「ペインクリニックをもっと知ってほしい」麻酔科医専門医・大谷さゆみ先生の思い

「ペインクリニックをもっと知ってほしい」麻酔科医専門医・大谷さゆみ先生の思い

2025年6月17日
「ペインクリニックをもっと知ってほしい」麻酔科医専門医・大谷さゆみ先生の思い

「ペインクリニックをもっと知ってほしい」麻酔科医専門医・大谷さゆみ先生の思い

2025年6月17日

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、麻酔科専門医の大谷さゆみ先生にお話を伺いました。

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、麻酔科専門医の大谷さゆみ先生にお話を伺いました。

ペインクリニックをもっと知ってほしい」麻酔科専門医としての思い

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。

大谷先生 私の父が麻酔科医でしたので、小さい頃から健康に興味がありました。ただ、小さい頃は獣医になろうと思っていたのです。医師になることを明確に意識し始めたのは、小学校3年生の時に母ががんになったことがきっかけです。父から「母が死ぬかもしれない」と言われて、眠れなくなりました。このことは、生きる意味などを考えるきっかけになりました。死んだ時に自分の人生が良かったと思うと共に、他の人にも私という人間が存在していて良かったと思ってもらいたいと思ったのです。その結果、医師になることを志しました。

――麻酔科に進んだきっかけを教えてください。

大谷先生 医学生の時はいろいろな科について学び、臨床研修を受けます。私は、特定の臓器や体の部位に興味が湧くことがなくて、むしろ体全体を見れる診療科に進みたいと考えました。

もう一つは中学生の時、家族で飛行機に乗った時に、乗客が危篤状態になってしまったのです。機内アナウンスで「お医者さんいませんか?」とアナウンスがあり、私の父が危篤状態の乗客に人工呼吸などの対処をして、なんとか機内では命を保つことができました。この時に、目の前に死にそうな人がいたら、その人を助けられるような医師になりたいと思いました。

そういう視点では、体全体を見て、危険な状態の人をより多く助けるために、救急科か麻酔科がいいと思いました。ただ、研修で救急科に参加した時に、忙しくて体を壊してしまいました。この経験があったので、救急科でやっていく自信が持てなかったのです。また、救急科で女性が活躍しているケースが少ないとも感じたこと、家庭と仕事の両立ができるか不安があったことなどから、麻酔科に進むことを決めました。麻酔科は、手術麻酔だけではなく、救急やICUやペインクリニックなど働き方にもいろいろな選択肢があります。

――渡米の理由を教えていただいてもよろしいですか?

大谷先生 ペインクリニックで働いていた時に、新しい薬が人生がガラッと変わる患者さんを見てきました。喜ぶ患者さんの様子を見る中で、医薬品や医療デバイスの開発が面白いと思いました。そうした際にアメリカのピッツバーグ大学で研究してみないか?と打診をいただきました。実は私の父もアメリカで研究していた時期があったので、私にとってアメリカで研究することは夢でした。「このチャンスは逃すまい!」という気持ちで渡米しました。

――アメリカではどのような研究をしていたのでしょうか?

大谷先生 脊髄刺激装置を使って、不整脈を検知したり、心筋梗塞を予防できるか調べる研究をしていました。ただ、この研究室は留学から半年経った時点で辞めることになります。当時同じラボに所属して研究していた夫が、アメリカの製薬会社に現地採用されました。その関係でビザを変更する必要があり、研究室を辞めざるを得なくなったのです。

憧れの留学でしたが、研究室で豚に対して行っていた実験を人間に応用することがかなり難しいレベルの侵襲的な実験でした。私はもっと人間に対する応用に近い研究をしたいと思っていたので、研究室を辞めたことはそこまで大きな後悔はありませんでした。今は製薬会社などの臨床研究の職を探しています。

