脳ドックは何のために行う?検査内容やデメリットを解説

脳ドックは何のために行う?検査内容やデメリットを解説

2023年7月21日
脳ドックは何のために行う?検査内容やデメリットを解説

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2023年7月21日
メディコレマーク

この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。

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厚生労働省が発表する「令和3年(2021)人口動態統計」によると、脳血管疾患による死亡者は年間104,595人であることが分かりました。

脳血管疾患というと、突然死に至るイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、定期検診により症状の出ていない早期の脳血管疾患が見つかることもあります。ただし通常の健康診断や人間ドックなどでは、通常脳の検査までは行わないため、詳しく脳の検査をしたい場合には脳ドックを受ける必要があります。

ここでは、医師監修のもと脳ドックとは何か、そして脳ドックで行う検査やデメリットについても詳しく解説していきます。

厚生労働省が発表する「令和3年(2021)人口動態統計」によると、脳血管疾患による死亡者は年間104,595人であることが分かりました。

脳血管疾患というと、突然死に至るイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、定期検診により症状の出ていない早期の脳血管疾患が見つかることもあります。ただし通常の健康診断や人間ドックなどでは、通常脳の検査までは行わないため、詳しく脳の検査をしたい場合には脳ドックを受ける必要があります。

ここでは、医師監修のもと脳ドックとは何か、そして脳ドックで行う検査やデメリットについても詳しく解説していきます。

脳ドックとは

脳ドックとは

脳ドックとは、脳および全身の病気の早期発見を目的に行う健康診断の一つです。

通常の健康診断や人間ドックでは脳の検査までは行われませんが、脳ドックでは頭部MRI・MRA、頚部超音波検査などを用いて脳の状態を詳しく調べることができます。

脳梗塞やくも膜下出血などのいわゆる「脳血管疾患」はある日突然発症し死に至る病気だと思っている方も多いかもしれません。実際に脳血管疾患は前兆症状があらわれず、ある日突然激しい頭痛や意識障害などが起こることも多いですが、病気の原因となる動脈硬化や脳動脈瘤などは検査により見つけることができます。

つまり脳血管疾患は「ある日突然発症」するものではあるものの、早期発見・早期治療により予防ができる病気だということです。

脳ドックで行う検査

日本脳ドック学会では脳ドックで行う検査として、一般的な健康診断の項目(問診・診察・血圧・脈拍・心電図・採血・尿検査など)に加えて、以下の検査の実施を推奨しています。

  • 頭部MRI検査

  • 頭部MRA検査

  • 頸動脈エコー(頚部血管超音波検査)

  • 認知機能検査

ただし、医療機関によっては上記全ての検査を行わないこともあるため、事前に受診を希望する医療機関に検査項目を確認するようにしましょう。

頭部MRI検査とは

頭部MRI検査とは、頭部の断面図を映像化する検査のことです。主に脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの疾患の有無を調べるために用いられます。

検査時間は15~30分ほどで、トンネル状になった機械の中で仰向けに寝転がったまま検査が行われます。

X線検査とは異なり放射線被ばくはないため、妊娠中の方などでも検査は可能です。ただし閉所恐怖症の方など、暗くて狭い場所への恐怖や不安を感じる方もいらっしゃいますので、検査について不安がある方は事前に医療機関のスタッフに相談するようにしましょう。

頭部MRA検査とは

頭部MRA検査とは、頭部MRIの機械を使った別の撮影方法のことであり、脳の血管を立体的に撮影する検査のことです。主にくも膜下出血や脳梗塞の原因となる、脳動脈瘤や脳の血管の閉塞・狭窄・奇形などの有無を調べるために用いられます。

頭部MRIと頭部MRA検査はそれぞれ映し出すものや発見できる病気が異なるため、一般的には両方の検査を同時に行うことが望ましいとされています。

頸動脈エコー(頚部血管超音波検査)とは

頸動脈エコーとは、頸部(首のあたり)に超音波をあてて、動脈壁の厚さや血液の流れを調べる検査のことです。主に動脈硬化の有無や進行の度合いを調べるために用いられます。

頸動脈は左右の顎の下あたりに位置する太い血管のことで、脳へ血液を送る重要な役割を担っています。頸動脈につまりや狭窄(だんだん狭くなること)があると、脳に十分な血液を送ることができなくなると脳梗塞などの重篤な疾病を引き起こすリスクが高まります。

