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この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
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
がんと診断された人の約60%は完治が見込めるほど医療技術が進んでいる現代であっても、すい臓がんにおいては完治率が約10%、5年生存率も手術ができたとしても20~40%と非常に低い水準で推移しています。
とはいえ、がんを発見できたタイミングによって治療法は異なり、発見できたタイミングが早ければ早いほど治療による生存率や完治率が高まるといえるのです。
ここでは、すい臓がんのステージ分類や治療方法、さらにはすい臓がんの治療にかかる費用をくわしく解説していきます。
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がんと診断された人の約60%は完治が見込めるほど医療技術が進んでいる現代であっても、すい臓がんにおいては完治率が約10%、5年生存率も手術ができたとしても20~40%と非常に低い水準で推移しています。
とはいえ、がんを発見できたタイミングによって治療法は異なり、発見できたタイミングが早ければ早いほど治療による生存率や完治率が高まるといえるのです。
ここでは、すい臓がんのステージ分類や治療方法、さらにはすい臓がんの治療にかかる費用をくわしく解説していきます。
すい臓がんのステージ分類
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すい臓がんだけでなく、がんはすべてがんの進行度をステージ(病期)分類をします。
分類をすることで病状を把握しつつもどの治療法が適切であるのかを判断できるのです。
日本では日本膵臓学会による膵癌取扱い規約、またはUICC日本委員会TNM委員会訳のTNM悪性腫瘍の分類 第8版に記載されているTNM悪性腫瘍の分類が用いられています。一般的には、TNM悪性腫瘍の分類が用いられます。
TMN分類について
Tカテゴリー:原発腫瘍の大きさや周囲への広がりの程度
Nカテゴリー:リンパ節への転移の有無
Mカテゴリー:他臓器などへの転移(遠隔転移)の有無
すい臓がんの病期(ステージ分類)は以下の通り分類されます。
0期 …… がんが膵管の上皮内に留まっている。
1期 …… がんの大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しており、リンパ節転移を認めない。
2期 …… 癌の大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しており、リンパ節転移を認めない。限局しているが、第1群のリンパ節に転移を認める。がんの大きさが2cm以上で膵臓の内部に限局しており、リンパ節転移を認めない。
3期 …… がんはすい臓の内部に限局しているが、第2群のリンパ節に転移を認める。または、がんがすい臓の外へ少し出ているが、リンパ節転移は第1群までに留まっている。
4a期 …… がんがすい臓の周囲の主要な血管、臓器を巻き込んでいる。
4b期 …… 第3群のリンパ節や離れた臓器に転移が認められる。
どちらの分類表においても0期で見つかることは非常にまれなケースであり、2期で見つかる症例が多いといわれています。
すい臓がんの治療方法
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すい臓がんの治療方法は前述したステージにより決定しますが、まずはじめに検討されるのは手術ができるかどうかです。
手術ができるのは1~2期とされています。1期であれば手術できる可能性が極めて高くなりますが、2期になると施術可能境界が出てくるようになり手術ができないケースもでてくるのです。また、3期であっても一部症例では手術が可能なこともあり、これらはすべて前述したステージによって異なります。
手術ができる場合、すい臓がんの手術には部分摘出と全摘出の2パターンがあります。
部分摘出は、がんに侵されている部分のみを摘出するものですが、すい臓の部位によって主に2つのパターンで切除を行います。
1つ目が膵頭十二指腸切除術で、膵頭部、十二指腸と胃の一部、胆のう、および下部胆管をまとめて摘出する手術です。
胃については温存することも可能ですが、こちらはがんの広がりなどを見て決定します。
2つ目は膵体尾部切除術(膵尾側切除術)で、膵臓の体尾部にくわえて多くの場合、脾臓・膵周囲のリンパ節・脂肪・神経なども一緒に摘出しなければなりません。
このように部分摘出とはいえ、隣接するほかの臓器や血管も一緒に切除せざるを得ないのが、すい臓がんの手術の大きな特徴といえるのです。
部分摘出では難しい場合にはすい臓の全摘出を行います。
すい臓を全摘出した場合には、インスリンが全くでなくなってしまうので、インスリン注射を生涯おこなわなくてはなりません。
手術での摘出が不可能とされる3期~4期の場合は、化学療法をメインに治療をしていきます。
3期のすい臓がんで遠隔転移がない進行がんに対しては、化学療法に加えて放射線治療を行うこともあります。
また、手術ができる1~2期であっても手術の効果をより高める目的で化学療法を行ってから手術をするあるいは手術をしてから化学療法を行うこともあり、この時に行う化学療法を補助療法と呼びます。特に手術後の化学療法では、がんの再発が10〜20%抑えられることもわかっており、より生命予後を延長できるのです。
すい臓がんの最新治療
