株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、慶應義塾大学医学部 形成外科講師、外来医長 外来セーフティーマネージャーの坂本好昭先生にお話を伺いました。

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、慶應義塾大学医学部 形成外科講師、外来医長 外来セーフティーマネージャーの坂本好昭先生にお話を伺いました。

「患者が生きやすい社会を作る」形成外科専門医としての思い
――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。
坂本先生 高校に入学した頃は、理工学部の数学科に進学することを志望していました。転機が訪れたのは高校2年の時で、ちょうどクローン羊のドリーが誕生したタイミングでした。私の世代でクローンといえば、ルパン三世のアニメ映画、「ルパンVS複製人間」を真っ先に思い浮かべるのですが、あの世界観がとうとう現実になったのかと興味を持ちました。そこで高校の科学の先生にクローンに関わる学部を質問すると、理工学部ではなく医学部に進んだ方が良いとアドバイスを受けました。この言葉をきっかけに医学部を目指すことになりました。
――現在の専門に進んだ理由はありますか?
坂本先生 医師になってやりたかったことは基本的には研究なのですが、医学の勉強を始めると生まれつきの病気や子供の病気を知りました。さらに、医者は命を救うという面がある一方で、その延長線上には、きちんとした質のある生き方を提供できるかどうか、といういわゆる QOLをあげるということにも関わっていることがわかりました。
ちょうど私が医学部に入った頃は、見た目の治療などに日本の医療が重きを置き始めたタイミングでした。そして私が医学部を目指したきっかけとなったクローン羊も、もともとは不老不死を意識した研究だったことを思うと、こうした見た目や不老に関する分野に興味が湧きました。こうしたきっかけがあって、形成外科の道に進みました。
――臨床や研究で取り組んでいることを教えてください。

坂本先生 私の専門は実は2つあります。1つは生まれつきの子供の病気です。頭や顔に病気がある子供を診ています。もう1つが美容医療です。こちらも基本的には顔に特化していますので、首から下は専門外です。いずれも共通しているのが骨に関連した治療を行うということです。骨が変形してしまったり、形が普通と違う骨格自体をきれいにすることで、見た目をきれいにすることを臨床で行っています。
研究の分野での専門は、解剖になります。解剖については、最近巷で問題になりましたが、 私自身はずっと解剖分野で研究を行っています。解剖に関して、実はあまり分かってないのか脂肪です。脂肪は私たち研究者からしてみても、「結局脂肪でしょ?」というところで終わってしまうのです。血管や神経、 あるいは筋肉っていう大事な部分だけがクローズアップされがちなのですが、私は脂肪に着目して研究を行ってます。
私たちの皮膚は普通は骨からずれないですよね?つまり、何かしら 骨にくっつけてあるものがないといけないはずなんです。それがリガメントとよばれる組織です。このリガメントがどこにあるのか?高齢になって伸びてしまったら、位置を変えれば治るのか?という内容が私の研究テーマです。
――面白い研究ですね。研究の結果はどのように臨床に活かせる可能性があるのでしょうか?
坂本先生 リガメントが緩むと、皮膚が垂れて老化につながると言われてます。論文も色々と出始めてますが、リガメントの位置を変えることで抗加齢、アンチエイジングにつながると言われ始めています。ですから、基本的には若返りの治療に影響してくると効果が期待できると考えています。
――先生が臨床で大事にしていることはありますか?
坂本先生 一番大事にしていることは患者のマイナスにならないことです。私は外科が専門なので、外科治療したことでマイナスになるということは、避けないといけないと思っています。
解剖の研究については、当たり前のことですが、お亡くなりになった方が生前に研究のために検体を使っていいと意思表示をしていただいているので、その思いに配慮した上で行っていくことです。
――先生が最近注目していることや、チャレンジしたいことを教えてください。
坂本先生 最近ヘルメットかぶっている赤ちゃんを見ることはありませんか?寝癖による頭の形をきれいにするために自費治療で処方されいています。私たちの病院では、そうした目的でもヘルメットによる治療を行っていますし、遺伝的な病気で頭の形が変形している子供に対しても提供しています。
個人的に懸念しているのは、ヘルメット治療の現場がビジネス的な方向に偏り初めているということです。寝癖の方が圧倒的に比率が高いので、病気の可能性をきちんと診断しないで、ヘルメットが処方されているケースが増えています。慶應病院にも、ヘルメットを使っても治らないと訴える患者と家族が来院され、病気だと初めてわかるケースが散見されるようになっています。
慶應病院は1980年代から手術による治療を提供してきましたが、こうした自費治療は行ってきませんでした。しかし、慶應病院として見過ごせない状況になったことを受けて、きちんとした診断のもとでヘルメットを提供したいという思いで、1年前からヘルメット治療をスタートしています。
――先生のVISIONを教えてください。

