この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
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血液のがんである白血病。国立がんセンターのデータでは、2019年に白血病と診断された方は10万人あたり男性13.7人、女性9.1人でした。
白血病は早期に発見し、治療すれば治る可能性のある病気です。
本記事では、白血病がどんな病気か、初期症状、予後、治療法などを解説します。
血液のがんである白血病。国立がんセンターのデータでは、2019年に白血病と診断された方は10万人あたり男性13.7人、女性9.1人でした。
白血病は早期に発見し、治療すれば治る可能性のある病気です。
本記事では、白血病がどんな病気か、初期症状、予後、治療法などを解説します。
白血病とは
白血病とは「血液のがん」です。通常、血液の一種である「造血幹細胞」は白血球、赤血球、血小板などの血液細胞に変化していきます。
白血病は、この変化の途中の細胞ががんになり、異常に増殖して悪さをする病気です。
白血病を含め、がんは遺伝子が傷つくことで起こると考えられています。
遺伝子が傷つく原因として、放射線、化学物質、ウイルスなどが挙げられていますが、その仕組みは完全に解明されていません。
また、白血病になりやすい人はどんな人かはっきりとわかっていませんが、喫煙習慣が、白血病の一つである急性骨髄性白血病のリスクを高めることは研究で明らかになっています。
白血病は急性白血病と慢性白血病がありますが、一般の病気の「急性」と「慢性」とは少し定義が異なります。それぞれどのような病気か解説します。
急性白血病とは
急性白血病は、造血幹細胞がそれぞれの血液細胞に変化する初期段階の細胞ががんになった状態で、主に未熟な白血病細胞が存在します。
増えた細胞の種類により2つに分類されます。白血球、赤血球、または血小板の元になる骨髄芽球が増えた場合は「急性骨髄性白血病」、リンパ球が増えた場合は「急性リンパ性白血病」です。
急性白血病は発症すると、急激に症状が現れて早く進行するため、早期発見が大切です。
慢性白血病とは
慢性白血病は、造血幹細胞がそれぞれの血液細胞に変化する過程の中期~後期の細胞ががんになった状態で、未熟なもののみでなく成熟した白血病細胞も存在します。
急性白血病と同じく、増えた細胞が骨髄芽球の場合は「慢性骨髄性白血病」、リンパ球の場合は「慢性リンパ性白血病」に分類されます。
慢性白血病はゆっくり進行するため、初期症状は見られないことが多く、血液検査で発見されることがほとんどです。
白血病の初期症状
急速に初期症状が現れるのは急性白血病です。白血病特有の症状というものはなく、かぜに似た症状が出ます。白血病の初期症状としては、以下が知られています。
【正常な血小板、赤血球、白血球が減り起こる症状】
息切れ、動悸、だるさ、めまいなどの貧血症状
あざができやすくなる、歯茎や鼻からの出血するなど出血傾向
発熱や喉の腫れなど、感染しやすくなる
【白血病細胞が増えて、臓器などに入り込むことにより起こる症状】
お腹の腫れや圧迫感
リンパ節の腫れ
骨や関節の痛み
頭痛、吐き気など
慢性白血病は、初期には症状が現れないことが多いですが、進行してくると急性白血病と似た症状が現れます。
特有の症状がないので、白血病に気づくきっかけは人によりさまざまです。だるい、疲れやすいなどの症状や、原因不明の発熱が長く続く、ぶつけた覚えがないのに内出血ができる、首やわきの下、太ももの付け根あたりにしこりができる、などがきっかけになります。
また、症状がなく検査結果で気づくこともあります。
白血病の治療と費用
白血病の予後について気になる方も多いのではないでしょうか。白血病の治療は発展し、予後も延びています。ここでは、白血病の予後、治療、治療の費用について解説します。
白血病の予後について
白血病の予後は、白血病の種類や個人によって変わります。
一般的には若ければ若いほど治る確率が高くなります。どんな場合の予後が良いか、または悪いかを解明する研究は盛んに行われています。以下は現時点で分かっている予後です。
