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この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
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現代は食生活の欧米化や、運動量の減少、高齢化などの要因から便秘を訴える患者数は増加傾向にあります。「便秘」と聞くとたいした病気ではないように感じる人もいるかもしれませんが、便秘が数か月にわたって続く慢性便秘症は、生活の質(QOL)や労働生産性の低下につながります。
また慢性便秘症はさまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。海外の調査結果では、慢性便秘症患者の15年生存率は、そうでない人と比べて下がるということも分かっています。
この記事では、便秘を放置するとどうなるか、そして慢性便秘症の治療と費用について詳しく解説いたします。
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現代は食生活の欧米化や、運動量の減少、高齢化などの要因から便秘を訴える患者数は増加傾向にあります。「便秘」と聞くとたいした病気ではないように感じる人もいるかもしれませんが、便秘が数か月にわたって続く慢性便秘症は、生活の質(QOL)や労働生産性の低下につながります。
また慢性便秘症はさまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。海外の調査結果では、慢性便秘症患者の15年生存率は、そうでない人と比べて下がるということも分かっています。
この記事では、便秘を放置するとどうなるか、そして慢性便秘症の治療と費用について詳しく解説いたします。
便秘を放置するとどうなる?

慢性便秘症診療ガイドライン2017によると、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。しかし人によって排便の回数や量は異なりますので、「何日以上排便がなければ便秘だ」という明確な基準は設定されていません。一般的に、本人が辛さを感じるのであれば、それこそが便秘だといえるでしょう。
慢性便秘症の症状
慢性便秘症は生活の質(QOL)の低下に大きな影響を与えます。慢性便秘症は、ただ排便が少ないというだけではなく、腹部満腹感や吐き気、それに伴う食欲減退や肌荒れなどの症状を引き起こします。そしてこれらの症状による不快感が大きなストレスになったり、イライラしやすくなったりと、精神的症状につながることもあります。
慢性便秘症の合併症
慢性便秘症はさまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。よく知られている合併症の一つが「痔」です。便がうまく排出できずに、大腸の中で水分が吸収され固くなってしまうと、排便の際に肛門を傷つける原因となったり、無理にいきむことでいぼ痔が大きくなってしまったりすることがあります。
また重度の便秘になってしまうと、大腸内に潰瘍(かいよう)ができる、さらには大腸に穴があき、そこからお腹の中に細菌が広がる腹膜炎を引き起こすリスクが高まります。
そして便秘を放置することで、固い便を出す際に感じる痛みや出血への恐怖から、便意を我慢してしまい、さらに症状が悪化してしまうという悪循環をもたらします。
こういった慢性便秘症による合併症や便秘の悪循環を防ぐためには、「ただの便秘だから」と放置せず、病院で適切な治療を受けることが重要です。
便秘の種類と原因について
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便秘は大きく分けて「機能性便秘」とそれ以外の「二次性便秘」の2種類に分類されます。それぞれの違いについて詳しくみていきましょう。
機能性便秘
機能性便秘とは、生活習慣やストレスなどの影響により大腸や直腸の働きに異常をきたし、便秘が起こることを指します。慢性便秘症の中で最も多いのが、この機能性便秘です。機能性便秘は、さらに以下の3種類に分類されます。
弛緩性便秘
運動不足や水分不足、乱れた食生活などが原因で大腸の機能が低下することで便秘となります。女性や高齢者に多く、便秘の中でもよくみられるものの1つです。けいれん性便秘
精神的ストレスや過敏性腸症候群が原因で大腸が過緊張を起こし便秘となります。ウサギのフンのようなコロコロした固い便になりやすいといった特徴があります。直腸性便秘
通常は便が直腸まで運ばれてくると自然に便意を催すものですが、その反射が起きず直腸内に便が留まってしまい便秘となります。排便を我慢する習慣がある人や高齢者などに多くみられます。
二次性便秘
二次性便秘とは、便秘症以外の別の疾患や薬の影響により二次的に便秘症を起こしている状態です。二次性便秘がある場合には、便秘症そのものの治療以外に、原因となっているその他の疾患の治療や薬の変更などが必要です。二次性便秘は、その原因をもとに以下の3種類に分けられます。
器質性便秘
大腸癌や腸閉塞に伴って生じる便秘のこと症候性便秘
糖尿病、甲状腺機能低下症やパーキソン病に伴って生じる便秘のこと薬剤性便秘
抗コリン薬や向精神薬などの薬の影響に伴って生じる便秘のこと
便秘の治療と費用について
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慢性便秘症で悩む患者数は非常に多いものの、適切な治療を受けている人は少ないのが現実です。まずは辛い慢性便秘症は医療機関で治療ができるということを覚えておきましょう。
