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この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
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胸焼けやみぞおちの痛み、のどに酸っぱいものが上がってくるなどの症状は、逆流性食道炎が疑われます。
日本における逆流性食道炎の患者数は、1970〜80年代には1.6〜2.9%でしたが、2005年には16.7%へ上昇しています。このように逆流性食道炎の患者数が増加した背景には、食生活の欧米化や高齢化、またピロリ菌の除菌などがあると考えられています。
逆流性食道炎は、日々の食生活や生活習慣の改善、そして薬物療法にて治療が可能です。
この記事では、医師監修のもと、逆流性食道炎の原因や症状、そして予防方法や治療について詳しく解説していきます。
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胸焼けやみぞおちの痛み、のどに酸っぱいものが上がってくるなどの症状は、逆流性食道炎が疑われます。
日本における逆流性食道炎の患者数は、1970〜80年代には1.6〜2.9%でしたが、2005年には16.7%へ上昇しています。このように逆流性食道炎の患者数が増加した背景には、食生活の欧米化や高齢化、またピロリ菌の除菌などがあると考えられています。
逆流性食道炎は、日々の食生活や生活習慣の改善、そして薬物療法にて治療が可能です。
この記事では、医師監修のもと、逆流性食道炎の原因や症状、そして予防方法や治療について詳しく解説していきます。
逆流性食道炎とは
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逆流性食道炎とは、胃の内容物(胃酸など)が食道に逆流することによって、食道粘膜に炎症が起きる病気です。
食道と胃の境目には「下部食道括約筋」という筋肉があり、通常はこの筋肉の働きによって胃の内容物が食道に逆流してくることはありません。しかし何らかの原因によって下部食道括約筋が緩み、胃の内容物が食道へと逆流してしまうことで逆流性食道炎が発症します。
ここでは、逆流性食道炎の原因や症状について解説していきます。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎は、食道と胃のつなぎ目(下部食道括約筋)が緩んでしまい、胃酸などの胃の内容物が食道に逆流することで起こります。下部食道括約筋が緩む原因としては、以下のようなことが考えられます。
体の機能(加齢、食道裂孔ヘルニアなど)
食生活(食べ過ぎ、脂肪の多い食事、就寝前の食事など)
生活習慣(肥満、姿勢や服装、飲酒や喫煙など)
薬の副作用
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
体の機能
加齢により筋肉が衰えていくのと同様に、筋肉の一種である下部食道括約筋も衰えていってしまいます。また加齢に伴い食道の蠕動運動(食道から胃へ食べ物を運ぶ動きのこと)も低下することが多く、逆流してきた胃酸が長い時間食道にとどまり粘膜の炎症を起こしやすくなります。
また「食道裂孔ヘルニア」を患っている方も逆流性食道炎を発症しやすいことが分かっています。
食生活
食べ過ぎや脂肪の多い食事、また就寝前の食事などの食生活を日常的に続けることで、逆流性食道炎を発症しやすくなります。食べ物が大量に胃の中に入ると胃が伸びてしまい、あわせて下部食道括約筋も引き伸ばされてしまいます。また脂肪分の多い食事は胃酸の分泌を促すため、胃酸の逆流が起こりやすくなります。
通常、食後2〜3時間はげっぷと共に胃酸が逆流しやすくなります。そのため食後すぐに寝てしまうと、寝ている間に胃酸の逆流が起きてしまいます。寝ている間は唾液を飲み込むことも少なく食道の蠕動がないので、逆流した胃酸が長い時間食道にとどまることになり炎症を起こしやすくなります。
生活習慣
肥満の方は、内臓脂肪により胃が外側から圧迫される状態が続き、逆流性食道炎を発症しやすくなります。また日常的に前屈みになることが多い仕事の方、ベルトやコルセット、ガードルなどでお腹を締めていることが多い方は、常に胃が外側から圧迫され、胃酸の逆流が起こりやすくなります。
他にも、喫煙や飲酒の習慣がある方は胃酸の分泌が増えていることが考えられます。
薬の副作用
喘息や心臓、血圧の薬の中には、下部食道括約筋の働きを下げる作用があるものもあります。またピロリ菌を除菌することで胃酸が多くなり、逆流性食道炎を発症することも報告されています。
これらの薬の副作用により逆流性食道炎が起きている場合は、自己判断で薬の服用を中断することはせずに、必ずかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎の代表的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
胸やけ
呑酸(どんさん、酸っぱいものがのどや口の中まで上がってくる感じ)
みぞおちや胸の痛み
のどの違和感・声がれ
せき・せき喘息
上記のような症状は、食後や横になった時、前かがみの姿勢をとった時などに生じやすいです。
逆流性食道炎の症状は人によってさまざまですが、胸やけの症状から自覚されるケースが多いです。そして炎症の進行が進むにつれて、喉のあたりの症状があらわれやすくなります。
上記のような症状が一つでもある場合、そして逆流性食道炎の原因に思い当たるものがある場合は早めに医療機関を受診し、適切な検査・治療を受けるようにしましょう。
逆流性食道炎の予防
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逆流性食道炎の予防には、逆流性食道炎の原因となっているものをできるだけ改善していくことが必要です。