――先生が現在チャレンジしていることを教えてください。

大谷先生 私は現在臨床から離れている状態です。今行っていることは、オンラインによる医療相談です。臨床から離れている状態でも医療の知識をアップデートしないといけないと思っているので、日本から離れている状態でもオンラインで患者さんのためになるような仕事をしたいのです。あとは、先ほどもお伝えしたように、現在は臨床研究の職を探しています。

――先生のVISIONを教えてください。

大谷先生 アメリカに住んでいるから思うのですが、日本は医療に恵まれていると思います。アメリカだと、どこでも医療を受けられません。受けたい治療が保険でカバーされているのかがとても重要です。行きたい病院に自由に行けないのです。日本では紹介状を書いてもらえば、希望する病院には原則どこでも行けますよね。保険診療も充実しています。

ただ、オンライン相談を受ける中で気になっているのは、かかりつけ医と折り合いがつかない時の解決方法を聞く方がいらっしゃることです。

オンライン上で気軽に医師を選んで、医療相談やオンライン診察もできる方法も広がっているので、患者さんが納得できる治療を選択できるようになってほしいと思っています。

個人的にはオンライン医療相談がもっと普及してほしいです。ITが進んでいる世の中なので、もっとうまくツールを使っていただき、ご自身に合った診察や医師にたどり着く世の中になったらいいですね。

――先生には普段からメディコレWEBで医師監修にご協力いただいていますが、医師が監修に協力する重要性を教えてください。

大谷先生 きちんと情報や知識を持った方が責任を持ってチェックすることは大事なことです。医療従事者が監修することで、珍しい疾患や症状でも、見逃してはいけない点や抑えておくべきポイントを教えてもらうことができます。医療従事者がチェックすることで内容を正しく、わかりやすいようにできることは監修のメリットだと思います。

―最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします

大谷先生 ペインクリニックを知らない患者さんは多いと思います。例えば、骨や筋肉を治療する時には整形外科に行き、お腹が痛いなら消化器内科に行って内臓を調べてもらう、となります。ペインクリニックは、他の診療科で病名の診断がつかなくて、それでも痛みが取れない時の最後の砦のような診療科です。

急性期の痛みを放置すると慢性期の痛みにつながりますので、痛みがあったら我慢しないでできる限り治療してほしいです。3ヶ月以上続いて生活に支障が出る時は、ペインクリニックがあることを思い出していただきたいです。

ペインクリニックをもっと知ってほしい」麻酔科専門医としての思い

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。

大谷先生 私の父が麻酔科医でしたので、小さい頃から健康に興味がありました。ただ、小さい頃は獣医になろうと思っていたのです。医師になることを明確に意識し始めたのは、小学校3年生の時に母ががんになったことがきっかけです。父から「母が死ぬかもしれない」と言われて、眠れなくなりました。このことは、生きる意味などを考えるきっかけになりました。死んだ時に自分の人生が良かったと思うと共に、他の人にも私という人間が存在していて良かったと思ってもらいたいと思ったのです。その結果、医師になることを志しました。

――麻酔科に進んだきっかけを教えてください。

大谷先生 医学生の時はいろいろな科について学び、臨床研修を受けます。私は、特定の臓器や体の部位に興味が湧くことがなくて、むしろ体全体を見れる診療科に進みたいと考えました。

もう一つは中学生の時、家族で飛行機に乗った時に、乗客が危篤状態になってしまったのです。機内アナウンスで「お医者さんいませんか?」とアナウンスがあり、私の父が危篤状態の乗客に人工呼吸などの対処をして、なんとか機内では命を保つことができました。この時に、目の前に死にそうな人がいたら、その人を助けられるような医師になりたいと思いました。

そういう視点では、体全体を見て、危険な状態の人をより多く助けるために、救急科か麻酔科がいいと思いました。ただ、研修で救急科に参加した時に、忙しくて体を壊してしまいました。この経験があったので、救急科でやっていく自信が持てなかったのです。また、救急科で女性が活躍しているケースが少ないとも感じたこと、家庭と仕事の両立ができるか不安があったことなどから、麻酔科に進むことを決めました。麻酔科は、手術麻酔だけではなく、救急やICUやペインクリニックなど働き方にもいろいろな選択肢があります。

――渡米の理由を教えていただいてもよろしいですか?