坂本先生 私が考えるVISIONは、患者が生きやすい社会を作ることです。
大学病院にいる医師が美容医療をやることはとても少数派です。口唇口蓋裂などの生まれつきの病気や頭部の治療をする時、大学病院は保険診療なので、使える材料には限界があります。薬事承認を取得していないものは使えないからです。 海外の学会に行くと、最先端の材料を使っているのに日本では使えないという、ヤキモキした気持ちを抱えています。
私は美容医療が自由診療であることを逆手にとって、病気の子供たちに対して、保険診療では使えない材料を使うことで、もっときれいにできる可能性を知っていただきたいです。もちろん、保険診療よりもお金がかかりますが、患者にとってはプラスになっていると考えています。
――私たちが提供しているメディコレWEBも、サービスを通じてヘルスリテラシーを向上させたいという思いで開発・提供しているので、同じ思いを共有していますね。最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
坂本先生 現在は、患者の方がマスクを着用するなどして、世間から隠れているケースがとても多いです。身の回りの人に口唇口蓋裂や頭の病気って言っても何それっていう形で大きなこと知らないので、理解されないことが多いからだと思います。 ところが海外、特にヨーロッパやアメリカは逆で、一般の方でも口唇口蓋裂を知っているんですよ。ですから、日本は社会の方がこの病気を受け入れる体制ができてない状態なのだと思ってます。
疾患についての啓発をしっかりと行っていかないと、いじめや差別につながります。今後は、こうした疾患の認知を上げる活動も行っていきたいと思います。
「患者が生きやすい社会を作る」形成外科専門医としての思い
――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。
坂本先生 高校に入学した頃は、理工学部の数学科に進学することを志望していました。転機が訪れたのは高校2年の時で、ちょうどクローン羊のドリーが誕生したタイミングでした。私の世代でクローンといえば、ルパン三世のアニメ映画、「ルパンVS複製人間」を真っ先に思い浮かべるのですが、あの世界観がとうとう現実になったのかと興味を持ちました。そこで高校の科学の先生にクローンに関わる学部を質問すると、理工学部ではなく医学部に進んだ方が良いとアドバイスを受けました。この言葉をきっかけに医学部を目指すことになりました。
――現在の専門に進んだ理由はありますか?
坂本先生 医師になってやりたかったことは基本的には研究なのですが、医学の勉強を始めると生まれつきの病気や子供の病気を知りました。さらに、医者は命を救うという面がある一方で、その延長線上には、きちんとした質のある生き方を提供できるかどうか、といういわゆる QOLをあげるということにも関わっていることがわかりました。
ちょうど私が医学部に入った頃は、見た目の治療などに日本の医療が重きを置き始めたタイミングでした。そして私が医学部を目指したきっかけとなったクローン羊も、もともとは不老不死を意識した研究だったことを思うと、こうした見た目や不老に関する分野に興味が湧きました。こうしたきっかけがあって、形成外科の道に進みました。
――臨床や研究で取り組んでいることを教えてください。