認知機能検査とは

「脳ドックのガイドライン2019」では、脳ドックの検査項目において認知機能検査の実施を必須化しました。ここで推奨されている検査は「認知機能低下早期予測スコア」といって、①画像検査因子 ②生活習慣病危険因子 ③意欲・認知機能 ④認知症防御因子の4つをスコア化し、認知症のリスクをはかるものです。

医療機関によっては認知症の早期発見を目的とした「認知機能ドック」や「もの忘れドック」という名称で、頭部MRIやMRIの画像検査を含む認知機能検査を行っていることもあります。

脳ドックを受けた方がいい人とは?

脳ドックを受けた方がいい人とは?

脳ドックの目的は、脳の健康状態を調べ、病気の早期発見をすることです。そのため脳疾患のリスクが高い方は定期的に脳ドックを受診することが推奨されます

日本脳ドック学会では、脳ドックの対象者として、以下のような症状・生活習慣がある方を挙げています。(参考:脳ドックとは|一般社団法人 日本脳ドック学会 (jbds.jp)

  • 中・高齢者

  • 脂質異常症の方

  • 脳卒中・認知症の家族歴がある方

  • 肥満気味の方

  • 高血圧の方

  • 喫煙される方

  • 糖尿病の方

上記の症状や生活習慣は脳疾患のリスクを高めると考えられています。特に脳疾患の発症が増加する50代以降の方は、定期的(1年~数年ごと)に脳ドックの受診が推奨されます

脳ドックの注意点・デメリット

「最近頭痛がひどいから脳ドックを受診しようか悩んでいる」や「もの忘れの症状で日常生活に支障が出ているから一度脳ドックを受けてみようかな」と考えている方もいるかもしれませんが、実はこういった方には脳ドックは適していません

脳ドックは、検査時点で症状がない人に対して病気の早期発見の目的で行うものです。そのため、現時点で気になる症状があるという方は、脳ドックではなく早めに医療機関で診察を受けるようにしましょう。

また脳ドックのデメリットとして、以下のようなことが挙げられます。

  • 費用が高額である

  • 偽陽性の結果が出ることがある

  • 治療の必要がないごく小さな脳の異常が見つかることがある

重篤な脳疾患を防ぐためには、異変を早期に発見し治療をすることが重要だということは多くの方が理解していることでしょう。しかし一方で、本来は治療の必要がないごく小さな異変を見つけることは、患者さんにとって余計な心配や不安をかけてしまうこともあります。

脳ドックを受診する際はこういったデメリットがあることを理解したうえで、不安なことや気になることがあれば事前に医療機関に相談してみるようにしましょう。

脳ドックの費用

脳ドックの費用

脳ドックは自由診療となるため保険が適用されず、全額自己負担となります。脳ドックの費用は医療機関ごとに設定されており、行う検査によっても金額は変動します。一般的な目安は以下の通りです。

脳ドックの費用目安(3割負担の場合)
脳ドック学会推奨項目を満たす場合:約5万円
簡易脳ドック(脳MRI・MRA検査)の場合:約2万円

ご加入の健康保険組合やお勤めの企業によっては、一定の条件のもと(50歳以上など)脳ドックの補助が受けられる場合もあるので、確認してみると良いでしょう。

まとめ

脳ドックは、脳および全身の病気の早期発見を目的に行う健康診断の一つです。50代以降の方や、家族に脳疾患の既往歴がある人がいるなど、脳疾患のリスクが高い人は定期的に脳ドックを受診することが推奨されます。

ただし、脳ドックは自由診療で高額となること、また偽陽性の可能性や治療の必要がない小さな異変を見つけることがあるなど、デメリットもあることを理解したうえで脳ドックを受けるべきか検討してみましょう。

もし現時点で、気になる症状がある方は脳ドックではなく、早めに医療機関を受診して医師の診察を受けるようにしましょう。

脳ドックとは

脳ドックとは

脳ドックとは、脳および全身の病気の早期発見を目的に行う健康診断の一つです。

通常の健康診断や人間ドックでは脳の検査までは行われませんが、脳ドックでは頭部MRI・MRA、頚部超音波検査などを用いて脳の状態を詳しく調べることができます。

脳梗塞やくも膜下出血などのいわゆる「脳血管疾患」はある日突然発症し死に至る病気だと思っている方も多いかもしれません。実際に脳血管疾患は前兆症状があらわれず、ある日突然激しい頭痛や意識障害などが起こることも多いですが、病気の原因となる動脈硬化や脳動脈瘤などは検査により見つけることができます。

