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この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
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近年、企業におけるメンタルヘルス対策が積極的に行われるようになり、ひと昔前に比べるとうつ病をはじめとするメンタルヘルスへの理解が高まってきたといえるでしょう。
うつ病は決して「甘え」や「怠け」ではありません。うつ病はいわば「脳の病気」であり、適切な治療を受けることで十分治る可能性があるのです。
この記事では、医師監修のもと、うつ病の基礎知識や最新の治療法などについて解説していきます。
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近年、企業におけるメンタルヘルス対策が積極的に行われるようになり、ひと昔前に比べるとうつ病をはじめとするメンタルヘルスへの理解が高まってきたといえるでしょう。
うつ病は決して「甘え」や「怠け」ではありません。うつ病はいわば「脳の病気」であり、適切な治療を受けることで十分治る可能性があるのです。
この記事では、医師監修のもと、うつ病の基礎知識や最新の治療法などについて解説していきます。
うつ病とは
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うつ病とは、気分の落ち込みや意欲の低下などのメンタル的な症状と、眠れない・体がだるいといった身体的な症状が現れる気分障害の1つです。
うつ病は国内では100人に6人が経験しているといわれており、決して珍しい病気ではありません。特に近年、うつ病患者はさらに増加傾向にあり、国内だけでなく世界的にも解決すべき問題となっています。
経済協力開発機構(OECD)によると、2020年でうつ症状を抱えている日本人の割合は、2013年のころと比べると2倍以上も増加したことがわかりました。背景として、新型コロナウイルスの拡大による雇用や生活などへの影響があると考えられています。
もしご自身や周囲の人がうつ病かなと思われる症状があった場合、自己判断はせず、必ず専門医に相談するようにしましょう。早期に適切な治療を受けて、十分な休養をとることで、うつ病は克服できる可能性が高まります。
うつ病の症状
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うつ病では、メンタル的な症状と合わせて身体的な症状があらわれるのが特徴です。代表的なうつ病の症状は以下の通りです。
気分の落ち込み
興味・関心の喪失、意欲の低下
集中力・判断力の低下
睡眠障害
自責思考・希死念慮 など
それぞれの症状について詳しくみていきましょう。
気分の落ち込み
うつ病になると気分が落ち込み、「抑うつ状態」になります。この症状は1日のなかでも波があり、時間帯によって落ち込みが強くなったり軽くなったりするのが特徴です。
気分障害の1つでもある「躁うつ病(双極性障害)」の場合は、抑うつ状態に加えて気分が高まる「躁状態」が交互に現れます。特に気分の浮き沈みが激しいという場合は、躁うつ病が疑われます。
興味・関心の喪失、意欲の低下
物事に対しての興味がなくなり、なにかを行うときの意欲が低下するという症状があらわれます。
「趣味のテニスも楽しく感じない」「映画がおもしろいと感じない」など、なにをしても感情が動かず、やがて行動自体がおっくうになります。外出の頻度も少なくなり、家でなにもせずにボーッとしながら過ごすことも多くなるでしょう。
集中力・判断力の低下
頭がうまく働かず、集中力が低下します。目の前のことに集中できないので、普段行っている仕事や家事に時間がかかったり、ミスが増えたりします。
判断力・決断力も低下するため、服装や献立だけでなく、仕事における重要な物事も決められないことも多いです。
睡眠障害
うつ病になると睡眠障害があらわれることも多いです。
睡眠障害の種類はさまざまですが、「寝つきが悪くなる」「何度も目が覚める」「早い時間に起きてしまう」などの症状が続きます。
十分に睡眠がとれない状態が続くと、体調が次第に悪化して別の病気につながる危険性もあるでしょう。
自責思考・希死念慮
自責思考とは、どんな物事も自分の責任だと思い込んでしまうことです。この自責思考が過剰になると、やがて「生きていてはいけない」「死んだ方がましだ」という考え(希死念慮)にまで発展してしまいます。