急性骨髄性白血病
1回目の治療で病気を抑える(寛解)ことができる人は50~80%。治る人は全体で20~40%、若い人では40~50%です。急性リンパ性白血病
1回目の治療で病気を抑えることができる人は小児で95%以上、成人で70~90%です。小児で80%、成人で40~50%の方が治ります。慢性骨髄性白血病
薬物治療を行い、90%以上の人が5年以上生存、そのほとんどが治療10年後も良好な状態を保てます。慢性リンパ性白血病
生存期間は2年~20年以上。個人によってかなり幅があります。
白血病の治療方法
白血病の治療方法は、代表的なものが以下の3つです。白血病の種類やその時の病状により、これらを選択もしくは組み合わせて治療します。
薬物療法
抗がん剤や分子標的薬を使用します。抗がん剤はがん細胞のみでなく正常の細胞にも働いてしまうのに対し、分子標的薬は病気に関わる特定の分子に働きかける薬で、抗がん剤よりも副作用が抑えられていると言われています。
急性白血病は抗がん剤を複数組み合わせて治療することが一般的ですが、慢性白血病は分子標的薬や抗がん剤を使用します。
放射線療法
放射線をがん細胞にあてて死滅させる治療です。白血病では、造血幹細胞移植前の処置として抗がん剤と併用で行われます。
全身に放射線をあてることにより、白血病細胞を死滅させ、リンパ球を不活性化して拒絶反応を抑えます。
造血幹細胞移植
抗がん剤や放射線治療などの前処置の後に、自分またはドナーから採取した造血幹細胞を点滴で投与します。前処置により患者さんの白血病細胞を減らしたあと、投与した造血幹細胞が患者さんの骨髄に根づき、造血機能の回復を期待する治療です。
通常の薬物治療などで治すのが難しい時に行われます。
白血病の最新治療
この他、2020年にCAR-T療法という新しい治療法が承認されました。
これは、患者さんの血液から白血球の一部であるT細胞を取り出し、がん細胞などを攻撃するように作り替えて体の中に戻す治療です。主に既存の治療で効果が得られない、特定の種類の白血病に対して行われます。費用も非常に高額であることから話題になり、実施できる施設も限られています。
白血病の治療費
さまざまな治療があるため、受ける費用も治療によって異なります。費用が高額となる場合は、公的保険の高額療養費制度が利用できます。
これは、医療費の自己負担額の上限を超える分を保険が補助する制度で、自己負担額の上限は年収により異なります。
具体的な費用、利用できる制度については病院のソーシャルワーカーなどに相談しましょう。
まとめ
白血病は、造血幹細胞が白血球や赤血球、血小板などに変化していく過程でがん化し、異常に増えることにより起こる病気です。初期症状として白血病特有なものはなく、かぜに似た症状がでます。治療は主に薬物療法、放射線療法、造血幹細胞移植があり、白血病の種類やその時の状態によりいずれかを選択、もしくは組み合わせて行われます。
白血病は早期発見し、早期に治療を開始することにより治る可能性も大いにある病気です。おかしいと思ったら、早めに病院を受診しましょう。
白血病とは
白血病とは「血液のがん」です。通常、血液の一種である「造血幹細胞」は白血球、赤血球、血小板などの血液細胞に変化していきます。
白血病は、この変化の途中の細胞ががんになり、異常に増殖して悪さをする病気です。
白血病を含め、がんは遺伝子が傷つくことで起こると考えられています。
遺伝子が傷つく原因として、放射線、化学物質、ウイルスなどが挙げられていますが、その仕組みは完全に解明されていません。
また、白血病になりやすい人はどんな人かはっきりとわかっていませんが、喫煙習慣が、白血病の一つである急性骨髄性白血病のリスクを高めることは研究で明らかになっています。
白血病は急性白血病と慢性白血病がありますが、一般の病気の「急性」と「慢性」とは少し定義が異なります。それぞれどのような病気か解説します。
急性白血病とは
急性白血病は、造血幹細胞がそれぞれの血液細胞に変化する初期段階の細胞ががんになった状態で、主に未熟な白血病細胞が存在します。
