株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授の坂本輝雄先生にお話を伺いました。

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授の坂本輝雄先生にお話を伺いました。

「若手が垣根を越えて専門的な知識を学ぶことができる環境を作りたい」矯正歯科専門医としての思い
――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。
坂本先生 私の実家は父と祖父が歯科医で、3人兄弟で私1人が男性でしたので、歯科大学に行くことは規定路線でした。
――現在の専門に進んだ理由はありますか?
坂本先生 そうですね。曲がったことが嫌いだったから、という冗談はさておき、真面目な話をすると、子供の矯正に興味を持ったことがきっかけです。子供の成長を利用して、上顎と下顎の成長を変えて、とてもバランスが良い噛み合わせを作ることができるんです。また、成長後でも補綴と違って、ご自身の歯で綺麗な噛み合わせと、よく噛むことができる機能を獲得できるというのが最大の魅力でした。こうした理由から矯正歯科を専門にしようと思いました。
――坂本先生は現在は臨床現場には立っていないと伺っていますが、現役の時はどのような治療を行っていたのですか?

坂本先生 一般矯正も行いますが、私が専門にしていたのは口蓋裂の矯正です。ちょうど私が大学院に入った時に口蓋裂の保険治療が導入されたので、指導を受けていた教授から、口唇裂・口蓋裂の咀嚼機能障害について筋電図と顎運動を利用して科学的に証明せよというテーマをいただきました。それから一筋、口唇裂・口蓋裂の矯正を45年間行っています。
慶應義塾大学医学部の形成外科の非常勤講師になってからは先天異常の患者が多かったです。今の矯正領域だと67の疾患が保険に導入されていますが、そうした症例をよく診ていました。この時の経験を買われて、現在は東京都立小児総合医療センターでも矯正歯科の顧問として働いています。
口唇裂・口蓋裂は500人に1人の発生率ですが、先天異常による疾患はもっと発生率が低く、5万人に1人や、10万人に1人などのレベルです。こうした疾患も、慶應義塾大学の形成外科でたくさん診てきました。おそらく日本の矯正歯科医としては、先天異常の症例については、多い実績があるほうだと思います。口唇裂・口蓋裂も先天異常の一種ですから、先天異常疾患の矯正治療が私のライフワークになっています。
――先生が臨床で大事にしていることはありますか?

坂本先生 非常に稀な疾患なので、知らない疾患に出会ったときは文献を検索して、科学的な根拠(エビデンス)に基づいた治療をすることが信念です。
患者は子供が多いので、なるべく患者目線に立って話すことを心がけています。先天異常の疾患は稀な疾患なので、両親も不安を抱えています。患者の両親に対しては、「初めての経験なのでわからないことや不安に思っていること、将来のことなどなんでも聞いてください」と必ずお伝えしていました。治療の半分はお話ししている時間と考えていただいてもいいと思います。こうした説明の際には、文献的に言えることをご説明します。5〜6歳で治療を開始すると、20歳くらいまで治療を継続することになるので、短期的な視点だけではなく中長期的計画も話すようにしています。
――先生が気になっていることや、現在チャレンジしていることを教えてください。
坂本先生 顎変形症の治療ですね。顎変形症の治療は1991年から保険適用になりましたが、①矯正をして、②手術をして、③また矯正をする、というのが一般的な治療の流れです。ただ今はサージェリーファーストと言われる、患者さんが気になっている顔の形を綺麗にしてから矯正をするという方法があります。私も美容外科の先生とは何人か懇意にしている方がいますので、模索しながらチャレンジしています。
――サージェリーファーストを実施するメリットを教えてください。
坂本先生 患者さんの気になってるところが最初に治ることが一番のメリットです。ただし、この方法は保険適用範囲外ですので、結構高額な自費診療になってしまいます。
一般の治療よりも難しい方法になるので、従来の方法に通じている人でないと対応できないと思います。
――先生が医療を通じて実現したいVISIONを教えてください。

坂本先生 若手教育、これに尽きます。若手が垣根を越えて専門的な知識を学ぶことができる環境を作りたいですね。私は教育が好きなんです。例えば先ほどお話しした、私のライフワークでもある口唇裂の治療は、治療が完了するまでに20歳くらいまでかかる疾患です。大学で診ても、3年〜5年しかいないと患者の治療を部分的にしか診ることができないんです。
そこで、12年前から有志の仲間と共に、若手のための口唇裂・口蓋裂治療の勉強会を立ち上げて、毎年1回実施しています。
勉強会には毎回200人ほど参加してくれていて、若手だけではなく各地方で重要なポジションにいる先生も多く参加していただいております。口唇裂・口蓋裂治療の次は、先天異常の治療についても少しずつ勉強会を開く準備を進めていこうと思います。
――先生には普段からメディコレWEBで医師監修にご協力いただいていますが、医師が監修に協力する意義を教えてください。
坂本先生 インターネット上の情報は誤って記載されているものが非常に多いので、記述している内容に通じている専門家が監修すべきだと思います。医学的な根拠がない記事が散見されるので、それはいかがなものかなと思っています。
――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
坂本先生 矯正治療は簡単にできるものではありません。専門的なトレーニングと、最新の論文を読んで勉強することが大事だと思っています。矯正治療を受ける時には、矯正歯科専門医がいるクリニックで受けてほしいです。日本矯正歯科学会のHPには認定医・専門医・指導医・臨床医の一覧があるので、そこを活用していただきたいと思います。
「若手が垣根を越えて専門的な知識を学ぶことができる環境を作りたい」矯正歯科専門医としての思い
――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。
坂本先生 私の実家は父と祖父が歯科医で、3人兄弟で私1人が男性でしたので、歯科大学に行くことは規定路線でした。
――現在の専門に進んだ理由はありますか?
坂本先生 そうですね。曲がったことが嫌いだったから、という冗談はさておき、真面目な話をすると、子供の矯正に興味を持ったことがきっかけです。子供の成長を利用して、上顎と下顎の成長を変えて、とてもバランスが良い噛み合わせを作ることができるんです。また、成長後でも補綴と違って、ご自身の歯で綺麗な噛み合わせと、よく噛むことができる機能を獲得できるというのが最大の魅力でした。こうした理由から矯正歯科を専門にしようと思いました。
――坂本先生は現在は臨床現場には立っていないと伺っていますが、現役の時はどのような治療を行っていたのですか?