坂本先生 私の専門は実は2つあります。1つは生まれつきの子供の病気です。頭や顔に病気がある子供を診ています。もう1つが美容医療です。こちらも基本的には顔に特化していますので、首から下は専門外です。いずれも共通しているのが骨に関連した治療を行うということです。骨が変形してしまったり、形が普通と違う骨格自体をきれいにすることで、見た目をきれいにすることを臨床で行っています。
研究の分野での専門は、解剖になります。解剖については、最近巷で問題になりましたが、 私自身はずっと解剖分野で研究を行っています。解剖に関して、実はあまり分かってないのか脂肪です。脂肪は私たち研究者からしてみても、「結局脂肪でしょ?」というところで終わってしまうのです。血管や神経、 あるいは筋肉っていう大事な部分だけがクローズアップされがちなのですが、私は脂肪に着目して研究を行ってます。
私たちの皮膚は普通は骨からずれないですよね?つまり、何かしら 骨にくっつけてあるものがないといけないはずなんです。それがリガメントとよばれる組織です。このリガメントがどこにあるのか?高齢になって伸びてしまったら、位置を変えれば治るのか?という内容が私の研究テーマです。
――面白い研究ですね。研究の結果はどのように臨床に活かせる可能性があるのでしょうか?
坂本先生 リガメントが緩むと、皮膚が垂れて老化につながると言われてます。論文も色々と出始めてますが、リガメントの位置を変えることで抗加齢、アンチエイジングにつながると言われ始めています。ですから、基本的には若返りの治療に影響してくると効果が期待できると考えています。
――先生が臨床で大事にしていることはありますか?
坂本先生 一番大事にしていることは患者のマイナスにならないことです。私は外科が専門なので、外科治療したことでマイナスになるということは、避けないといけないと思っています。
解剖の研究については、当たり前のことですが、お亡くなりになった方が生前に研究のために検体を使っていいと意思表示をしていただいているので、その思いに配慮した上で行っていくことです。
――先生が最近注目していることや、チャレンジしたいことを教えてください。
坂本先生 最近ヘルメットかぶっている赤ちゃんを見ることはありませんか?寝癖による頭の形をきれいにするために自費治療で処方されいています。私たちの病院では、そうした目的でもヘルメットによる治療を行っていますし、遺伝的な病気で頭の形が変形している子供に対しても提供しています。
個人的に懸念しているのは、ヘルメット治療の現場がビジネス的な方向に偏り初めているということです。寝癖の方が圧倒的に比率が高いので、病気の可能性をきちんと診断しないで、ヘルメットが処方されているケースが増えています。慶應病院にも、ヘルメットを使っても治らないと訴える患者と家族が来院され、病気だと初めてわかるケースが散見されるようになっています。
慶應病院は1980年代から手術による治療を提供してきましたが、こうした自費治療は行ってきませんでした。しかし、慶應病院として見過ごせない状況になったことを受けて、きちんとした診断のもとでヘルメットを提供したいという思いで、1年前からヘルメット治療をスタートしています。
――先生のVISIONを教えてください。

坂本先生 私が考えるVISIONは、患者が生きやすい社会を作ることです。
大学病院にいる医師が美容医療をやることはとても少数派です。口唇口蓋裂などの生まれつきの病気や頭部の治療をする時、大学病院は保険診療なので、使える材料には限界があります。薬事承認を取得していないものは使えないからです。 海外の学会に行くと、最先端の材料を使っているのに日本では使えないという、ヤキモキした気持ちを抱えています。
私は美容医療が自由診療であることを逆手にとって、病気の子供たちに対して、保険診療では使えない材料を使うことで、もっときれいにできる可能性を知っていただきたいです。もちろん、保険診療よりもお金がかかりますが、患者にとってはプラスになっていると考えています。
――私たちが提供しているメディコレWEBも、サービスを通じてヘルスリテラシーを向上させたいという思いで開発・提供しているので、同じ思いを共有していますね。最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
坂本先生 現在は、患者の方がマスクを着用するなどして、世間から隠れているケースがとても多いです。身の回りの人に口唇口蓋裂や頭の病気って言っても何それっていう形で大きなこと知らないので、理解されないことが多いからだと思います。 ところが海外、特にヨーロッパやアメリカは逆で、一般の方でも口唇口蓋裂を知っているんですよ。ですから、日本は社会の方がこの病気を受け入れる体制ができてない状態なのだと思ってます。
疾患についての啓発をしっかりと行っていかないと、いじめや差別につながります。今後は、こうした疾患の認知を上げる活動も行っていきたいと思います。
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