物をしただけでは、結果にコミットしていないからです。患者さんのマインドを変えて、生活習慣が変わって、なおかつ技術的に高い被せ物や入れ歯が入ってメンテナンスをすることを目指しています。

――診察ではどのようなことを大事にされていますか?

熊谷先生 「全ては患者さんの健康のために」をモットーに、研鑽を積んでます。また私が直接治療を担当できる患者さんだけではなく、できるだけ多くの方々に歯の健康の大事さを理解してもうために「歯の話をしませんか?」という書籍も出しています。長い間クリニックで治療を続けていると、患者さんたちに必ず言わなくてはいけないことが明確化します。それをまとめて本にしたんです。

「歯の話をしませんか?」

――「歯の話をしませんか?」を拝見したのですが、イラストや漫画も交えた本なので読みやすいですね。ところで、先生は現在チャレンジしたいことはありますか?

熊谷先生 私は師である若林先生と一緒に歯周基本治療研究会という団体の活動も行っています。研究会では、歯科医療従事者向けにセミナーを開催しています。沖縄県や離島などで働いていると本島で開催される学会やセミナーへ参加することが難しい事が多く、教育の格差が起きています。研究会では率先して沖縄県でのセミナーや講演会を開催し、これらの問題解決へチャレンジしています。

――素晴らしい活動ですね。この活動を通じて何を実現したいと思いますか?

熊谷先生 歯周基本治療という、歯周病を治すためにやっている基本的なプログラムがあります。このプログラムをしっかり行うと8割くらいの患者さんは治ったり、寛解に持っていけるものです。しかし、今の日本では歯周基本治療が定着していないんです。歯周基本治療法は歯科衛生士が担当するのですが、歯科クリニックの院長が歯周基本治療というプログラムよりも自分の技術の方が大事だと思っている方は少なくありません。歯周基本治療が全てのクリニックで実施できるような社会を実現したいです。

――素晴らしい目標ですね。そんな先生が持つビジョンを一言で表すと、どのような言葉になるでしょうか?

熊谷先生 「健康への人々の気づきとその為の教育、情報発信を行う事」ですね。

読者の方へ伝えたいメッセージ

――最後に、ここまで読んでいただいた方に伝えたいメッセージをお願いします。

クリニックで取材を受ける熊谷靖司先生

熊谷先生 健康は人生をエンジョイするための大事な土台です。病気を治す、予防する為には各々が正しい知識を持つことが大事です。是非皆さんで病気の世界を抜け出しハッピーな人生を送ってください。そのためのお手伝いをしたいと思います。