つまり脳血管疾患は「ある日突然発症」するものではあるものの、早期発見・早期治療により予防ができる病気だということです。

脳ドックで行う検査

日本脳ドック学会では脳ドックで行う検査として、一般的な健康診断の項目(問診・診察・血圧・脈拍・心電図・採血・尿検査など)に加えて、以下の検査の実施を推奨しています。

  • 頭部MRI検査

  • 頭部MRA検査

  • 頸動脈エコー(頚部血管超音波検査)

  • 認知機能検査

ただし、医療機関によっては上記全ての検査を行わないこともあるため、事前に受診を希望する医療機関に検査項目を確認するようにしましょう。

頭部MRI検査とは

頭部MRI検査とは、頭部の断面図を映像化する検査のことです。主に脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの疾患の有無を調べるために用いられます。

検査時間は15~30分ほどで、トンネル状になった機械の中で仰向けに寝転がったまま検査が行われます。

X線検査とは異なり放射線被ばくはないため、妊娠中の方などでも検査は可能です。ただし閉所恐怖症の方など、暗くて狭い場所への恐怖や不安を感じる方もいらっしゃいますので、検査について不安がある方は事前に医療機関のスタッフに相談するようにしましょう。

頭部MRA検査とは

頭部MRA検査とは、頭部MRIの機械を使った別の撮影方法のことであり、脳の血管を立体的に撮影する検査のことです。主にくも膜下出血や脳梗塞の原因となる、脳動脈瘤や脳の血管の閉塞・狭窄・奇形などの有無を調べるために用いられます。

頭部MRIと頭部MRA検査はそれぞれ映し出すものや発見できる病気が異なるため、一般的には両方の検査を同時に行うことが望ましいとされています。

頸動脈エコー(頚部血管超音波検査)とは

頸動脈エコーとは、頸部(首のあたり)に超音波をあてて、動脈壁の厚さや血液の流れを調べる検査のことです。主に動脈硬化の有無や進行の度合いを調べるために用いられます。

頸動脈は左右の顎の下あたりに位置する太い血管のことで、脳へ血液を送る重要な役割を担っています。頸動脈につまりや狭窄(だんだん狭くなること)があると、脳に十分な血液を送ることができなくなると脳梗塞などの重篤な疾病を引き起こすリスクが高まります。

認知機能検査とは

「脳ドックのガイドライン2019」では、脳ドックの検査項目において認知機能検査の実施を必須化しました。ここで推奨されている検査は「認知機能低下早期予測スコア」といって、①画像検査因子 ②生活習慣病危険因子 ③意欲・認知機能 ④認知症防御因子の4つをスコア化し、認知症のリスクをはかるものです。

医療機関によっては認知症の早期発見を目的とした「認知機能ドック」や「もの忘れドック」という名称で、頭部MRIやMRIの画像検査を含む認知機能検査を行っていることもあります。

脳ドックを受けた方がいい人とは?

脳ドックを受けた方がいい人とは?

脳ドックの目的は、脳の健康状態を調べ、病気の早期発見をすることです。そのため脳疾患のリスクが高い方は定期的に脳ドックを受診することが推奨されます

日本脳ドック学会では、脳ドックの対象者として、以下のような症状・生活習慣がある方を挙げています。(参考:脳ドックとは|一般社団法人 日本脳ドック学会 (jbds.jp)

  • 中・高齢者

  • 脂質異常症の方

  • 脳卒中・認知症の家族歴がある方

  • 肥満気味の方

  • 高血圧の方

  • 喫煙される方

  • 糖尿病の方

上記の症状や生活習慣は脳疾患のリスクを高めると考えられています。特に脳疾患の発症が増加する50代以降の方は、定期的(1年~数年ごと)に脳ドックの受診が推奨されます

脳ドックの注意点・デメリット

「最近頭痛がひどいから脳ドックを受診しようか悩んでいる」や「もの忘れの症状で日常生活に支障が出ているから一度脳ドックを受けてみようかな」と考えている方もいるかもしれませんが、実はこういった方には脳ドックは適していません