また現在、逆流性食道炎が疑われる症状がある方も、以下のような食生活や生活習慣を心がけることで、辛い症状が抑えられることもあります。
食生活の注意点
脂肪を摂りすぎず腹八分目に抑える
できるだけ油ものは避け、消化のいい食事を心がける
食道粘膜を刺激する食品を避ける(柑橘類やトマト、香辛料、アルコールなど)
炭酸飲料はげっぷを多く起こすため控える
夕食は、就寝2〜3時間前までに済ませる
生活習慣の注意点
肥満の方は、減量に取り組む
喫煙の習慣がある方は、禁煙する
腹圧がかかる姿勢や服装を控える
食後すぐに横にならない
逆流性食道炎の治療と費用
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逆流性食道炎の治療は主に消化器内科で行われます。
逆流性食道炎を放置すると、食道粘膜の炎症がひどくなって出血したり、食道が狭くなって食べ物が詰まったりする恐れがあります。また食道がんのリスクも高まるため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
逆流食道炎の治療には、上記に挙げたような食生活・生活習慣の改善とあわせて、薬物療法が検討されます。
薬物療法
逆流性食道炎の治療では、主に胃酸の分泌を抑える薬が使用されます。また状況に合わせて、食道と胃の運動を促す薬や胃酸を中和する薬などが使用されることもあります。
逆流性食道炎は再発することも多く、服薬の期間は2か月程度と長くなることもあります。服薬の途中で、逆流性食道炎の症状がなくなっても自己判断で薬を中断することはやめましょう。
逆流性食道炎の治療費
逆流性食道炎の治療費の目安は以下の通りです。
逆流性食道炎の治療費(3割負担の場合)
初診費:約2,000~3,000円
再診費:約1,000~2,000円
逆流性食道炎の診断は、患者さんの自覚症状(問診)のみで行われることもありますが、より正確な診断が必要な場合や他の病気の可能性を調べるために内視鏡検査(胃カメラ)をするケースもあります。その場合は、上記の費用に加えて検査費約3,000~5,000円がかかることもあります。
まとめ
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することにより食道粘膜が炎症を起こす病気です。胸焼けや呑酸などの症状がある場合には、まずは現在の食生活や生活習慣の見直しをしてみましょう。
また逆流性食道炎は放置すると出血や食道狭窄、食道がんのリスクが高まることが分かっています。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
逆流性食道炎とは
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逆流性食道炎とは、胃の内容物(胃酸など)が食道に逆流することによって、食道粘膜に炎症が起きる病気です。
食道と胃の境目には「下部食道括約筋」という筋肉があり、通常はこの筋肉の働きによって胃の内容物が食道に逆流してくることはありません。しかし何らかの原因によって下部食道括約筋が緩み、胃の内容物が食道へと逆流してしまうことで逆流性食道炎が発症します。
ここでは、逆流性食道炎の原因や症状について解説していきます。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎は、食道と胃のつなぎ目(下部食道括約筋)が緩んでしまい、胃酸などの胃の内容物が食道に逆流することで起こります。下部食道括約筋が緩む原因としては、以下のようなことが考えられます。
体の機能(加齢、食道裂孔ヘルニアなど)
食生活(食べ過ぎ、脂肪の多い食事、就寝前の食事など)
生活習慣(肥満、姿勢や服装、飲酒や喫煙など)
薬の副作用
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
体の機能
加齢により筋肉が衰えていくのと同様に、筋肉の一種である下部食道括約筋も衰えていってしまいます。また加齢に伴い食道の蠕動運動(食道から胃へ食べ物を運ぶ動きのこと)も低下することが多く、逆流してきた胃酸が長い時間食道にとどまり粘膜の炎症を起こしやすくなります。
また「食道裂孔ヘルニア」を患っている方も逆流性食道炎を発症しやすいことが分かっています。
食生活
食べ過ぎや脂肪の多い食事、また就寝前の食事などの食生活を日常的に続けることで、逆流性食道炎を発症しやすくなります。食べ物が大量に胃の中に入ると胃が伸びてしまい、あわせて下部食道括約筋も引き伸ばされてしまいます。また脂肪分の多い食事は胃酸の分泌を促すため、胃酸の逆流が起こりやすくなります。
通常、食後2〜3時間はげっぷと共に胃酸が逆流しやすくなります。そのため食後すぐに寝てしまうと、寝ている間に胃酸の逆流が起きてしまいます。寝ている間は唾液を飲み込むことも少なく食道の蠕動がないので、逆流した胃酸が長い時間食道にとどまることになり炎症を起こしやすくなります。
生活習慣
肥満の方は、内臓脂肪により胃が外側から圧迫される状態が続き、逆流性食道炎を発症しやすくなります。また日常的に前屈みになることが多い仕事の方、ベルトやコルセット、ガードルなどでお腹を締めていることが多い方は、常に胃が外側から圧迫され、胃酸の逆流が起こりやすくなります。
他にも、喫煙や飲酒の習慣がある方は胃酸の分泌が増えていることが考えられます。
薬の副作用
喘息や心臓、血圧の薬の中には、下部食道括約筋の働きを下げる作用があるものもあります。またピロリ菌を除菌することで胃酸が多くなり、逆流性食道炎を発症することも報告されています。