坂本先生 一般矯正も行いますが、私が専門にしていたのは口蓋裂の矯正です。ちょうど私が大学院に入った時に口蓋裂の保険治療が導入されたので、指導を受けていた教授から、口唇裂・口蓋裂の咀嚼機能障害について筋電図と顎運動を利用して科学的に証明せよというテーマをいただきました。それから一筋、口唇裂・口蓋裂の矯正を45年間行っています。
慶應義塾大学医学部の形成外科の非常勤講師になってからは先天異常の患者が多かったです。今の矯正領域だと67の疾患が保険に導入されていますが、そうした症例をよく診ていました。この時の経験を買われて、現在は東京都立小児総合医療センターでも矯正歯科の顧問として働いています。
口唇裂・口蓋裂は500人に1人の発生率ですが、先天異常による疾患はもっと発生率が低く、5万人に1人や、10万人に1人などのレベルです。こうした疾患も、慶應義塾大学の形成外科でたくさん診てきました。おそらく日本の矯正歯科医としては、先天異常の症例については、多い実績があるほうだと思います。口唇裂・口蓋裂も先天異常の一種ですから、先天異常疾患の矯正治療が私のライフワークになっています。
――先生が臨床で大事にしていることはありますか?

坂本先生 非常に稀な疾患なので、知らない疾患に出会ったときは文献を検索して、科学的な根拠(エビデンス)に基づいた治療をすることが信念です。
患者は子供が多いので、なるべく患者目線に立って話すことを心がけています。先天異常の疾患は稀な疾患なので、両親も不安を抱えています。患者の両親に対しては、「初めての経験なのでわからないことや不安に思っていること、将来のことなどなんでも聞いてください」と必ずお伝えしていました。治療の半分はお話ししている時間と考えていただいてもいいと思います。こうした説明の際には、文献的に言えることをご説明します。5〜6歳で治療を開始すると、20歳くらいまで治療を継続することになるので、短期的な視点だけではなく中長期的計画も話すようにしています。
――先生が気になっていることや、現在チャレンジしていることを教えてください。
坂本先生 顎変形症の治療ですね。顎変形症の治療は1991年から保険適用になりましたが、①矯正をして、②手術をして、③また矯正をする、というのが一般的な治療の流れです。ただ今はサージェリーファーストと言われる、患者さんが気になっている顔の形を綺麗にしてから矯正をするという方法があります。私も美容外科の先生とは何人か懇意にしている方がいますので、模索しながらチャレンジしています。
――サージェリーファーストを実施するメリットを教えてください。
坂本先生 患者さんの気になってるところが最初に治ることが一番のメリットです。ただし、この方法は保険適用範囲外ですので、結構高額な自費診療になってしまいます。
一般の治療よりも難しい方法になるので、従来の方法に通じている人でないと対応できないと思います。
――先生が医療を通じて実現したいVISIONを教えてください。

坂本先生 若手教育、これに尽きます。若手が垣根を越えて専門的な知識を学ぶことができる環境を作りたいですね。私は教育が好きなんです。例えば先ほどお話しした、私のライフワークでもある口唇裂の治療は、治療が完了するまでに20歳くらいまでかかる疾患です。大学で診ても、3年〜5年しかいないと患者の治療を部分的にしか診ることができないんです。
そこで、12年前から有志の仲間と共に、若手のための口唇裂・口蓋裂治療の勉強会を立ち上げて、毎年1回実施しています。
勉強会には毎回200人ほど参加してくれていて、若手だけではなく各地方で重要なポジションにいる先生も多く参加していただいております。口唇裂・口蓋裂治療の次は、先天異常の治療についても少しずつ勉強会を開く準備を進めていこうと思います。
――先生には普段からメディコレWEBで医師監修にご協力いただいていますが、医師が監修に協力する意義を教えてください。
坂本先生 インターネット上の情報は誤って記載されているものが非常に多いので、記述している内容に通じている専門家が監修すべきだと思います。医学的な根拠がない記事が散見されるので、それはいかがなものかなと思っています。
――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
坂本先生 矯正治療は簡単にできるものではありません。専門的なトレーニングと、最新の論文を読んで勉強することが大事だと思っています。矯正治療を受ける時には、矯正歯科専門医がいるクリニックで受けてほしいです。日本矯正歯科学会のHPには認定医・専門医・指導医・臨床医の一覧があるので、そこを活用していただきたいと思います。
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