脳ドックは、検査時点で症状がない人に対して病気の早期発見の目的で行うものです。そのため、現時点で気になる症状があるという方は、脳ドックではなく早めに医療機関で診察を受けるようにしましょう。

また脳ドックのデメリットとして、以下のようなことが挙げられます。

  • 費用が高額である

  • 偽陽性の結果が出ることがある

  • 治療の必要がないごく小さな脳の異常が見つかることがある

重篤な脳疾患を防ぐためには、異変を早期に発見し治療をすることが重要だということは多くの方が理解していることでしょう。しかし一方で、本来は治療の必要がないごく小さな異変を見つけることは、患者さんにとって余計な心配や不安をかけてしまうこともあります。

脳ドックを受診する際はこういったデメリットがあることを理解したうえで、不安なことや気になることがあれば事前に医療機関に相談してみるようにしましょう。

脳ドックの費用

脳ドックの費用

脳ドックは自由診療となるため保険が適用されず、全額自己負担となります。脳ドックの費用は医療機関ごとに設定されており、行う検査によっても金額は変動します。一般的な目安は以下の通りです。

脳ドックの費用目安(3割負担の場合)
脳ドック学会推奨項目を満たす場合:約5万円
簡易脳ドック(脳MRI・MRA検査)の場合:約2万円

ご加入の健康保険組合やお勤めの企業によっては、一定の条件のもと(50歳以上など)脳ドックの補助が受けられる場合もあるので、確認してみると良いでしょう。

まとめ

脳ドックは、脳および全身の病気の早期発見を目的に行う健康診断の一つです。50代以降の方や、家族に脳疾患の既往歴がある人がいるなど、脳疾患のリスクが高い人は定期的に脳ドックを受診することが推奨されます。

ただし、脳ドックは自由診療で高額となること、また偽陽性の可能性や治療の必要がない小さな異変を見つけることがあるなど、デメリットもあることを理解したうえで脳ドックを受けるべきか検討してみましょう。

もし現時点で、気になる症状がある方は脳ドックではなく、早めに医療機関を受診して医師の診察を受けるようにしましょう。

中路 幸之助先生
中路 幸之助
(医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)
医師のコメント

脳ドックにおける頸動脈エコーは、検査の中では一番非侵襲的な検査法です。狭窄が見つかると、狭い所で流れの悪くなった血液が血栓を作り、これが頭蓋内の血管を詰まらせて、脳血流の低下が起こり、結果として脳梗塞が発症する危険性が高くなります。また狭窄があると、末梢動脈疾患発症や心筋梗塞のリスクも高くなると言われています。狭窄が高度な場合は、頸動脈血栓内膜剥離術やステント治療が必要となる場合があり、かかりつけ医に相談ください。また脳ドックで頭部MRI、MRA検査は受診できないおよびその可能性のある方に、強い磁場に暴露されるため、心臓ペースメーカー、体内に金属がある方、刺青(タトゥー)をしている方、脳動脈瘤クリッピング術を受けたことのある方、磁性体インプラントを埋め込んでいる方、妊娠中、妊娠の可能性がある方、閉所恐怖症の方がありますので事前にご相談ください。

医師のコメント

中路 幸之助先生
中路 幸之助
(医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター)

脳ドックにおける頸動脈エコーは、検査の中では一番非侵襲的な検査法です。狭窄が見つかると、狭い所で流れの悪くなった血液が血栓を作り、これが頭蓋内の血管を詰まらせて、脳血流の低下が起こり、結果として脳梗塞が発症する危険性が高くなります。また狭窄があると、末梢動脈疾患発症や心筋梗塞のリスクも高くなると言われています。狭窄が高度な場合は、頸動脈血栓内膜剥離術やステント治療が必要となる場合があり、かかりつけ医に相談ください。また脳ドックで頭部MRI、MRA検査は受診できないおよびその可能性のある方に、強い磁場に暴露されるため、心臓ペースメーカー、体内に金属がある方、刺青(タトゥー)をしている方、脳動脈瘤クリッピング術を受けたことのある方、磁性体インプラントを埋め込んでいる方、妊娠中、妊娠の可能性がある方、閉所恐怖症の方がありますので事前にご相談ください。

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