これらの薬の副作用により逆流性食道炎が起きている場合は、自己判断で薬の服用を中断することはせずに、必ずかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎の代表的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
胸やけ
呑酸(どんさん、酸っぱいものがのどや口の中まで上がってくる感じ)
みぞおちや胸の痛み
のどの違和感・声がれ
せき・せき喘息
上記のような症状は、食後や横になった時、前かがみの姿勢をとった時などに生じやすいです。
逆流性食道炎の症状は人によってさまざまですが、胸やけの症状から自覚されるケースが多いです。そして炎症の進行が進むにつれて、喉のあたりの症状があらわれやすくなります。
上記のような症状が一つでもある場合、そして逆流性食道炎の原因に思い当たるものがある場合は早めに医療機関を受診し、適切な検査・治療を受けるようにしましょう。
逆流性食道炎の予防
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逆流性食道炎の予防には、逆流性食道炎の原因となっているものをできるだけ改善していくことが必要です。
また現在、逆流性食道炎が疑われる症状がある方も、以下のような食生活や生活習慣を心がけることで、辛い症状が抑えられることもあります。
食生活の注意点
脂肪を摂りすぎず腹八分目に抑える
できるだけ油ものは避け、消化のいい食事を心がける
食道粘膜を刺激する食品を避ける(柑橘類やトマト、香辛料、アルコールなど)
炭酸飲料はげっぷを多く起こすため控える
夕食は、就寝2〜3時間前までに済ませる
生活習慣の注意点
肥満の方は、減量に取り組む
喫煙の習慣がある方は、禁煙する
腹圧がかかる姿勢や服装を控える
食後すぐに横にならない
逆流性食道炎の治療と費用
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逆流性食道炎の治療は主に消化器内科で行われます。
逆流性食道炎を放置すると、食道粘膜の炎症がひどくなって出血したり、食道が狭くなって食べ物が詰まったりする恐れがあります。また食道がんのリスクも高まるため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
逆流食道炎の治療には、上記に挙げたような食生活・生活習慣の改善とあわせて、薬物療法が検討されます。
薬物療法
逆流性食道炎の治療では、主に胃酸の分泌を抑える薬が使用されます。また状況に合わせて、食道と胃の運動を促す薬や胃酸を中和する薬などが使用されることもあります。
逆流性食道炎は再発することも多く、服薬の期間は2か月程度と長くなることもあります。服薬の途中で、逆流性食道炎の症状がなくなっても自己判断で薬を中断することはやめましょう。
逆流性食道炎の治療費
逆流性食道炎の治療費の目安は以下の通りです。
逆流性食道炎の治療費(3割負担の場合)
初診費:約2,000~3,000円
再診費:約1,000~2,000円
逆流性食道炎の診断は、患者さんの自覚症状(問診)のみで行われることもありますが、より正確な診断が必要な場合や他の病気の可能性を調べるために内視鏡検査(胃カメラ)をするケースもあります。その場合は、上記の費用に加えて検査費約3,000~5,000円がかかることもあります。
まとめ
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することにより食道粘膜が炎症を起こす病気です。胸焼けや呑酸などの症状がある場合には、まずは現在の食生活や生活習慣の見直しをしてみましょう。
また逆流性食道炎は放置すると出血や食道狭窄、食道がんのリスクが高まることが分かっています。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
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中路 幸之助
(医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)
医師のコメント
自分で逆流性食道炎ではないかと思っていても、食道癌だったりする場合もあります。特に喫煙・飲酒をする人は要注意です。消化管専門の医療機関を受診し検査を受けましょう。
治療薬の酸分泌抑制剤に関しては、長期投与により副作用(貧血・低マグネシウム血症・小腸の炎症・胃のポリープの増大など)の報告があり、漫然とした長期の服用は好まくはありません。
内服薬で改善しない難治性の逆流性食道炎では外科手術(噴門形成術)も考慮されますが、最近は内視鏡を用いて胃の噴門部の粘膜を切除したり、焼灼したりして潰瘍をつくり、その潰瘍が治る過程で逆流を防止するなどの低侵襲な治療も行われるようになってきています。
医師のコメント
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中路 幸之助
(医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)
自分で逆流性食道炎ではないかと思っていても、食道癌だったりする場合もあります。特に喫煙・飲酒をする人は要注意です。消化管専門の医療機関を受診し検査を受けましょう。
治療薬の酸分泌抑制剤に関しては、長期投与により副作用(貧血・低マグネシウム血症・小腸の炎症・胃のポリープの増大など)の報告があり、漫然とした長期の服用は好まくはありません。
内服薬で改善しない難治性の逆流性食道炎では外科手術(噴門形成術)も考慮されますが、最近は内視鏡を用いて胃の噴門部の粘膜を切除したり、焼灼したりして潰瘍をつくり、その潰瘍が治る過程で逆流を防止するなどの低侵襲な治療も行われるようになってきています。
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