増えた細胞の種類により2つに分類されます。白血球、赤血球、または血小板の元になる骨髄芽球が増えた場合は「急性骨髄性白血病」、リンパ球が増えた場合は「急性リンパ性白血病」です。
急性白血病は発症すると、急激に症状が現れて早く進行するため、早期発見が大切です。
慢性白血病とは
慢性白血病は、造血幹細胞がそれぞれの血液細胞に変化する過程の中期~後期の細胞ががんになった状態で、未熟なもののみでなく成熟した白血病細胞も存在します。
急性白血病と同じく、増えた細胞が骨髄芽球の場合は「慢性骨髄性白血病」、リンパ球の場合は「慢性リンパ性白血病」に分類されます。
慢性白血病はゆっくり進行するため、初期症状は見られないことが多く、血液検査で発見されることがほとんどです。
白血病の初期症状
急速に初期症状が現れるのは急性白血病です。白血病特有の症状というものはなく、かぜに似た症状が出ます。白血病の初期症状としては、以下が知られています。
【正常な血小板、赤血球、白血球が減り起こる症状】
息切れ、動悸、だるさ、めまいなどの貧血症状
あざができやすくなる、歯茎や鼻からの出血するなど出血傾向
発熱や喉の腫れなど、感染しやすくなる
【白血病細胞が増えて、臓器などに入り込むことにより起こる症状】
お腹の腫れや圧迫感
リンパ節の腫れ
骨や関節の痛み
頭痛、吐き気など
慢性白血病は、初期には症状が現れないことが多いですが、進行してくると急性白血病と似た症状が現れます。
特有の症状がないので、白血病に気づくきっかけは人によりさまざまです。だるい、疲れやすいなどの症状や、原因不明の発熱が長く続く、ぶつけた覚えがないのに内出血ができる、首やわきの下、太ももの付け根あたりにしこりができる、などがきっかけになります。
また、症状がなく検査結果で気づくこともあります。
白血病の治療と費用
白血病の予後について気になる方も多いのではないでしょうか。白血病の治療は発展し、予後も延びています。ここでは、白血病の予後、治療、治療の費用について解説します。
白血病の予後について
白血病の予後は、白血病の種類や個人によって変わります。
一般的には若ければ若いほど治る確率が高くなります。どんな場合の予後が良いか、または悪いかを解明する研究は盛んに行われています。以下は現時点で分かっている予後です。
急性骨髄性白血病
1回目の治療で病気を抑える(寛解)ことができる人は50~80%。治る人は全体で20~40%、若い人では40~50%です。急性リンパ性白血病
1回目の治療で病気を抑えることができる人は小児で95%以上、成人で70~90%です。小児で80%、成人で40~50%の方が治ります。慢性骨髄性白血病
薬物治療を行い、90%以上の人が5年以上生存、そのほとんどが治療10年後も良好な状態を保てます。慢性リンパ性白血病
生存期間は2年~20年以上。個人によってかなり幅があります。
白血病の治療方法
白血病の治療方法は、代表的なものが以下の3つです。白血病の種類やその時の病状により、これらを選択もしくは組み合わせて治療します。
薬物療法
抗がん剤や分子標的薬を使用します。抗がん剤はがん細胞のみでなく正常の細胞にも働いてしまうのに対し、分子標的薬は病気に関わる特定の分子に働きかける薬で、抗がん剤よりも副作用が抑えられていると言われています。
急性白血病は抗がん剤を複数組み合わせて治療することが一般的ですが、慢性白血病は分子標的薬や抗がん剤を使用します。
放射線療法
放射線をがん細胞にあてて死滅させる治療です。白血病では、造血幹細胞移植前の処置として抗がん剤と併用で行われます。
全身に放射線をあてることにより、白血病細胞を死滅させ、リンパ球を不活性化して拒絶反応を抑えます。
造血幹細胞移植
抗がん剤や放射線治療などの前処置の後に、自分またはドナーから採取した造血幹細胞を点滴で投与します。前処置により患者さんの白血病細胞を減らしたあと、投与した造血幹細胞が患者さんの骨髄に根づき、造血機能の回復を期待する治療です。
通常の薬物治療などで治すのが難しい時に行われます。
白血病の最新治療
この他、2020年にCAR-T療法という新しい治療法が承認されました。