すい臓がんの最新治療として現在2つの治療法が注目されています。
1つはナノナイフ治療といい、2008年にFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を取り、ヨーロッパEUの医療器承認も取得した治療法で日本では2015年に国内初施行されてからまだ症例が少ない施術です。
ナノナイフ治療とは、がん細胞にナノサイズ(100万分の1㎜)の穴を開けてがんを死滅させる手術であり、従来は前立腺がんや肝がんの治療法として行われてきましたが、現在アメリカではナノナイフ治療をする方の半数がすい臓がんで治療を受けています。
膵臓の中とその周りにとどまっている膵がん(局所進行膵がん)であり、遠隔転移や腹膜播種がなければ治療が受けられるため、現在の手術適用範囲よりも幅広い方が対象となります。
もう1つは重粒子線治療といい、手術による根治的な治療法が困難な局所進行性膵がんが適用となります。
放射線感受性の高い消化管に周囲を囲まれているため一般的な放射線療法ではすい臓にじゅうぶんな放射線を当てることができませんでした。しかし、重粒子線治療によってすい臓のみに狙いを定めて、より高い線量を安全に投与できるようになりました。
重粒子線治療による2年生存率は46%となり、生命予後の延長に高い期待が持たれている治療法です。
すい臓がんの治療にかかる費用
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すい臓がんの治療は、保険適用で治療がおこなえます。
治療の内容によってかかる費用は異なりますが、手術でも部分摘出でおよそ50万円はかかります。また、化学療法も1ヶ月で10万円程度はかかるため、治療を受ける期間によって治療費がかさむと考えておくと良いでしょう。
これはあくまで治療単体にかかる費用です。すい臓がんは部分切除であっても多くの組織を切除することもあり回復へ時間がかかります。全摘出であれば回復にはなおさら時間が必要といえます。
そのため、手術費に加えて入院費もある程度かかると考えておくと良いです。
最新治療のうち、重粒子線治療については、すい臓がんでは保険が適用となるので、70万~80万円程度で治療が受けられます。
ナノナイフ治療においては保険適用外となるためすべて実費となり、支払総額は数百万円にのぼることがあります。
まとめ
完治率が低いといわれているすい臓がんですが、早期に発見できればできるほど、治療の選択肢の幅が広がり、5年生存率が高まることが分かっています。
気になる症状がある方や、症状がなくても定期的に検診を行い、がんを早期に発見し、適切な治療を受けるようにしましょう。
すい臓がんのステージ分類
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すい臓がんだけでなく、がんはすべてがんの進行度をステージ(病期)分類をします。
分類をすることで病状を把握しつつもどの治療法が適切であるのかを判断できるのです。
日本では日本膵臓学会による膵癌取扱い規約、またはUICC日本委員会TNM委員会訳のTNM悪性腫瘍の分類 第8版に記載されているTNM悪性腫瘍の分類が用いられています。一般的には、TNM悪性腫瘍の分類が用いられます。
TMN分類について
Tカテゴリー:原発腫瘍の大きさや周囲への広がりの程度
Nカテゴリー:リンパ節への転移の有無
Mカテゴリー:他臓器などへの転移(遠隔転移)の有無
すい臓がんの病期(ステージ分類)は以下の通り分類されます。
0期 …… がんが膵管の上皮内に留まっている。
1期 …… がんの大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しており、リンパ節転移を認めない。
2期 …… 癌の大きさが2cm以下で膵臓の内部に限局しており、リンパ節転移を認めない。限局しているが、第1群のリンパ節に転移を認める。がんの大きさが2cm以上で膵臓の内部に限局しており、リンパ節転移を認めない。
3期 …… がんはすい臓の内部に限局しているが、第2群のリンパ節に転移を認める。または、がんがすい臓の外へ少し出ているが、リンパ節転移は第1群までに留まっている。
4a期 …… がんがすい臓の周囲の主要な血管、臓器を巻き込んでいる。
4b期 …… 第3群のリンパ節や離れた臓器に転移が認められる。
どちらの分類表においても0期で見つかることは非常にまれなケースであり、2期で見つかる症例が多いといわれています。
すい臓がんの治療方法
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すい臓がんの治療方法は前述したステージにより決定しますが、まずはじめに検討されるのは手術ができるかどうかです。
手術ができるのは1~2期とされています。1期であれば手術できる可能性が極めて高くなりますが、2期になると施術可能境界が出てくるようになり手術ができないケースもでてくるのです。また、3期であっても一部症例では手術が可能なこともあり、これらはすべて前述したステージによって異なります。
手術ができる場合、すい臓がんの手術には部分摘出と全摘出の2パターンがあります。
部分摘出は、がんに侵されている部分のみを摘出するものですが、すい臓の部位によって主に2つのパターンで切除を行います。
1つ目が膵頭十二指腸切除術で、膵頭部、十二指腸と胃の一部、胆のう、および下部胆管をまとめて摘出する手術です。
胃については温存することも可能ですが、こちらはがんの広がりなどを見て決定します。
2つ目は膵体尾部切除術(膵尾側切除術)で、膵臓の体尾部にくわえて多くの場合、脾臓・膵周囲のリンパ節・脂肪・神経なども一緒に摘出しなければなりません。