特にうつ病の治療中で状態が改善しているときに希死念慮を抱えると、その衝動で自殺を図る危険性もあるので注意が必要です。症状の改善によって行動意欲が高まるので、そのまま実行に移してしまうのです。
うつ病の治療と費用
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一口に「うつ病」といっても人それぞれ症状は異なるため、一人ひとりに合う治療方法を見つけていく必要があります。
うつ病の治療において、まず始めに行うことは心身の休養をとることです。学校や職場にいる時間を調整したり、しばらく休んだりしてストレスから離れられる環境を整えましょう。また休養中は睡眠時間をしっかりと確保し、栄養バランスを整えられるように工夫します。
うつ病により日常生活への影響が大きい場合や中等度~重度のうつ病に対しては、薬物療法、精神療法、TMS療法などを用いた治療が行われます。ここでは、それぞれの治療法について詳しく解説していきます。
薬物療法
薬物療法とは、治療薬を使用してうつ病を治療する方法です。
うつ病のおもな治療薬には「SSRI」「SNRI」などと呼ばれる抗うつ薬があります。治療薬の効果はすぐに現れるわけではないので、決められた薬の量を守りつつ、根気よく服用を継続することが大切です。
抗うつ薬の他にも、症状にあわせて以下の治療薬を使用することもあります。
抗不安薬
睡眠導入薬
気分安定薬
抗精神病薬 など
薬物療法にかかる費用はその人の症状によって異なりますが、保険適応による3割負担であれば3,000円前後を目安にしておきましょう。
精神療法
精神療法では自分自身を振り返ってみたり、他人とコミュニケーションをとったりして心身の治療を目指します。精神療法にはさまざまな種類があり、そのなかでも代表的な治療法が「認知行動療法」と「対人関係療法」です。
認知行動療法
認知行動療法は、物事の考え方・とらえ方を変えて心を軽くする治療法です。うつ病となった原因・背景を思い浮かべて、その考え方を変えることで症状の改善を目指します。
対人関係療法
対人関係療法とは、人間関係にフォーカスを当てた治療法です。うつ病に関係している人間関係を整理し、そこで起こる問題の解決を目指すことでストレスの軽減を図ります。
精神療法の費用は実施内容によって異なりますが、保険適応による3割負担であれば2,500円前後が目安です。
TMS療法(うつ磁気刺激療法)
TMS療法とは、脳の特定の部位に磁気刺激を与えて、血流を促進させる治療法です。機能が低下した脳領域を回復させることで、うつ病の改善が期待できます。
TMS療法はうつ病に対しての効果が認められており、アメリカでは2008年の時点で実際の治療法として認可されています。日本でも2017年よりTMS療法の実施が承認され、2019年から一部保険適応となりました。
TMS療法は副作用が少なく、安全性の高い治療法といわれているため、今後もうつ病に対する手段の1つとして認知度が高くなると考えられます。TMS療法の費用相場は、保険適応で1回あたり約5,000〜16,000円が目安です。TMS療法は1度だけでなく20〜30回継続的に行うケースが多いので、その点も考慮しておきましょう。
うつ病の疑いがあったらとるべき行動
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自分がうつ病かもしれないと思ったら、まずは早めに医療機関に行って診断を受けることが大切です。うつ病が進行するとその分治療に時間がかかるので、早期の対処が必要です。
うつ病の人は以下のような身体症状があらわれることがあります。まずはご自身の最近の様子に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
食欲がない
眠れない、または寝過ぎてしまう
倦怠感・疲労感がある
頭痛・肩こりがある
動悸を感じる
便秘や下痢がある
めまいがする など
これらの症状があれば、必ずうつ病だと断定できるものではありませんが、気になる症状があれば、一度医療機関を受診してみることをおすすめします。
まとめ
日々さまざまなストレスや、社会情勢への不安を抱える現代人にとって、うつ病は誰が発症してもおかしくない病気だといえるでしょう。
うつ病の症状は人によって異なり、身体的な面からメンタル面まで、その種類はさまざまです。もし自分がうつ病かもしれないと感じる症状があれば、一度医療機関を受診してみましょう。決して一人で抱え込まず専門家に相談し、十分な休養と適切な治療を受けることがうつ病の克服への近道となります。
うつ病とは