これは、患者さんの血液から白血球の一部であるT細胞を取り出し、がん細胞などを攻撃するように作り替えて体の中に戻す治療です。主に既存の治療で効果が得られない、特定の種類の白血病に対して行われます。費用も非常に高額であることから話題になり、実施できる施設も限られています。
白血病の治療費
さまざまな治療があるため、受ける費用も治療によって異なります。費用が高額となる場合は、公的保険の高額療養費制度が利用できます。
これは、医療費の自己負担額の上限を超える分を保険が補助する制度で、自己負担額の上限は年収により異なります。
具体的な費用、利用できる制度については病院のソーシャルワーカーなどに相談しましょう。
まとめ
白血病は、造血幹細胞が白血球や赤血球、血小板などに変化していく過程でがん化し、異常に増えることにより起こる病気です。初期症状として白血病特有なものはなく、かぜに似た症状がでます。治療は主に薬物療法、放射線療法、造血幹細胞移植があり、白血病の種類やその時の状態によりいずれかを選択、もしくは組み合わせて行われます。
白血病は早期発見し、早期に治療を開始することにより治る可能性も大いにある病気です。おかしいと思ったら、早めに病院を受診しましょう。
甲斐沼 孟
(上場企業産業医)
医師のコメント
急性白血病は血液のがんとも呼ばれて恐ろしい病気として広く知られており、発症してから治療せずに放置すると数ヶ月程度で命を落としてしまう病気です。急性白血病は、骨髄や血液の中で細胞が悪性化して増殖し、そのがん細胞の種類によって骨髄性とリンパ性に分類されています。また、病気の進行度や悪性となる細胞の増殖過程に応じて急性と慢性に分類されており、特に急性白血病は急激に症状が進行するのが特徴的です。急性骨髄性白血病に罹患した際には、その治療の目標としては白血病細胞の根絶となり、強力な化学療法が基本になります。実際には、患者さん個々の全身状態、年齢、合併症の有無、治療希望などを総合的に考慮して、化学療法、造血幹細胞移植、支持療法などを選択します。
急性リンパ性白血病の場合には、化学療法と造血幹細胞移植が主な治療手段となります。
化学療法は主に抗がん剤を活用した治療策であり、もっとも多く実施されますが、それぞれの患者さんの病状やそのご家族の希望などを全体的に検討して、各種検査結果に基づいて専門担当医と相談しながら最適な治療法を選択することが重要な観点となります。
特に近年において、急性白血病を始めとする造血器悪性腫瘍の治療は従来の化学療法や造血幹細胞移植から分子標的療法や免疫療法へ潮流が変わろうとしており、特に分子標的療法では腫瘍細胞に特異的な分子を標的として副作用も少ない点でメリットがあります。
医師のコメント
甲斐沼 孟
(上場企業産業医)
急性白血病は血液のがんとも呼ばれて恐ろしい病気として広く知られており、発症してから治療せずに放置すると数ヶ月程度で命を落としてしまう病気です。急性白血病は、骨髄や血液の中で細胞が悪性化して増殖し、そのがん細胞の種類によって骨髄性とリンパ性に分類されています。また、病気の進行度や悪性となる細胞の増殖過程に応じて急性と慢性に分類されており、特に急性白血病は急激に症状が進行するのが特徴的です。急性骨髄性白血病に罹患した際には、その治療の目標としては白血病細胞の根絶となり、強力な化学療法が基本になります。実際には、患者さん個々の全身状態、年齢、合併症の有無、治療希望などを総合的に考慮して、化学療法、造血幹細胞移植、支持療法などを選択します。
急性リンパ性白血病の場合には、化学療法と造血幹細胞移植が主な治療手段となります。
化学療法は主に抗がん剤を活用した治療策であり、もっとも多く実施されますが、それぞれの患者さんの病状やそのご家族の希望などを全体的に検討して、各種検査結果に基づいて専門担当医と相談しながら最適な治療法を選択することが重要な観点となります。
特に近年において、急性白血病を始めとする造血器悪性腫瘍の治療は従来の化学療法や造血幹細胞移植から分子標的療法や免疫療法へ潮流が変わろうとしており、特に分子標的療法では腫瘍細胞に特異的な分子を標的として副作用も少ない点でメリットがあります。
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