大谷先生 ペインクリニックで働いていた時に、新しい薬が人生がガラッと変わる患者さんを見てきました。喜ぶ患者さんの様子を見る中で、医薬品や医療デバイスの開発が面白いと思いました。そうした際にアメリカのピッツバーグ大学で研究してみないか?と打診をいただきました。実は私の父もアメリカで研究していた時期があったので、私にとってアメリカで研究することは夢でした。「このチャンスは逃すまい!」という気持ちで渡米しました。

――アメリカではどのような研究をしていたのでしょうか?

大谷先生 脊髄刺激装置を使って、不整脈を検知したり、心筋梗塞を予防できるか調べる研究をしていました。ただ、この研究室は留学から半年経った時点で辞めることになります。当時同じラボに所属して研究していた夫が、アメリカの製薬会社に現地採用されました。その関係でビザを変更する必要があり、研究室を辞めざるを得なくなったのです。

憧れの留学でしたが、研究室で豚に対して行っていた実験を人間に応用することがかなり難しいレベルの侵襲的な実験でした。私はもっと人間に対する応用に近い研究をしたいと思っていたので、研究室を辞めたことはそこまで大きな後悔はありませんでした。今は製薬会社などの臨床研究の職を探しています。

――先生が現在チャレンジしていることを教えてください。

大谷先生 私は現在臨床から離れている状態です。今行っていることは、オンラインによる医療相談です。臨床から離れている状態でも医療の知識をアップデートしないといけないと思っているので、日本から離れている状態でもオンラインで患者さんのためになるような仕事をしたいのです。あとは、先ほどもお伝えしたように、現在は臨床研究の職を探しています。

――先生のVISIONを教えてください。

大谷先生 アメリカに住んでいるから思うのですが、日本は医療に恵まれていると思います。アメリカだと、どこでも医療を受けられません。受けたい治療が保険でカバーされているのかがとても重要です。行きたい病院に自由に行けないのです。日本では紹介状を書いてもらえば、希望する病院には原則どこでも行けますよね。保険診療も充実しています。

ただ、オンライン相談を受ける中で気になっているのは、かかりつけ医と折り合いがつかない時の解決方法を聞く方がいらっしゃることです。

オンライン上で気軽に医師を選んで、医療相談やオンライン診察もできる方法も広がっているので、患者さんが納得できる治療を選択できるようになってほしいと思っています。

個人的にはオンライン医療相談がもっと普及してほしいです。ITが進んでいる世の中なので、もっとうまくツールを使っていただき、ご自身に合った診察や医師にたどり着く世の中になったらいいですね。

――先生には普段からメディコレWEBで医師監修にご協力いただいていますが、医師が監修に協力する重要性を教えてください。

大谷先生 きちんと情報や知識を持った方が責任を持ってチェックすることは大事なことです。医療従事者が監修することで、珍しい疾患や症状でも、見逃してはいけない点や抑えておくべきポイントを教えてもらうことができます。医療従事者がチェックすることで内容を正しく、わかりやすいようにできることは監修のメリットだと思います。

―最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします

大谷先生 ペインクリニックを知らない患者さんは多いと思います。例えば、骨や筋肉を治療する時には整形外科に行き、お腹が痛いなら消化器内科に行って内臓を調べてもらう、となります。ペインクリニックは、他の診療科で病名の診断がつかなくて、それでも痛みが取れない時の最後の砦のような診療科です。

急性期の痛みを放置すると慢性期の痛みにつながりますので、痛みがあったら我慢しないでできる限り治療してほしいです。3ヶ月以上続いて生活に支障が出る時は、ペインクリニックがあることを思い出していただきたいです。

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