慢性便秘症で受診した際は、上記で挙げた「二次性便秘」の可能性を除外したうえで、機能性便秘の治療が開始されます。ここでは機能性便秘による慢性便秘症の治療と費用について解説していきます。
生活習慣の改善
慢性便秘症の改善には食生活をはじめとする生活習慣の改善が欠かせません。特に以下のことを心がけた生活を送るようにしましょう。
1日3食、バランスの良い食事
食物繊維が多く含まれる食べ物を意識して摂る
水分をしっかりと摂る
適度な運動
ストレスを溜めない など
これらの生活習慣の改善に加え、排便のリズムを作ることが大切です。1日1回朝食後にトイレに行き、排便習慣をつけるようにしましょう。また仕事中や外出中などトイレに行きづらいタイミングもあるかもしれませんが、便意を催した際は我慢せずに、早めにトイレに行くことを心がけてください。
薬物療法
慢性便秘症は生活習慣の改善と共に、症状にあわせた薬を使って治療することが一般的です。医療機関では主に以下のような薬が処方されます。
浸透圧性下剤(酸化マグネシウムなど)
慢性便秘症により固くなった便を柔らかくする効果があります。比較的クセになりづらく、長期間服用しても問題ないといわれています。ただし、長期投与により血中のマグネシウム濃度が高なる高マグネシウム血症を起こすことがあるので、医師の指導のもと定期的な血液検査が必要です。
刺激性下剤(センノシドなど)
小腸や大腸などを刺激することで、排便を起こす効果があります。即効性があり、通常服用後8~10時間程度で排便が起こります。長期間の服用は体に耐性がつき、効果が落ちてしまうため、医師の指導のもと一定期間のみ使用することが推奨されます。
上皮機能変容薬(ルビプロストンなど)
腸管内の水分の分泌量を増やし、便を流れやすくする効果があります。服用した人の多くが24時間以内に便意を催すという報告もあり、高い効果が期待できますが、吐き気などの副作用が出ることもあります。
慢性便秘症に市販薬を使う方も多いですが、あまりおすすめできません。一時的に排便が起こり、便秘が解消されたように感じるかもしれませんが、時間が経てばまた便秘となり、薬が手放せなくなってしまいます。一度きちんと医療機関を受診し、症状にあわせた薬の処方をしてもらうことをおすすめします。
治療法や費用(3割負担の場合)
初診:約2,000~3,000円
再診:約1,000~1,500円
※処方される薬剤によって費用は変動することがあります。
まとめ
生活の質や労働生産性を低下させる慢性便秘症を改善するためには、食生活をはじめとする生活習慣の改善と、医療機関での適切な治療が必要です。
慢性便秘症を手軽な市販薬や民間療法で解決しようとする人が多いですが、それらは一時的な改善のみで、結果的に便秘の悪循環を起こす恐れもあります。ただの便秘だから、とその辛い症状を軽視せず、一度専門医に相談することをおすすめします。
便秘を放置するとどうなる?
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慢性便秘症診療ガイドライン2017によると、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。しかし人によって排便の回数や量は異なりますので、「何日以上排便がなければ便秘だ」という明確な基準は設定されていません。一般的に、本人が辛さを感じるのであれば、それこそが便秘だといえるでしょう。
慢性便秘症の症状
慢性便秘症は生活の質(QOL)の低下に大きな影響を与えます。慢性便秘症は、ただ排便が少ないというだけではなく、腹部満腹感や吐き気、それに伴う食欲減退や肌荒れなどの症状を引き起こします。そしてこれらの症状による不快感が大きなストレスになったり、イライラしやすくなったりと、精神的症状につながることもあります。
慢性便秘症の合併症
慢性便秘症はさまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。よく知られている合併症の一つが「痔」です。便がうまく排出できずに、大腸の中で水分が吸収され固くなってしまうと、排便の際に肛門を傷つける原因となったり、無理にいきむことでいぼ痔が大きくなってしまったりすることがあります。
また重度の便秘になってしまうと、大腸内に潰瘍(かいよう)ができる、さらには大腸に穴があき、そこからお腹の中に細菌が広がる腹膜炎を引き起こすリスクが高まります。
そして便秘を放置することで、固い便を出す際に感じる痛みや出血への恐怖から、便意を我慢してしまい、さらに症状が悪化してしまうという悪循環をもたらします。
こういった慢性便秘症による合併症や便秘の悪循環を防ぐためには、「ただの便秘だから」と放置せず、病院で適切な治療を受けることが重要です。
便秘の種類と原因について
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便秘は大きく分けて「機能性便秘」とそれ以外の「二次性便秘」の2種類に分類されます。それぞれの違いについて詳しくみていきましょう。
機能性便秘
機能性便秘とは、生活習慣やストレスなどの影響により大腸や直腸の働きに異常をきたし、便秘が起こることを指します。慢性便秘症の中で最も多いのが、この機能性便秘です。機能性便秘は、さらに以下の3種類に分類されます。
弛緩性便秘
運動不足や水分不足、乱れた食生活などが原因で大腸の機能が低下することで便秘となります。女性や高齢者に多く、便秘の中でもよくみられるものの1つです。けいれん性便秘
精神的ストレスや過敏性腸症候群が原因で大腸が過緊張を起こし便秘となります。ウサギのフンのようなコロコロした固い便になりやすいといった特徴があります。直腸性便秘
通常は便が直腸まで運ばれてくると自然に便意を催すものですが、その反射が起きず直腸内に便が留まってしまい便秘となります。排便を我慢する習慣がある人や高齢者などに多くみられます。