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うつ病とは、気分の落ち込みや意欲の低下などのメンタル的な症状と、眠れない・体がだるいといった身体的な症状が現れる気分障害の1つです。
うつ病は国内では100人に6人が経験しているといわれており、決して珍しい病気ではありません。特に近年、うつ病患者はさらに増加傾向にあり、国内だけでなく世界的にも解決すべき問題となっています。
経済協力開発機構(OECD)によると、2020年でうつ症状を抱えている日本人の割合は、2013年のころと比べると2倍以上も増加したことがわかりました。背景として、新型コロナウイルスの拡大による雇用や生活などへの影響があると考えられています。
もしご自身や周囲の人がうつ病かなと思われる症状があった場合、自己判断はせず、必ず専門医に相談するようにしましょう。早期に適切な治療を受けて、十分な休養をとることで、うつ病は克服できる可能性が高まります。
うつ病の症状
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うつ病では、メンタル的な症状と合わせて身体的な症状があらわれるのが特徴です。代表的なうつ病の症状は以下の通りです。
気分の落ち込み
興味・関心の喪失、意欲の低下
集中力・判断力の低下
睡眠障害
自責思考・希死念慮 など
それぞれの症状について詳しくみていきましょう。
気分の落ち込み
うつ病になると気分が落ち込み、「抑うつ状態」になります。この症状は1日のなかでも波があり、時間帯によって落ち込みが強くなったり軽くなったりするのが特徴です。
気分障害の1つでもある「躁うつ病(双極性障害)」の場合は、抑うつ状態に加えて気分が高まる「躁状態」が交互に現れます。特に気分の浮き沈みが激しいという場合は、躁うつ病が疑われます。
興味・関心の喪失、意欲の低下
物事に対しての興味がなくなり、なにかを行うときの意欲が低下するという症状があらわれます。
「趣味のテニスも楽しく感じない」「映画がおもしろいと感じない」など、なにをしても感情が動かず、やがて行動自体がおっくうになります。外出の頻度も少なくなり、家でなにもせずにボーッとしながら過ごすことも多くなるでしょう。
集中力・判断力の低下
頭がうまく働かず、集中力が低下します。目の前のことに集中できないので、普段行っている仕事や家事に時間がかかったり、ミスが増えたりします。
判断力・決断力も低下するため、服装や献立だけでなく、仕事における重要な物事も決められないことも多いです。
睡眠障害
うつ病になると睡眠障害があらわれることも多いです。
睡眠障害の種類はさまざまですが、「寝つきが悪くなる」「何度も目が覚める」「早い時間に起きてしまう」などの症状が続きます。
十分に睡眠がとれない状態が続くと、体調が次第に悪化して別の病気につながる危険性もあるでしょう。
自責思考・希死念慮
自責思考とは、どんな物事も自分の責任だと思い込んでしまうことです。この自責思考が過剰になると、やがて「生きていてはいけない」「死んだ方がましだ」という考え(希死念慮)にまで発展してしまいます。
特にうつ病の治療中で状態が改善しているときに希死念慮を抱えると、その衝動で自殺を図る危険性もあるので注意が必要です。症状の改善によって行動意欲が高まるので、そのまま実行に移してしまうのです。
うつ病の治療と費用
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一口に「うつ病」といっても人それぞれ症状は異なるため、一人ひとりに合う治療方法を見つけていく必要があります。
うつ病の治療において、まず始めに行うことは心身の休養をとることです。学校や職場にいる時間を調整したり、しばらく休んだりしてストレスから離れられる環境を整えましょう。また休養中は睡眠時間をしっかりと確保し、栄養バランスを整えられるように工夫します。
うつ病により日常生活への影響が大きい場合や中等度~重度のうつ病に対しては、薬物療法、精神療法、TMS療法などを用いた治療が行われます。ここでは、それぞれの治療法について詳しく解説していきます。
薬物療法
薬物療法とは、治療薬を使用してうつ病を治療する方法です。
うつ病のおもな治療薬には「SSRI」「SNRI」などと呼ばれる抗うつ薬があります。治療薬の効果はすぐに現れるわけではないので、決められた薬の量を守りつつ、根気よく服用を継続することが大切です。
抗うつ薬の他にも、症状にあわせて以下の治療薬を使用することもあります。
抗不安薬
睡眠導入薬
気分安定薬
抗精神病薬 など