このように部分摘出とはいえ、隣接するほかの臓器や血管も一緒に切除せざるを得ないのが、すい臓がんの手術の大きな特徴といえるのです。
部分摘出では難しい場合にはすい臓の全摘出を行います。
すい臓を全摘出した場合には、インスリンが全くでなくなってしまうので、インスリン注射を生涯おこなわなくてはなりません。
手術での摘出が不可能とされる3期~4期の場合は、化学療法をメインに治療をしていきます。
3期のすい臓がんで遠隔転移がない進行がんに対しては、化学療法に加えて放射線治療を行うこともあります。
また、手術ができる1~2期であっても手術の効果をより高める目的で化学療法を行ってから手術をするあるいは手術をしてから化学療法を行うこともあり、この時に行う化学療法を補助療法と呼びます。特に手術後の化学療法では、がんの再発が10〜20%抑えられることもわかっており、より生命予後を延長できるのです。
すい臓がんの最新治療
すい臓がんの最新治療として現在2つの治療法が注目されています。
1つはナノナイフ治療といい、2008年にFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を取り、ヨーロッパEUの医療器承認も取得した治療法で日本では2015年に国内初施行されてからまだ症例が少ない施術です。
ナノナイフ治療とは、がん細胞にナノサイズ(100万分の1㎜)の穴を開けてがんを死滅させる手術であり、従来は前立腺がんや肝がんの治療法として行われてきましたが、現在アメリカではナノナイフ治療をする方の半数がすい臓がんで治療を受けています。
膵臓の中とその周りにとどまっている膵がん(局所進行膵がん)であり、遠隔転移や腹膜播種がなければ治療が受けられるため、現在の手術適用範囲よりも幅広い方が対象となります。
もう1つは重粒子線治療といい、手術による根治的な治療法が困難な局所進行性膵がんが適用となります。
放射線感受性の高い消化管に周囲を囲まれているため一般的な放射線療法ではすい臓にじゅうぶんな放射線を当てることができませんでした。しかし、重粒子線治療によってすい臓のみに狙いを定めて、より高い線量を安全に投与できるようになりました。
重粒子線治療による2年生存率は46%となり、生命予後の延長に高い期待が持たれている治療法です。
すい臓がんの治療にかかる費用
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すい臓がんの治療は、保険適用で治療がおこなえます。
治療の内容によってかかる費用は異なりますが、手術でも部分摘出でおよそ50万円はかかります。また、化学療法も1ヶ月で10万円程度はかかるため、治療を受ける期間によって治療費がかさむと考えておくと良いでしょう。
これはあくまで治療単体にかかる費用です。すい臓がんは部分切除であっても多くの組織を切除することもあり回復へ時間がかかります。全摘出であれば回復にはなおさら時間が必要といえます。
そのため、手術費に加えて入院費もある程度かかると考えておくと良いです。
最新治療のうち、重粒子線治療については、すい臓がんでは保険が適用となるので、70万~80万円程度で治療が受けられます。
ナノナイフ治療においては保険適用外となるためすべて実費となり、支払総額は数百万円にのぼることがあります。
まとめ
完治率が低いといわれているすい臓がんですが、早期に発見できればできるほど、治療の選択肢の幅が広がり、5年生存率が高まることが分かっています。
気になる症状がある方や、症状がなくても定期的に検診を行い、がんを早期に発見し、適切な治療を受けるようにしましょう。
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甲斐沼 孟
(上場企業産業医)
医師のコメント
膵臓がんに対しては、術前に採血検査や画像検査を組み合わせて実施して、「切除可能」、「切除可能境界」、「切除不能」のどの状態に該当するかを評価します。がんの切除手術が実施可能であると判断できる際は、手術のみ、あるいは周術期に抗がん剤を含む薬物療法を組み合わせたハイブリッド治療を実践することもあります。一般的に、切除可能な膵臓がんと判断される適応基準は、がん組織が肺や脳など他の遠隔臓器に転移していない状態、また膵臓周囲の血管や脈管に広範囲に浸潤していないケースになります。膵臓がんの中でも切除可能と判定されるタイプは予後が良好であり、特に腫瘍径が小さくがんの進行度が乏しくなるにつれて5年生存率や10年生存率が高くなると伝えられています。
医師のコメント
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甲斐沼 孟
(上場企業産業医)
膵臓がんに対しては、術前に採血検査や画像検査を組み合わせて実施して、「切除可能」、「切除可能境界」、「切除不能」のどの状態に該当するかを評価します。がんの切除手術が実施可能であると判断できる際は、手術のみ、あるいは周術期に抗がん剤を含む薬物療法を組み合わせたハイブリッド治療を実践することもあります。一般的に、切除可能な膵臓がんと判断される適応基準は、がん組織が肺や脳など他の遠隔臓器に転移していない状態、また膵臓周囲の血管や脈管に広範囲に浸潤していないケースになります。膵臓がんの中でも切除可能と判定されるタイプは予後が良好であり、特に腫瘍径が小さくがんの進行度が乏しくなるにつれて5年生存率や10年生存率が高くなると伝えられています。
事例の紹介
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