二次性便秘
二次性便秘とは、便秘症以外の別の疾患や薬の影響により二次的に便秘症を起こしている状態です。二次性便秘がある場合には、便秘症そのものの治療以外に、原因となっているその他の疾患の治療や薬の変更などが必要です。二次性便秘は、その原因をもとに以下の3種類に分けられます。
器質性便秘
大腸癌や腸閉塞に伴って生じる便秘のこと症候性便秘
糖尿病、甲状腺機能低下症やパーキソン病に伴って生じる便秘のこと薬剤性便秘
抗コリン薬や向精神薬などの薬の影響に伴って生じる便秘のこと
便秘の治療と費用について
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慢性便秘症で悩む患者数は非常に多いものの、適切な治療を受けている人は少ないのが現実です。まずは辛い慢性便秘症は医療機関で治療ができるということを覚えておきましょう。
慢性便秘症で受診した際は、上記で挙げた「二次性便秘」の可能性を除外したうえで、機能性便秘の治療が開始されます。ここでは機能性便秘による慢性便秘症の治療と費用について解説していきます。
生活習慣の改善
慢性便秘症の改善には食生活をはじめとする生活習慣の改善が欠かせません。特に以下のことを心がけた生活を送るようにしましょう。
1日3食、バランスの良い食事
食物繊維が多く含まれる食べ物を意識して摂る
水分をしっかりと摂る
適度な運動
ストレスを溜めない など
これらの生活習慣の改善に加え、排便のリズムを作ることが大切です。1日1回朝食後にトイレに行き、排便習慣をつけるようにしましょう。また仕事中や外出中などトイレに行きづらいタイミングもあるかもしれませんが、便意を催した際は我慢せずに、早めにトイレに行くことを心がけてください。
薬物療法
慢性便秘症は生活習慣の改善と共に、症状にあわせた薬を使って治療することが一般的です。医療機関では主に以下のような薬が処方されます。
浸透圧性下剤(酸化マグネシウムなど)
慢性便秘症により固くなった便を柔らかくする効果があります。比較的クセになりづらく、長期間服用しても問題ないといわれています。ただし、長期投与により血中のマグネシウム濃度が高なる高マグネシウム血症を起こすことがあるので、医師の指導のもと定期的な血液検査が必要です。
刺激性下剤(センノシドなど)
小腸や大腸などを刺激することで、排便を起こす効果があります。即効性があり、通常服用後8~10時間程度で排便が起こります。長期間の服用は体に耐性がつき、効果が落ちてしまうため、医師の指導のもと一定期間のみ使用することが推奨されます。
上皮機能変容薬(ルビプロストンなど)
腸管内の水分の分泌量を増やし、便を流れやすくする効果があります。服用した人の多くが24時間以内に便意を催すという報告もあり、高い効果が期待できますが、吐き気などの副作用が出ることもあります。
慢性便秘症に市販薬を使う方も多いですが、あまりおすすめできません。一時的に排便が起こり、便秘が解消されたように感じるかもしれませんが、時間が経てばまた便秘となり、薬が手放せなくなってしまいます。一度きちんと医療機関を受診し、症状にあわせた薬の処方をしてもらうことをおすすめします。
治療法や費用(3割負担の場合)
初診:約2,000~3,000円
再診:約1,000~1,500円
※処方される薬剤によって費用は変動することがあります。
まとめ
生活の質や労働生産性を低下させる慢性便秘症を改善するためには、食生活をはじめとする生活習慣の改善と、医療機関での適切な治療が必要です。
慢性便秘症を手軽な市販薬や民間療法で解決しようとする人が多いですが、それらは一時的な改善のみで、結果的に便秘の悪循環を起こす恐れもあります。ただの便秘だから、とその辛い症状を軽視せず、一度専門医に相談することをおすすめします。
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甲斐沼 孟
(上場企業産業医)
医師のコメント
便秘の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて消化管に何らかの異常がある器質性便秘、および消化管自体に器質的な異常がないが腸管の蠕動能力が低下する機能性便秘の2種類に分けられています。
便秘における典型的な症状としては、排便回数が少ないことによる腹痛、あるいは腹部の膨満感などが代表的です。
慢性的に便秘症状で苦悩している場合には、改めて日々の食生活を見直すことによって排便習慣を改善させることを期待すると共に、腹部症状が悪化する際には早急に消化器内科を受診するようにしましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。
医師のコメント
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甲斐沼 孟
(上場企業産業医)
便秘の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて消化管に何らかの異常がある器質性便秘、および消化管自体に器質的な異常がないが腸管の蠕動能力が低下する機能性便秘の2種類に分けられています。
便秘における典型的な症状としては、排便回数が少ないことによる腹痛、あるいは腹部の膨満感などが代表的です。
慢性的に便秘症状で苦悩している場合には、改めて日々の食生活を見直すことによって排便習慣を改善させることを期待すると共に、腹部症状が悪化する際には早急に消化器内科を受診するようにしましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。
事例の紹介
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