薬物療法にかかる費用はその人の症状によって異なりますが、保険適応による3割負担であれば3,000円前後を目安にしておきましょう。
精神療法
精神療法では自分自身を振り返ってみたり、他人とコミュニケーションをとったりして心身の治療を目指します。精神療法にはさまざまな種類があり、そのなかでも代表的な治療法が「認知行動療法」と「対人関係療法」です。
認知行動療法
認知行動療法は、物事の考え方・とらえ方を変えて心を軽くする治療法です。うつ病となった原因・背景を思い浮かべて、その考え方を変えることで症状の改善を目指します。
対人関係療法
対人関係療法とは、人間関係にフォーカスを当てた治療法です。うつ病に関係している人間関係を整理し、そこで起こる問題の解決を目指すことでストレスの軽減を図ります。
精神療法の費用は実施内容によって異なりますが、保険適応による3割負担であれば2,500円前後が目安です。
TMS療法(うつ磁気刺激療法)
TMS療法とは、脳の特定の部位に磁気刺激を与えて、血流を促進させる治療法です。機能が低下した脳領域を回復させることで、うつ病の改善が期待できます。
TMS療法はうつ病に対しての効果が認められており、アメリカでは2008年の時点で実際の治療法として認可されています。日本でも2017年よりTMS療法の実施が承認され、2019年から一部保険適応となりました。
TMS療法は副作用が少なく、安全性の高い治療法といわれているため、今後もうつ病に対する手段の1つとして認知度が高くなると考えられます。TMS療法の費用相場は、保険適応で1回あたり約5,000〜16,000円が目安です。TMS療法は1度だけでなく20〜30回継続的に行うケースが多いので、その点も考慮しておきましょう。
うつ病の疑いがあったらとるべき行動
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自分がうつ病かもしれないと思ったら、まずは早めに医療機関に行って診断を受けることが大切です。うつ病が進行するとその分治療に時間がかかるので、早期の対処が必要です。
うつ病の人は以下のような身体症状があらわれることがあります。まずはご自身の最近の様子に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
食欲がない
眠れない、または寝過ぎてしまう
倦怠感・疲労感がある
頭痛・肩こりがある
動悸を感じる
便秘や下痢がある
めまいがする など
これらの症状があれば、必ずうつ病だと断定できるものではありませんが、気になる症状があれば、一度医療機関を受診してみることをおすすめします。
まとめ
日々さまざまなストレスや、社会情勢への不安を抱える現代人にとって、うつ病は誰が発症してもおかしくない病気だといえるでしょう。
うつ病の症状は人によって異なり、身体的な面からメンタル面まで、その種類はさまざまです。もし自分がうつ病かもしれないと感じる症状があれば、一度医療機関を受診してみましょう。決して一人で抱え込まず専門家に相談し、十分な休養と適切な治療を受けることがうつ病の克服への近道となります。
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伊藤 直
(平成かぐらクリニック院長)
医師のコメント
うつ病は、軽症の段階で発見し、治療を始めることができれば、仕事や学業を続けたまま治療ができ、休職や休学したとしても短期間で回復する可能性が高い病気です。
最近眠れなくなった、お腹が空かず食欲がない、やる気がでず身体がだるい、職場や学校に向かうと体調を崩すなど、心身の違和感を感じた際には、一人で抱え込まずに、会社内の産業保健スタッフや学校内の保健室などに相談してください。症状がおつらい時には、早めに最寄りの心療内科や精神科へ受診することをお勧めします。
医師のコメント
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伊藤 直
(平成かぐらクリニック院長)
うつ病は、軽症の段階で発見し、治療を始めることができれば、仕事や学業を続けたまま治療ができ、休職や休学したとしても短期間で回復する可能性が高い病気です。
最近眠れなくなった、お腹が空かず食欲がない、やる気がでず身体がだるい、職場や学校に向かうと体調を崩すなど、心身の違和感を感じた際には、一人で抱え込まずに、会社内の産業保健スタッフや学校内の保健室などに相談してください。症状がおつらい時には、早めに最寄りの心療内科や精神科へ受診することをお勧めします。
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